更年期障害で頭痛がひどい!原因と対策は?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

「40代になったら、なんだか頭痛がひどくて」と悩んでいる女性もいるのではないでしょうか?もしかしたらその頭痛、更年期障害の症状かもしれません。更年期障害というと、ほてりやのぼせを想像する人が多いようですが、頭痛も更年期障害の症状のひとつです。そこで今回は、更年期障害でひどい頭痛が起きる原因と、対策についてご説明します。

頭痛は、更年期障害の代表的な症状

女性 イライラ 更年期

更年期障害の症状には様々なものがありますが、頭痛は、ほてりやのぼせといったホットフラッシュと並んでよく見られます(※1)。

閉経が近づいて卵巣の機能が低下すると、女性のホルモンバランスは大きく変化して「エストロゲン(卵胞ホルモン)」が減少し、「卵胞刺激ホルモン」や「黄体形成ホルモン」が過剰に分泌されるようになります。更年期障害は、これらに代表されるホルモンが自律神経に影響を及ぼすために引き起こされると考えられています(※1)。

更年期障害の頭痛も、これらのホルモンバランスの変化が大きく影響しています(※2)。

更年期障害で頭痛が起こる理由は?

女性 動悸 めまい

頭痛は、くも膜下出血や脳腫瘍といった病気によって引き起こされる「二次性頭痛」と、そうではない「機能性頭痛」に分けられます。

機能性頭痛は原因に合わせてさらにいくつかに分類され、なかでも女性によく見られるのが「緊張型頭痛」と「偏頭痛」の2つです。緊張型頭痛はどの年代の女性にも、偏頭痛は30〜40代の女性によく見られます(※3)。

緊張型頭痛は、日常生活でのストレスへの反応とされ(※4)、別名、ストレス頭痛とも呼ばれています。ストレスが増える更年期に発症する人が多いのも、うなずけますね。

偏頭痛の原因はまだ解明されていませんが、ホルモンバランスの変化が原因で発症することがあります(※4)。

特に、ホルモンバランスの変化による偏頭痛は痛みが強く、薬が効きにくい傾向があるようです。

緊張型頭痛と偏頭痛が起こる原因は異なるので、このあと、それぞれについてご説明します。

更年期の緊張型頭痛の症状、原因は?

デスクワーク 女性
緊張型頭痛とは、頭全体を帯のようなものできつく締め付けられるような痛みが続く頭痛をいいます。

緊張型頭痛の原因は、身体的・精神的ストレスが大きいとされています(※5)。

たとえば、デスクワークでパソコン作業をしていると、うつ向き姿勢を長時間続けてしまうことがあります。そうすると、頭を支えている肩や首の筋肉に大きな負担がかかったり、頭の筋肉が緊張したりして血流が悪くなり、緊張型頭痛を引き起こしてしまうことがあります。

更年期の緊張型頭痛の対策は?

緊張型頭痛の対策には、適度な運動や入浴をして血行を促進したり、リラックスしたりすることが有効です。また、普段から、同じ姿勢を取り続けないように心がけることも大切です(※5)。

セルフケアを行っても症状が改善されない場合は、鎮痛薬や筋弛緩薬を服用します。精神的なストレスが大きい場合は、抗うつ薬や抗不安薬が処方されることもあります(※5)。

更年期の偏頭痛の症状、原因とは?

嘔吐している女性
偏頭痛には、前兆があるタイプと前兆がないタイプがあります。

前兆があるタイプは、頭痛が起こる前にキラキラした光やギザギザの光などが見えます。そのほか、半身の脱力やしびれなどの感覚障害が見られることもあり、それらの症状が治ったのち、頭痛が始まります(※5)。

偏頭痛の痛みは日常生活に支障をきたすこともあるほどで、階段の昇り降りといったちょっとした運動でも症状が重くなることがあります。

吐き気がしたり、嘔吐をしたりすることもあります。さらに、いつもは気にならないような音や光、臭いに敏感になることもあります(※5)。

偏頭痛の原因ははっきりとはわかっていませんが、大半は、ホルモンバランスの変化、音や光、アルコールなどが引き金となって起こると考えられています(※5)。

なかには緊張型頭痛と偏頭痛を合わせて発症している人もいて、その場合は、緊張型頭痛のきっかけである肩こりが、偏頭痛の引き金となることもあります(※5)。

更年期の偏頭痛の対策は?

症状が起こったら、部屋を暗くして安静にするように言われることが一般的です。

偏頭痛を引き起こすきっかけがわかっている場合は、そのきっかけを避けたり、適度な運動や入浴で肩こりを解消したりするように言われます(※5)。

治療には薬物療法が取られ、大きく分けて2つあります。

頭痛の発作が起こったときになるべく早く鎮痛薬を飲んで痛みを沈める「急性期療法」と、毎日薬を飲んで頭痛発作が起こりにくくしたり、起こっても軽く済んだりするようにする「予防療法」です(※4)。

また、漢方薬によって、症状を和らげたり、偏頭痛の発作が起こる回数を減らしたりすることもあるようです。

更年期障害の頭痛は適切な対策で改善しよう

女性 元気
頭が痛かったり重かったりすると、家事や仕事がおっくうになってしまいますよね。

しかし、更年期障害で見られる頭痛は、適切な対策をすれば症状を軽くすることができます。頭痛に悩まされる場合は、婦人科や更年期外来を受診し、適切な対策をとるようにしましょう。

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