赤ちゃんの予防接種を受けさせるようになって、初めて「ジフテリア」という言葉を耳にしたという人が多いかもしれません。どんな病気でどうやって感染するのか気になりますよね。
そこで今回は、ジフテリアについて症状や感染経路、治療法、予防接種の時期などについてご説明します。
ジフテリアとは?
ジフテリアとは、ジフテリア菌が喉などに感染して、気道に炎症が起こる感染症です(※1)。
感染によって出される毒素や病原体の増殖によって、心臓の筋肉や神経にまで作用すると、不整脈や心不全などを引き起こし、命に関わることもあります。
日本では1945年に約8万6000人が感染し、そのうちの10%が死亡したという報告があります(※2)。
予防接種の普及により1999年以降感染者は確認されておらず、ワクチンの効果は非常に高いといえます(※1,3)。
ジフテリアの症状とは?
ジフテリア菌に感染すると2~5日ほどの潜伏期間を経て、風邪のような発熱や咳、喉の痛みなどの症状が現れます(※2)。
感染した部位によっては、以下のような特徴的な症状も見られます。
鼻ジフテリア
ジフテリア菌が鼻に感染すると、血が混じった鼻水が出てきます。また、上唇が赤くなったり、ただれたりします。
喉頭ジフテリア
喉に感染すると、「ケンケン」といった犬の鳴き声のような咳が出て、発熱を伴う「クループ」と呼ばれる病気を引き起こすことがあります。
喉の粘膜から分泌された膿などが乾き、膜となって気道を塞ぎ、呼吸困難を招くこともあります。
合併症として、主に感染初期(1〜2週目)、回復期(4〜6週目)にジフテリア菌の毒素によって、神経麻痺や心筋炎などの命に関わる症状が起こることがあります。
発熱があり、「ケンケン」という咳が続く、呼吸の状態が悪化するといった場合には、早めに小児科を受診してください。
ジフテリアの感染経路は?
ジフテリア菌は感染者の咳やくしゃみといった「飛沫感染」でうつります(※4)。濃厚な接触によってもうつるため、唾液がついたコップやタオルの共有で感染してしまわないように注意が必要です。
また、ジフテリアは感染しても発症しないケースがあり、感染者と気づかず一緒に過ごしてうつることもあるため、予防接種での予防が大切です(※5)。
人から人への感染以外に、ウシやヒツジとの接触や生の乳製品の摂取で感染することもあります(※2)。
ジフテリアの治療法は?
ジフテリアは症状の進行が早いので、疑われる場合にはすぐに治療を開始することが大切です。発症したら、基本的に集中治療室に入院して治療を行います。
抗生物質を投与してジフテリア菌そのものを退治するほか、ジフテリアの毒素を中和する、ウマ由来の抗体を投与することもあります。
体内から菌がいなくなったことを確認するまでは数週間以上入院する必要があります。
ジフテリアの予防接種は?ワクチン接種の費用は?
ジフテリアは、ワクチンによって予防することに勝る対処法はありません。、ワクチンを接種することで95%のジフテリア感染を防ぐことができるとされています(※1)。
ジフテリアのワクチンは定期接種の「五種混合ワクチン」もしくは「四種混合ワクチン」に含まれ、定められた期間内であれば無料で接種することができます(※5)。
赤ちゃんのときはたくさんのワクチンを受ける必要があって大変ですが、必ず接種するようにしてくださいね。
ジフテリアの予防接種の時期や回数は?
ジフテリアの予防接種は全部で5回接種する必要があります(※1)。まず、生後3ヶ月〜7歳6ヶ月までの時期に4回接種します。
生後3ヶ月〜12ヶ月の期間に、20〜56日の間隔をあけて3回接種し、3回目から6ヶ月以上の間隔をあけて4回目を接種するのが標準的です。
その後、二種混合ワクチン(第2期)の接種として、11〜12歳の期間に1回接種します。
ジフテリアの予防接種を忘れずに受けよう
現在は日本では感染者の見られないジフテリアですが、発症してしまうと命にかかわることもあります。予防接種で防げる感染症なので、接種時期に接種しておくのがおすすめですよ。
自分の赤ちゃんの体を守ることだけでなく、周囲の赤ちゃんや子供たちへの感染を防ぐ上でも、スケジュールに組み込んで接種してくださいね。