出産を終えると、すぐに赤ちゃんの予防接種が始まります。受けるものが多くて大変ですが、それぞれのワクチンの効果や副作用についてきちんと理解しておくことが大切です。今回は、予防接種の最初に受けることが多い「小児肺炎球菌ワクチン」について、ワクチンの効果や、予防接種のスケジュール、副反応のリスクなどをご紹介します。
小児用肺炎球菌ワクチンとは?
小児肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌感染症を防ぐことを目的に接種するワクチンです。肺炎球菌感染症は、肺炎球菌と呼ばれる細菌によって引き起こされる疾患です。
特に5歳未満の乳幼児にて感染症が発生しやすいため、まだ赤ちゃんも小さい生後2〜7ヶ月のうちから、初回の接種を行います(※1)。
小児用肺炎球菌ワクチンの効果は?
小さい子供は肺炎球菌に対する免疫がほとんどないため、感染すると重症化しやすく、髄膜や血液に感染が広がって髄膜炎、敗血症、肺炎、中耳炎などを引き起こす恐れがあります。
特に髄膜炎を発症すると、約2%の子供が死亡、回復しても約10%に難聴や手足の麻痺、知能障害、けいれんなどの後遺症を招くとされています(※2)。
厚生労働省によると、小児肺炎球菌ワクチンを接種することで、重篤な肺炎球菌感染症にかかるリスクを95%以上減らす効果が期待できます(※1)。小さい子供ほど発症しやすく、0歳児ほど感染のリスクが高くなるため、できるだけ早いタイミングで予防接種を受けておきたいですね。
小児用肺炎球菌ワクチンの費用は?
赤ちゃんの予防接種には、大きく2種類あります。1つは、予防接種法に基づいて無料で受けられる「定期予防接種」、もう1つは、自己負担で受ける「任意予防接種」です。
小児肺炎球菌ワクチンの予防接種は定期予防接種に含まれるので、定期接種の期間内であれば、無料で受けることができます。
小児用肺炎球菌ワクチンの接種スケジュールは?
小児肺炎球菌ワクチンの予防接種は合計で4回受ける必要があり、定期接種の期間は生後2ヶ月から5歳未満の間ですが、できるだけ早く受け始めるに越したことはありません。
日本小児科学会が推奨するスケジュールでは、生後2ヶ月で初回接種を受けて、生後3ヶ月に2回目、生後4ヶ月で3回目を受け終え、最後の4回目を1歳~1歳3ヶ月までに受けること、としています(※3)。
予防接種の時期が遅れるほど小児肺炎球菌感染症のリスクが高まるので、忘れずに受けるようにしてください。
なお、初回接種が生後7ヶ月を過ぎてしまったときは、その後の接種時期によって回数や間隔のあけ方が違うため、きちんと医師と相談した上でスケジュールを組みましょう。
小児用肺炎球菌ワクチンはヒブワクチンと同時接種すべき?
小児肺炎球菌ワクチンを受けられるようになる生後2ヶ月頃は、「ヒブワクチン」「ロタウイルスワクチン」「B型肝炎ワクチン」など、ほかにも受けるべき予防接種がたくさんあります。そのため、小児肺炎球菌ワクチンと同時に接種することが推奨されています。
ワクチンを複数同時接種することに不安を感じる人もいるかもしれませんが、同時接種をしても効果や副作用に悪影響を及ぼすことはないと日本小児科学会は発表しています(※4)。
小児用肺炎球菌ワクチンの副反応は?
予防接種を受けるうえで副反応のことは気がかりだと思いますが、小児肺炎球菌ワクチンは細菌がもつ毒性を取り除いた「不活化ワクチン」です。
ただ、まったく副反応がないというわけではなく、以下のような症状が現れることもあるので、予防接種後に症状がみられるときは、早めに小児科を受診するようにしましょう(※5)。
軽度な副作用
接種部位の腫れ・しこり・痛み、発熱(24時間以内が多い)など
重度な副作用
アナフィラキシー、呼吸困難、蕁麻疹など
小児用肺炎球菌ワクチンで感染症を予防しよう
赤ちゃんの体は未熟で、感染症にかかったときに重症化しやすいため、適切な時期に予防接種を受けさせてあげることが大切。
特に小児肺炎球菌感染症は、集団生活を送るとほとんどの子供が菌を保有するようになります(※1)。菌を持ったとしても症状が現れないように、保育園や幼稚園に入る前に予防接種を受けておくことが大切です。
予防接種をすべて受け終えるのは大変ですが、小さい赤ちゃんが感染して重症化してしまうリスクを減らすために、早めにスケジュールを組むようにしてくださいね。もし赤ちゃんの体調不良などで予定日に受けることができなかった場合は、その日のうちに病院へ連絡し、早めに予定を組み直しましょう。