子供はまだ身体的な機能が発達途中のため、様々な理由で吐き気をもよおします。そうはいっても子供の吐き気が続くと、何が原因なのか分からず不安になると思います。そこで今回は、子供の吐き気の原因とその対処法、吐き気止めの薬はあるのかをご紹介します。
子供の吐き気の原因はどうやって見分ける?
子供は臓器や筋肉といった身体機能がまだ発達途中のため、大人よりも吐き気をもよおしやすいのは自然なことです。急いでご飯を食べた、少し乗り物に乗った、ストレスがかかったということだけでも、子供は気持ち悪くなってしまうことがあります。
ただ、吐き気を引き起こす原因は、消化器系の疾患や感染症、心因性の疾患といった病気であることもあり、放っておくと重症化してしまう場合があります(※1)。子供の吐き気の原因を調べるには、吐き気だけでなく、発熱や下痢、腹痛など他の症状がないか確かめることが大切です。
ここからは、考えられる吐き気の原因と症状をご紹介します。
子供に吐き気の他に下痢や熱がある場合は?
吐き気とともに何度も嘔吐する、下痢が続くという場合は、「急性胃腸炎」の可能性が高いでしょう。
急性胃腸炎は、咳や鼻水などの風邪の次に多くの子供がかかる病気です(※2)。ウィルスや細菌などを含む食べ物を摂取して口から病原体が入ることによって起こる感染症で、ウィルス性と細菌性の2種類があります。
細菌性の胃腸炎として有名なのは食中毒です。病原性大腸菌やサルモネラ菌、キャンピロバクターなど様々な病原菌によって引き起こされ、嘔吐、下痢の他に発熱を伴うことがあります。
ウィルス性の胃腸炎にはノロウィルスやロタウィルスがあり、秋から冬にかけて感染が広がります。ウィルス性胃腸炎にかかっていると、突然吐き始めた後に水のような下痢が続き、熱が出るという特徴があります。
子供の吐き気の他に頭痛がある場合は?
吐き気の他に頭痛、発熱がある場合は、風邪の症状のことが多いですが、おたふく風邪やインフルエンザにかかった後に合併症として起こる「髄膜炎」の可能性も考えられます。この場合「言葉がうまく出ない」「手足がしびれる」という症状もあり、悪化すると意識が朦朧としたり、痙攣を起こしたりします。
吐き気や発熱、頭痛の症状は、風邪だろうと楽観視しがちですが、風邪のような症状が長引いていたり、ひどい頭痛が続いたり、意識障害や痙攣が現れたりしたら、すぐに小児科を受診しましょう。
子供の吐き気のみが続く場合は?
吐き気以外に特に目立った症状がない場合、精神的なストレスが原因で起きる「心因性嘔吐症」の可能性があります。
この場合、吐き気のみが続き嘔吐を伴わない、何度も嘔吐する、決まったときにいつも嘔吐する、など様々なパターンがありますが、一般的には吐き気以外の腹痛や下痢といった症状はほとんどありません(※3)。
心因性嘔吐症の場合、不安や緊張を伴う場面で吐き気を感じることが多いですが、本人がそうしたストレスを自覚していない場合もあります。
子供の吐き気にはどう対処すればいい?
子供が吐き気を訴えて嘔吐してしまったときは、以下のような対処をしてみましょう。吐き気が続く場合は、小児科を受診してくださいね。
感染予防をする
子供の嘔吐はウィルスや細菌が原因の可能性があるので、嘔吐物のついた服を着替えさせて、消毒液などにつけて滅菌するのが良いでしょう。そのとき、処理をする大人が感染しないように、マスクをしたり、しっかりと手を洗ったりすることを忘れないようにしましょう。
口内をきれいにする
子供の口内に嘔吐物や胃液が残っていると、再び気持ち悪くなってしまいます。子供が吐いてしまったら、白湯で口を軽くゆすいで口内に残っている嘔吐物を取り除き、口の中を清潔にしましょう。
水分補給をする
子供が嘔吐したときに一番気をつけたいことは、脱水症状です。ただし、吐き気がある間に水分補給をしてもすぐに吐き戻してしまうので、吐き気が軽くなるまでの数時間は水分を控えましょう。
吐き気が少し治ってきたら、スプーン1杯ほどの経口補水液(OS-1など)をゆっくり飲ませます。その後吐き気がさらに軽くなったら、少しずつ量を増やして飲ませてあげてください。水分だけでなく塩分も摂取することが重要です。
消化の良い食事をとる
吐き気がある間は、食事をしてもまたすぐに嘔吐してしまうことがあるので、無理して食べさせる必要はありません。食事は吐き気が完全に治ってからにしましょう。
ただし、いきなり食べるとうまく消化できないため、最初は少量の食事をこまめにとるようにしましょう。脂っこいものや冷たいもの、甘いものはまた吐き気を引き起こす可能性があるので避けてください。
最初のうちは、味噌汁や野菜スープなどの塩分が入った温かい汁物やうどんがおすすめですよ。
ストレスを軽減する
子供の吐き気が続くのに特に病気が見つからないときは、ストレスが原因の可能性もあります。子供の話をよく聞いてあげたり、子供に好きなことを思いっきりさせたりして、ストレスを発散させてあげましょう。
また、嘔吐したことがさらに精神的な負担になることもあります。吐いてしまったときは、子供を優しく抱きしめて、安心させてあげてくださいね。
子供の吐き気止めはある?座薬を使うの?
吐き気止めの薬には「ナウゼリン」というものがあります。しかし、ナウゼリンには手足の震えやショック症状を引き起こす副作用があるため(※2)、基本的に子供には処方されないようです。
吐き気があまりにもひどく嘔吐が何度も続く場合、ナウゼリンが座薬として処方されることもありますが、子供の吐き気に対しては、吐き気止めを使わず、水分補給で対処することで十分とされています(※4)。
子供の吐き気は落ち着いて対処しよう
子供の吐き気が続いて嘔吐してしまうと、ママやパパも慌ててしまうかもしれません。しかし子供自身も吐き気や嘔吐によって不安になっているので、まずは「大丈夫だよ」と子供を抱きしめて、安心させてあげてくださいね。
子供の吐き気には様々な原因が考えられます。子供の日々の行動や様子の変化を観察して、落ち着いて対処してあげましょう。
もしも子供の吐き気がずっと治らない、吐き気以外にも意識障害や痙攣といった症状がある場合は、早めに小児科を受診してくださいね。