更年期に高血圧になる原因と症状は?治療は何科でできる?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

更年期の女性で、健康診断や人間ドックで血圧を測定したら高血圧で驚いたという人もいるのではないでしょうか?更年期の女性は高血圧になりやすく、また、それに伴って動脈硬化などを引き起こす可能性もあります。そこで今回は、更年期に高血圧になる原因や、症状が出るのかどうか、治療は何科でするのかについてご説明します。

高血圧とはどういう状態?

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血液には、全身の細胞に栄養や酸素を送り届ける役目があります。その血液を体のすみずみまで行き渡らせるために、心臓は血液に高い圧力をかけて送り出します。これが「血圧」です。

高血圧とは正式には「高血圧症」といい、正常な状態より、血液にさらに高い圧力がかかった状態です。

日本高血圧学会では、収縮期血圧(最高血圧)が140以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90以上を高血圧としています(※1)。

以下が、成人の血圧の目安です。

分類 収縮期血圧 拡張期血圧
至適血圧(理想) <120 かつ <80
正常血圧 <130 かつ <85
正常高値血圧 130〜139 または 85〜89
Ⅰ度高血圧 140〜159 または 90〜99
Ⅱ度高血圧 160〜179 または 100〜109
Ⅲ度高血圧  ≧180 または ≧110
収縮期高血圧 ≧140 かつ <90

更年期に高血圧になる原因とは?

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女性は、更年期に差し掛かると卵巣の機能が低下し、ホルモンのバランスが大きく変わります(※2)。

具体的には、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌量が減り、逆に「卵胞刺激ホルモン」と「黄体形成ホルモン」が過剰に分泌されるようになります。

この、過剰に分泌された2つのホルモンが、血流や血圧をコントロールしている自律神経の中枢に影響を及ぼすため、血圧が安定しにくくなるとされています。

更年期の高血圧は動脈硬化の可能性も

血液 赤血球 血管

更年期の女性はエストロゲンが減少することで悪玉コレステロールが増え、脂質異常症になりやすくなります(※2)。

脂質異常症になると血液がドロドロになるため、高い圧力をかけないと、血液は血管を流れなくなってしまいます。こうして、高血圧が引き起こされます(※3)。

エストロゲンには、もともと動脈硬化を防ぐ働きがあります。更年期になるとこの働きが失われること、そして、脂質異常症によって血管に高い圧力がかかること、さらに血管壁にコレステロールがこびりつくことで、動脈硬化が進行しやすくなります。

40歳ごろまでは、高血圧の人は圧倒的に男性が多いのが特徴です。しかし、閉経後の60歳ごろには、女性の高血圧の人の割合は、男性とほぼ同じ程度にまで上昇することがわかっています(※4)。

更年期の高血圧の症状とは?

高血圧は、別名「サイレントキラー」とも呼ばれていて、徐々に血圧が上がっているときは自覚症状はありません(※1)。

また、高血圧特有の症状もないため、症状から高血圧かどうかを判断することもできません。

そのため、健康診断や婦人科検診を受けて初めて高血圧に気づいた、という人も少なくありません。

更年期の高血圧は何科で治療するの?

更年期 診察
更年期の高血圧が気になったら、婦人科や更年期外来、内科を受診することが一般的です。高血圧に特化した診療科を設けている病院もあるので、そちらにかかってもよいでしょう。

更年期の高血圧は、まずは生活習慣の改善から開始します。食事療法と運動療法を指導されることが一般的です(※1)。

高血圧対策の食事療法

適正なエネルギー量を、適正な栄養配分で摂取するように指導されます。適正エネルギー量は標準体重×25〜30(kcal)です。

また厚生労働省の示す塩分摂取量は7.5g未満(女性の1日あたり)ですが、日本人の実際の平均摂取量は10.9gと、多めに摂取してしまっています(※5)。

みそやしょうゆには塩分が多く含まれているので、減塩タイプの商品に切り替えたり、酢やハーブ、スパイスなどで風味を増すような工夫をしたりするといいでしょう。

さらに、脂肪の種類にも注意し、肉の脂身やバター、生クリームなどは控えるようにしましょう(※5)。

高血圧対策の運動療法とは

ウォーキングなどの有酸素運動を、1日あたり30〜60分、週3回程度行うようにします。

のんびりした散歩では酸素を効率的に使えないので、脈拍が少し早くなる程度のスピードが理想です。

食事療法と運動療法で高血圧に改善が見られない場合は、薬物療法を行います。おもに、血液の中に中性脂肪が増えすぎた高トリグリセリド血症と脂質異常症を改善する薬が処方されます(※2)

更年期は生活習慣に気をつけて高血圧対策を

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更年期のホルモンバランス変化は自律神経に作用するだけでなく、動脈硬化も引き起こしやすくなるため、生活習慣にはいっそう気をつけたいものですね。

バランスのよい食事と適度な運動は高血圧の対策になるだけでなく、体を健康的に、若々しく保つのにも効果的です。

更年期は自由になる時間が増え、趣味を存分に楽しむチャンスでもあります。生活習慣に気をつけて、第二の人生を思いっきり楽しめるといいですね。

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