生理中に眠いのはなぜ?眠気の原因と対策は?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

生理中はなぜか疲れやすく、眠くなるという人は多いのではないでしょうか?「眠気がひどくて仕事や家事もままならない」なんていうこともあるかもしれません。そこで今回は、生理中に眠いのはなぜか、その眠気の原因と対策をご紹介します。

生理中に寝ても寝ても眠い原因は?

【740px】女性ホルモン 基礎体温表

生理中にいつもより眠いときは、下記のような原因が考えられます。

ホルモンバランスの影響

女性の体内では、生理周期に合わせて「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と「エストロゲン(卵胞ホルモン)」という2種類の女性ホルモンが分泌されています。

通常、排卵前後から生理前にかけてはプロゲステロンが、生理から次の排卵まではエストロゲンが多く分泌されます。この2つのホルモンのうちプロゲステロンは、眠気を感じやすくする作用を持っています(※1)。

前述のとおり、プロゲステロンは生理が始まると分泌量が徐々に減少しますが、しばらくの間は影響を受けます。また、ホルモンバランスが乱れてプロゲステロンの分泌量が多くなってしまうと、生理中まで強い眠気を感じることもあります。

基礎体温の影響

先に説明した女性ホルモンの影響を受けて、基礎体温も生理周期に合わせて変化します。一般的に、排卵前後から生理前までは基礎体温が高く、生理が始まると基礎体温は低くなります。

人間の体は、体温が低くなると眠気を感じやすくなるため、生理中は眠くなりやすい状態であるといえます。

貧血の影響

生理中は、経血をスムーズに排出するために、全身の血液が優先的に子宮に集まります。すると脳に充分な血液や酸素が行き渡らなくなり、一時的に貧血のような状態を起こすことがあります。

貧血になると、だるくなったり眠くなったりします。

生理中の眠気の対策は?

女性 仮眠 睡眠 ソファ

生理中の眠気は生理周期における自然な現象なので、ある程度仕方ありません。ただ、眠気が強すぎると家事や仕事にも支障が出ることがあり、どうにかしたいと思う人も多いですよね。

そこで、生理中に眠気が現れたときの対処法をいくつかご紹介します。

仮眠を取る

眠気は我慢していると強くなってしまうもの。いっそのこと15~20分程度の仮眠をとってしまうのもよい方法です。

仮眠を取ることが難しい場合は、目をつぶって静かにしているだけでも眠気がやわらぎます。周りの人に見られるのが嫌という人は、トイレの個室に入るなど、人目がない場所に移動するのもいいですね。

ツボを押す

眠気解消の効果が期待できるツボを押すのもひとつの方法です。

親指と人差し指の骨が合わさる手の甲の人差し指寄りにある「合谷(ごうこく)」や、手の中指の爪の生え際で親指側にある「中衝(ちゅうしょう)」などは気軽に押せておすすめですよ。

体を動かす

ストレッチをして体を動かしたり、少しの時間外を散歩したりするのも眠気覚ましに効果的です。冷たい水で顔や手を洗うなど、物理的な刺激を与えるのもいいですね。

鉄分を補給する

貧血気味の人は、鉄分の補給も忘れずに行いましょう。レバーや牛もも肉を食事に取り入れたり、おやつの代わりにプルーンを食べたりするのがおすすめです。

1日に吸収できる鉄分の量は決まっているので、摂り溜めしようとするのではなく、毎日適量を摂取するようにしましょう(※2)。

生理中に眠いのを予防するには?

女性 元気 楽しい

生理中の眠気を根本的になくすことは難しいですが、生活習慣を見直すことで、その程度をおさえることは可能です。

プロゲステロンが過剰分泌されないようにホルモンバランスを整えるほか、貧血予防をしたり、睡眠の質を高めたりすることが大切ですよ。

ストレスをうまく解消する

ホルモンバランスの乱れはストレスによって引き起こされます。

ストレスを感じること自体は避けられないと思いますが、趣味を楽しんだり、リラックスしたりする余裕を持って、1日のストレスはその日のうちに解消するようにしたいですね。

睡眠の質を高める

毎日ぐっすり眠れていれば、日中の眠さもだいぶやわらぎます。そのためにも、日々の睡眠の質を高めていきましょう。

就寝前にはカフェインを取らないようにする、スマートフォンやパソコンの画面を見ないようにするなど、眠りに入りやすくすることが大切です。

また、朝起きたらすぐに朝日を浴びて睡眠のメリハリをつけていくと、夜は眠りやすくなりますよ。

貧血予防に鉄分を摂取する

貧血を防ぐことも、生理中の眠気予防につながります。先に説明したような鉄分を多く含む食材を、積極的に食事に取り入れましょう。

また、通常の食事でまかなえない場合は、鉄分が入ったサプリメントを利用するのもいいでしょう。その際は摂取目安量を守り、過剰摂取にならないように気をつけてくださいね。

生理中の眠気対策は生活の改善から

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生理中に現れる症状は、生活習慣の改善である程度おさえることができるものです。日頃の生活習慣が乱れている人は、早寝早起き、十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事など、できる限り規則正しい健康的な生活を送るように心がけましょう。

生理中は生理痛などもあり、なかなか生活の改善に踏み切る気持ちになれないかもしれませんが、できることから少しずつ変えていけるといいですね。

また、生活を見直しても眠気が改善されないときや、眠すぎて日常生活に支障をきたすようなときは、一度婦人科を受診してください。症状の程度に合わせて適切な治療を行うことで、眠気が改善され、生理中の生活がより快適になることもありますよ。

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