更年期にさしかかって階段の上り下りがつらくなったり、膝や手首の痛みに悩まされたりしている人もいるのではないでしょうか?「もしかしてリウマチ?」と心配している人もいるかもしれませんね。そこで今回は、更年期の関節痛の原因について、漢方やサプリで症状は改善できるのかどうかや、リウマチとの関係についてご説明します。
更年期の関節痛の症状とは?
更年期の女性に見られる関節痛は、更年期障害の症状のひとつです。
体中の関節という関節が痛み、症状が重い人は階段の上り下りや、椅子から立ち上がることさえも苦痛でしかたないということもあるようです。
腰痛や背中の痛み、肩こりなども合わせて見られることがあります(※1)。
更年期の関節痛の原因とは?
端的に言うと、更年期に関節痛が起きる原因は、ホルモンバランスの変化によって、関節の軟骨を作るコラーゲンの合成が弱まるためと考えられています(※1)。
具体的にはどういうことなのか、関節痛が起きるそもそもの仕組みからみていきましょう。
関節痛が起きる仕組みとは?
関節の間には関節軟骨があり、クッションの役割を果たしたり、衝撃を吸収したりします。
この関節軟骨がすり減ると、関節に違和感を覚えたり、体重をかけたときに痛みを感じたりするようになります。
症状が進むと、「骨棘(こつきょく)」という骨の組織がトゲのようになったものができ、強い痛みが生じるようになります。こうなると、正座や階段の上り下りが苦痛になります。
更年期のホルモンバランスが関節痛の原因
女性が更年期にさしかかると、ホルモンのバランスが大きく変わります。
具体的には、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が減り、反対に、「卵胞刺激ホルモン」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」が過剰に分泌されるようになります。
エストロゲンにはカルシウムの吸収を向上させて骨の量を維持したり、骨のコラーゲンの合成を促進したりする働きがあります(※1)。
関節のクッションの働きをする軟骨は、コラーゲンを材料として作られているため、更年期に起きるエスロトゲンの減少によって関節の軟骨が上手に作られなくなり、関節痛が引き起こされるのです。
更年期の関節痛はリウマチの可能性も?
更年期によく起きる病気に「関節リウマチ」があります。症状として関節痛が現れることが多く、注意が必要です。
関節リウマチとは?(※2)
膠原病のひとつで、関節が痛んだり腫れたりします。症状が進むと関節が変形したり、症状が全身に広がったりすることもあります。
発症する原因は特定されておらず、一定の遺伝子配列を持っている人に、なんらかの要因が働きかけることで免疫に異常をきたすと考えられています。
関節リウマチの診断は、痛む関節の数、血液や血清の検査、X線の検査などで行われます。
更年期の関節リウマチの治療法は?
更年期の関節痛が関節リウマチによるものと診断されたら、内科もしくは整形外科で治療を行います。リウマチ・膠原病科を設けている病院があれば、そちらで治療を受けるのもおすすめです。
治療は、薬物によって痛みや腫れを抑えたり、免疫反応を抑えて症状が進むのを食い止めたりします。
運動機能を保つために運動療法を行ったり、関節機能をサポートする装具をつけたりすることもあります。
関節リウマチは早期発見・早期治療が大切です。更年期に関節痛や関節の腫れが見られたら、すみやかに内科・整形外科を受診しましょう。
更年期障害で婦人科を受診した際にも、関節の痛みがあることを忘れずに医師に伝えるようにしてください。
更年期の関節痛に漢方やサプリは効く?
関節痛を始めとした更年期障害の症状には、欠乏しているホルモンを薬剤で補う、ホルモン補充療法を行うことが一般的です(※1)。
漢方薬も更年期の関節痛治療によく使われていて、下記がよく処方されます(※3)。
● 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):更年期障害の人によく処方される漢方薬のひとつです。関節痛にくわえ、肩こりや頭痛にも効果が期待できます。
● 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):下半身にむくみがあったり、膝の関節に痛みがある人に処方されます。
更年期の関節痛対策として、サプリメントも市販されています。これらは、コラーゲンや漢方の生薬を配合したものが主流のようです。
更年期の関節痛には食事での対策も
関節の軟骨はコラーゲン、コンドロイチン硫酸などを材料として作られます。
いずれも、手軽に手に入る食材なので、日々の食事の中に積極的に取り入れましょう(※4)。
コラーゲンが含まれる食材
魚の皮、鶏の手羽、砂肝に豊富に含まれます。
コンドロイチン硫酸が含まれる食材
おくら、山芋、海藻といった、ぬるぬるした食感の食材に多く含まれます。たんぱく質と結びつくことで、軟骨や靭帯の材料となります。
更年期の関節痛は筋力アップで改善も
関節が痛いと、日々の家事はもちろん、ちょっとした外出もおっくうになってしまいますよね。
更年期の関節痛は、加齢による筋力の低下も影響しています。病院での治療や食生活の改善に加え、ウォーキングなどで筋力をつけるようにしましょう。
痛みが強い場合は、水泳や、水中でのウォーキングがおすすめです。水の浮力によって、体重の負荷を減少することができます。
更年期に関節痛が見られたら、リウマチの可能性も否定できません。すみやかに病院を受診し、医師の診察を受けるようにしてください。