ニキビというと思春期にできるものと思いがちですが、じつは、更年期の女性にもできやすいのです。「最近、なんだか吹き出ものが増えた気がする」と思っている女性もいるのではないでしょうか。そこで今回は、更年期にニキビが増える原因と対策についてご説明します。
そもそもニキビはなぜできるの?
ニキビは、正式には「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」と言い、皮膚が慢性的に炎症を起こしている状態を指します(※1)。
ニキビは、過剰に分泌された皮脂が毛穴の先に詰まることででき始めます。この状態を「面皰(めんぽう)」と言います。
面皰の中は皮脂であふれ、ニキビを引き起こすアクネ菌が増えやすい状態になっています。アクネ菌自体はどんな毛穴にもいる菌ですが、数が増えると炎症を起こし、赤くぶつぶつしたニキビや膿が溜まったニキビを引き起こします。
更年期にニキビができやすくなる原因とは
一般的に、ニキビは思春期頃にもっとも悪化し、その後は症状が改善していきます。それではなぜ、更年期にニキビができやすくなるのでしょうか。
女性ホルモンの「エストロゲン」には皮脂腺の分泌を抑制したり、コラーゲンの合成を促進したりする働きがあります(※2)。女性の肌がみずみずしく弾力があるのは、このエストロゲンのおかげなのです。
しかし、女性が更年期に差しかかかると卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減少してしまいます。そのため、更年期になると肌が脂っぽくなって、ニキビができやすくなるのです(※2)。
ちなみに、ニキビと同時に肌のシワが目立つようになるのも、エストロゲンの減少によってコラーゲンが合成されにくくなるためです(※2)。
更年期のニキビができやすい場所とは
思春期のニキビは額や鼻など、皮脂腺の多いTゾーンにできやすいとされています。
しかし、更年期に増えるニキビは、頬や口の周りなどのフェイスラインにできることが多いようです。
これは、コラーゲンが合成されにくくなることによる肌の乾燥や、メイクの洗い残し、睡眠不足、ストレスなど、さまざま原因が影響しているためと考えられています。
更年期に増えるニキビの対策とは?
ここでは、更年期に増えるニキビの対策をするにあたって、スキンケアや食事、髪型やファッションでの注意点についてご説明します(※1,3)。
ニキビ対策のスキンケア
ニキビを隠そうとしてコンシーラーやファンデーションを厚く塗り重ねると、ニキビが悪化する恐れがあるので避けましょう。メイクで隠すことに専念するのではなく、毎日のスキンケアをしっかりと行いましょう。
帰宅したら丁寧にクレンジングをして、化粧をしっかり落とします。そのあと、洗顔フォームを使ってダブル洗顔をし、汚れや泡が残らないようにしっかりすすぎましょう。
基礎化粧品を使う場合は、毛穴が詰まりにくいことが確認されている「ノンコメドジェニック」もしくは、「コメドジェニック試験済」と書かれた商品を選ぶと安心です。
更年期は肌が乾燥しやすくなっているので、保湿も十分に行いましょう。
ニキビ対策の食事
ケーキやチョコレートなどのスイーツを食べ過ぎると、皮脂の分泌が盛んになって毛穴が詰まり、ニキビ菌が繁殖しやすくなります。これらは、なるべく控えるようにしましょう。
一方、ビタミン類が豊富な野菜や果物は、肌を元気にしてくれます。ビタミンA,C,B群,Eを多く含む食材を積極的に摂るようにしましょう。食物繊維をプラスして腸をきれいにするのも有効です。
これらが含まれる代表的な食材は下記のとおりです。
ビタミンA | 鶏レバー、豚レバー、銀むつなど |
ビタミンC | アセロラ、柿、赤ピーマン、菜の花など |
ビタミンB群 | 豚ヒレ肉、豚レバー、カツオ、菜の花、枝豆など |
ビタミンE | アーモンド(乾)、うなぎ蒲焼、西洋かぼちゃなど |
食物繊維 | ごぼう、玄米、大豆など |
ニキビ対策の髪型とファッション
髪の毛や衣類、マフラーなどが当たると刺激となり、ニキビが悪化する恐れがあります。顔周りはできるだけすっきりとさせておきたいですね。
また、ニキビを気にするあまりマスクを付けっぱなしにすると、こすれたり熱がこもったりして刺激になることもあるので避けたほうがよいでしょう。
更年期のニキビは生活習慣の改善とスキンケアで解消を
顔にニキビができると、外出したり、人と会ったりするのが億劫になってしまうこともありますよね。
しかし、今回ご紹介した対策を行いながら、十分な睡眠と栄養バランスのよい食事をとれば、更年期のニキビは改善できます。
おろそかになりがちなフェイスラインのケアをしっかりして、みずみずしい肌を取り戻しましょう。