受精障害とは?原因や治療方法は?自然妊娠できるの?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。沖縄県立中部病院 総合周産期母子医療センターを経て、板橋中央総合病院に勤務。産婦人科専門医、周産期専門医として、一般的な産婦人科診療から、救急診療、分... 監修記事一覧へ

不妊症の原因の1つに「受精障害」があります。精子と卵子が出会って受精が起こることは、妊娠への大切なステップですが、その受精がうまくできなくなる疾患です。不妊の原因が受精障害だった場合は、根本的な治療か、人工的な受精のサポートが必要になります。今回は、受精障害について、原因や治療法、改善すれば自然妊娠できるのかなどをご説明します。

受精障害とは?体外受精をしないとわからない?

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受精障害とは、その名称のとおり、卵子と精子が受精する過程に何らかの異常がある障害のことです。現在のところ、体外受精や顕微授精を行う前に受精障害を診断できる検査はありません。

たいてい、不妊治療を続けて体外受精を行ったときに、「十分な数の精子があるにも関わらず、なかなか受精卵が得られない、もしくは受精率が低い」など、受精の段階ではじめて問題が見つかり、受精障害と診断されます(※1)。

つまり、受精障害のほとんどは体外受精をしてみないとわからないのです。

受精率が25%以下の場合を、受精障害のひとつの目安とし(※2)、体外受精を3~6周期繰り返しても妊娠に至らない場合、受精障害と判断する病院が多いようです。

日本産科婦人科学会によると、体外受精をして受精障害が見られる確率は10~20%で、最初の体外受精で受精障害が起きた場合、2回目の体外受精でも受精障害となる確率は40%です(※2)。

受精障害の原因は?

受精卵

卵子と精子が出会って受精卵ができますが、受精までにはいくつかの行程があります。

1. 精子が卵子を覆う「透明帯」という膜を溶かして破る
2. 精子は卵細胞を覆う「卵細胞質膜」の内側に入りこむ
3.(2と並行して)精子がカルシウムを分泌して卵子を活性化させ、卵子の前核が形成される
4. 卵子の前核と精子の前核が融合して受精卵ができる

受精障害はこの過程において、精子と卵子それぞれになんらかの原因があると起こります。「卵子側だけに障害がある」「精子側だけに障害がある「卵子と精子両方に障害がある」という、主に3つのパターンが考えられますが、原因不明なケースもあります。

卵子側の受精障害

● 透明帯の状態が、精子の侵入に適していない
● 卵子が未熟で活性化しない
● 卵子の前核を形成できない

精子側の受精障害

● 卵子の透明帯を破る力がない
● 卵子を活性化させる力がない

受精障害の治療方法は?改善できる?

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受精障害への対処法としては、主に2つあります。体外受精での妊娠率が25%以下であった場合は、受精障害がどこの行程で発生しているのかを調べ、以下のような方法で受精率を高めます。

カルシウムイオノフォア(卵子活性化処理)

カルシウムイオノフォアは、卵子の活性化を補助する治療法です。

通常、卵細胞質膜に進入した精子は、卵子内でカルシウム濃度を高めて活性化させます。しかし、卵子を活性化させる力が精子にない場合、卵子を特別な薬液に漬けてカルシウム濃度を高め、受精をサポートします(※3)。

顕微授精(ICSI)

精子を人工的に卵子の中に注入し、受精を目指す治療法です。体外受精の段階で受精障害が見つかった場合、加齢による卵子の老化を避けるため、できるだけ早く顕微授精に切り替える必要があります(※2)。

顕微授精であれば、卵子・精子いずれかに問題があり、精子が卵子の透明膜を破れない場合でも、顕微授精であればそのプロセスを経ずに受精をサポートできます。

ただし、頻度は5~6%と少ないものの、顕微授精をしてはじめて受精障害が見つかることもあります(※3)。現在の医療技術では、残念ながら顕微授精の次の対応策がありません。

受精障害の場合でも自然妊娠できる?

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受精障害があっても、自然妊娠できる可能性はゼロではありません。少数ながら、受精能力のある精子や卵子も存在している可能性も否定できないからです。

しかし、ほとんどの場合、人工授精、体外受精と不妊治療を進めてきた段階で受精障害という診断を受けているため、その後に自然妊娠ができる可能性は低いと考えられます。

なお、年齢が高くなればなるほど、自然妊娠だけでなく、体外受精や顕微授精といった生殖補助医療を使った場合でも、妊娠率は下がり、出産リスクは高まります。そのため、顕微授精を行うかどうかは、女性の年齢や心身の調子などを考慮して、慎重に決断する必要があります。

受精障害の診断を受けたらパートナーと相談を

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今回ご説明したとおり、受精障害は体外受精や顕微授精をしてみて、はじめて明らかになる不妊の原因の一つです。

タイミング法などを試しても自然妊娠が難しく、不妊治療をすることを決めて取り組んだ矢先に「受精障害」と診断されると、精神的にショックを受けるかもしれませんが、医師やパートナーとも相談のうえ、治療の方針を検討してください。

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