赤ちゃんの成長には個人差があり、みんなが同じように成長するわけではありません。周りの子と比べて我が子の成長が遅かったら不安になってしまうのが親心ですが、平均より遅いからといって過剰に心配する必要はありませんよ。ただ、乳児期後半になってもハイハイしようとせず、座ったまま移動しようとする場合は、近年増加傾向にあるシャフリングベビーの可能性があります。今回はシャフリングベビーの特徴や原因、発達障害との関係などについてご紹介します。
シャフリングベビーとは?どんな特徴がある?
シャフリングベビーとは、乳児期後半になっても四つん這いでハイハイせず、座ったまま移動しようとしたり、立つのを嫌がったりする赤ちゃんのことです。シャフリングベビーという言葉は、英語の「shuffle=引きずって歩く」という意味からきています。
座ったままで進む子という意味で「いざりっ子」と呼ばれることもあります。シャフリングベビーの特徴としては、以下のようなものがあります。
シャフリングベビーの特徴
・座ったまま移動しようとする以外の運動や知能発達は正常である
・うつぶせ寝を嫌う
・寝返りがゆっくり、もしくは寝返りをしようとしない
・生後9~10ヶ月になってもハイハイせず、座ったままおしりでズリズリと移動する
・立つのを嫌がる
・お座りの姿勢から脇を持って抱えても、足を下に伸ばさず座った姿勢のまま
・赤ちゃんの兄弟姉妹や両親のうち、誰かがシャフリングベビーである/だった
以上の特徴が見られたら、シャフリングベビーである可能性がありますが、ほとんどの場合、1歳6~9ヶ月頃までにはひとり歩きを始め、その後は普通に成長していきます(※1)。
シャフリングベビーとは、このような発達の仕方をする特徴的な赤ちゃんのことで、成長発達のひとつのバリエーション。つまり、赤ちゃんの個性のひとつだといえますね。
シャフリングベビーの原因は?発達障害と関係ある?
シャフリングベビーの原因について、はっきりしたことが分かっておらず、脚の筋力が弱いからだとか、脚を動かすのが嫌いだとか、足の裏を地面につけるのが嫌だからとかさまざま説があります。
また、シャフリングベビーの40%に家族歴があり(※1)、遺伝も何らかの影響を持っていると考えられています。まれにシャフリングベビーのなかには、脳性麻痺や発達障害などの神経の病気を持っている子もおり、その場合、以下のような症状が見られることがあります(※2)。
シャフリングベビーの注意すべき症状
・母乳やミルクの飲みが悪い
・泣き方が弱い
・首のすわりが悪く、抱っこするとグラグラして安定しない
・言葉の理解が遅い
・笑うことが少ない
・手指の発達が遅い
・表情の発達が乏しい
・目線を合わせない
このような症状が見られたら、原因の解明や、何らかの疾患があった場合の早期対策のためにも、小児科で一度診てもらうようにしましょう。
シャフリングベビーの対策は必要なの?
シャフリングベビーの原因としてあきらかな自閉症を疑われなければ、治療も対策も必要ありません。ゆっくり成長しているだけなので、基本的には赤ちゃん本人が歩きたいと思うまで見守ってあげてくださいね。心配しすぎて、子供に不安が伝わらないようにすることが大切です。
シャフリングベビーはうつ伏せで移動しないので、脚を鍛えられる機会が少なくなります。ベビーマッサージで筋肉に刺激を与えてあげるのも、スキンシップにもなっておすすめですよ。
「歩行器を使って、歩く練習をさせた方がいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、歩行器を使った方がきちんと歩けるようになるとは限りません。使う時期や使い方を間違えてしまうと、赤ちゃんの発育に悪影響が出るリスクもあります。
シャフリングベビーの症状とどう向き合っていくかは、医師に相談のうえ、夫婦で話し合って決めてください。
シャフリングベビーの特徴があっても慌てないで
周りの子はひとり歩きしているのに、我が子はまだ座ったままで移動しているとなると、親として心配になってしまうかもしれません。
しかし、シャフリングベビーの赤ちゃんも2歳になる頃までにはひとり歩きを始め、その後の発達は順調に進むことがほとんどなので、病気らしき症状が出ていない限りそれほど不安になる必要はありません。
「早く歩けるようになってほしい」と思うときもあるかもしれませんが、焦らずに、赤ちゃんとの今だけの貴重な時間を楽しんでください。シャフリングベビーも個性のひとつだと前向きに捉えられるといいですね。