更年期障害で肩こりがひどい!原因と対策は?

監修医師 産婦人科医 城 伶史
城 伶史 日本産婦人科専門医。2008年東北大学医学部卒。初期臨床研修を終了後は、東北地方の中核病院で産婦人科専門研修を積み、専門医の取得後は大学病院で婦人科腫瘍部門での臨床試験に参加した経験もあります。現在は... 監修記事一覧へ

40代の女性で、「最近、なんだか肩こりがひどくなった気がする」と感じている人も多いのではないでしょうか?肩こりがひどいと、家事や仕事がはかどらなくて憂うつですよね。そこで今回は、更年期に肩こりがひどくなる原因と、その対策についてご説明します。

更年期に肩こりがひどい原因とは?

女性 肩こり

肩こりとは、筋肉が緊張して硬くなり、血流が悪くなっている状態をいいます。

血流が悪くなると、疲労物質の「乳酸」が大量に発生し、筋肉の中に溜まってしまいます。この乳酸や、老廃物が固まったものが、「こり」の正体です(※1)。

更年期に肩こりがひどくなるのは、自律神経の乱れからくる「血流の悪化」と考えられています。

女性は閉経が近づくと、卵巣の機能の低下に伴ってホルモンバランスが大きく変わります(※2)。

女性ホルモンと自律神経はお互いに影響し合っているので、更年期のホルモンバランスの変化が自律神経を乱れさせ、その結果、血流の悪化を招いてしまうのです。

更年期は女性を取り巻く環境に大きな変化が生じる時期でもあります。体の変化以外にも、家族や職場での人間関係、自分の健康への不安などがストレスとなり、更年期障害で現れる不調を重くしているとされています(※3)。

更年期のひどい肩こりの対策とは?

ストレッチをする女性

更年期のひどい肩こりの対策には、血行をよくすることが大切です。体をよく動かすと新陳代謝が活発になり、筋肉の中に溜まった乳酸や老廃物が流れていきます。

運動をして血行をよくする

筋肉の緊張をほぐすような、全身をゆっくり動かすラジオ体操やストレッチが効果的です。

やせ型の人は筋肉が少ない傾向があるため、筋力アップのエクササイズもおすすめですよ。

一方、肥満型の人は、全身の基礎代謝量が低く、血行が滞りがちなので、ウォーキングなどの有酸素運動も取り入れるといいでしょう(※1)。

ゆっくりお風呂に浸かって血行をよくする

夏場は、ついシャワーで済ませがちですが、冷房で体は予想以上に冷えきっています。ぬるま湯にゆっくり浸かって、こり固まった筋肉をほぐすようにしましょう。また、冷房が直接体にあたらないように、ストールなどを持ち歩いておくと安心ですね。

更年期の肩こりを予防する方法とは?

女性 バッグ 片手
肩こりがひどい人は、運動不足だけでなく日常生活のなかでついやりがちな癖も、肩こりの原因になっています。

当てはまるものがある人は、この機会に見直してみましょう。

姿勢が悪い

姿勢が悪いと、知らない間に筋肉に負担がかかってしまい、肩こりにつながります。

正しい姿勢とは、筋肉にかかる負担が少ない姿勢のことをいいます。壁を背にして立ったとき、頭と背中、お尻が壁に着くのが正しい姿勢です。自分の姿勢にはどんな傾向があるのかを知り、正しい姿勢をとるように心がけましょう。

バッグを片方の肩にかけ続ける

バッグを片方の肩にかけ続けると、そちら側の肩の筋肉が緊張して、肩こりの原因になります。バッグを持つ手は、こまめに変えるようにしましょう。左右均等に負荷がかかるリュックを使うのもおすすめです。

一定の姿勢を取り続ける

デスクワークでのパソコン操作やスマホの操作で同じ姿勢を取り続けていると、肩こりの原因になりがちです。定期的に休憩をはさみ、肩や首を回すように心がけましょう。

更年期のひどい肩こりを改善できる食事とは?

玄米 ご飯 茶碗 箸
更年期のひどい肩こり対策には、ビタミンB群とビタミンEが有効です。

ビタミンB1

乳酸を分解し、筋肉の疲れを和らげる働きがあります。玄米やそば、うなぎ蒲焼き、豚肉(ヒレ、もも、ロース)などに多く含まれています(※1)。

ビタミンB2

エネルギーの代謝に作用して、疲れにくくします。豚レバーや牛レバー、鶏レバーなどに多く含まれています(※1)。

ビタミンE

抹消血管を広げて血行を促進する働きがあります。アーモンド(乾燥させたもの)、西洋かぼちゃ、ひまわり油などに多く含まれています(※1)。

そのほか、体を中から温める香辛料を料理に使うのも効果的です。とうがらしやターメリック、からしなどを毎日少量ずつ摂取すると、肩こりにつながる冷え性の軽減が期待できますよ(※1)。

更年期のひどい肩こりは日々の生活で改善を

女性 ウォーキング

パソコンに加え、スマホが普及した現代社会では、画面を見入った姿勢を取り続けることが増えています。

更年期は肩こりの症状がひどくなりがちなので、日常生活の癖の見直しから対策を始めてはいかがでしょうか?

セルフケアをしても更年期の肩こりがひどくつらい場合は、婦人科や更年期外来を受診してくださいね。

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