汗をかいたまま放置しておくと「あせも」になることがありますが、このあせもに細菌が感染して発症するのが「あせものより」です。あせものよりは、あせもと同じように、汗をかきやすい赤ちゃんや子供が夏場に発症しやすい病気です。痛みを伴ったり、悪化すると熱が出ることもあるため、油断は禁物です。そこで今回は、あせものよりとはどのような病気なのか、薬を使えば治療ができるのかなどを紹介します。
「あせものより」とは?原因と症状は?
「あせものより」とは、多発性汗腺膿瘍とも呼ばれ、あせもがきっかけで発症する感染症です(※1)。
私たちの皮膚の奥には、「エクリン腺」と呼ばれる汗を出す部分があります。そこから出た汗が皮膚の表面まで出ずに、途中で溜まってしまうと発症するのが「あせも」です。このあせもがなかなか治らず、黄色ブドウ球菌が感染することであせものよりになってしまいます(※1,2)。
あせものよりの特徴は中に膿が溜まった赤いおできです。痛みを伴い、リンパ節が腫れたり、熱が出ることもあります。発症しやすい時期は夏で、汗をかきやすい赤ちゃんや子供でよくみられます(※2)。
あせものよりを発症しやすい部位は次のとおりです(※2)。
● 頭
● 顔
● 首
● 背中
● お尻
あせものよりは薬で治療できるの?
あせものよりは薬による治療が可能で、細菌が原因の感染症なので抗菌薬を使います。抗菌薬は塗り薬の場合もあれば、発熱があり膿が出るなど強い炎症がみられるときは飲み薬の場合もあります。
また、あせものよりの治療では、場合によっておできを切開し、中の膿を出すこともあります(※2)。
あせものよりの予防法は?
あせものよりになるのを防ぐには、あせもにならないのが一番です。
汗をかかなければあせもになりませんが、それは無理というもの。かいた汗が皮膚の表面に出てくる前に溜まってしまうのが問題なので、かいた汗がきちんと出るようにすることで、あせもになりにくくできます。
汚れやアカが汗の孔をふさいでしまうのを防ぐため、シャワーなどで皮膚を清潔に保ちましょう。汗をかいた後に濡れたタオルで拭くのも効果的です。また、こまめに着替えさせるのも良いでしょう。
さらにベビーパウダーを肌につけておくことで、汗を吸い出す効果も期待できます。ただし一度にたくさん使ってしまうと汗で固まってしまい、かえって汗の孔をふさいでしまうため注意が必要です。
それでもあせもができてしまったら、あせものよりができる前にステロイドの塗り薬で治すのが有効です。ただし、子供の年齢やあせもの場所、程度によって、適切なステロイドを選ぶ必要があるので、まずは医師に相談してください(※1)。
あせものよりの子供はプールに入れないの?
あせものよりは、発症したら保育園や学校の登園・登校を制限されたり、プールに入ってはいけないといった制約がある病気ではありません(※3)。そのため、あせものよりになってもプールには入れます。
ただし、気になる場合は、医師に相談してください。
あせものよりと似た病気には何があるの?
子供は汗をかく量が多いためあせもができやすく、あせもが悪化していろいろな病気になってしまいがちです。そこでここでは、あせものよりのように、あせもから発症しやすい病気をいくつか紹介します(※1)。
膿疱性汗疹
膿疱性汗疹とは、あせもの中心にできる発疹で、中に膿が入っています(※1)。
汗疹性湿疹
あせもをひっかくことでできる湿疹のことを、汗疹性湿疹と呼びます(※1)。
伝染性膿痂疹(とびひ)
あせもを引っかいてできた傷に、細菌が感染することで発症するのが伝染性膿痂疹です(※1)。
別名「とびひ」ともいい、破れやすい水ぶくれが体のいろいろなところにでき、それがどんどん増えていく病気です。水ぶくれの中と表面に原因菌が存在するために、知らず知らずのうちに身体中に感染していきます。また、他の人にも感染します(※2)。
汗孔炎
汗孔炎とは、汗腺の孔自体に細菌が感染しておできができることです(※1)。
あせものよりは予防が大事です
あせものよりを発症すると痛みが出たり、切開しなければならなくなることもあるため、子供だけでなくママやパパにとっても負担となります。そのため、まずはあせものよりにならないように予防することが大切です。
あせものよりの前段階である「あせも」になるべくならないように、日頃から子供が汗をかいたらこまめに拭いてあげたり、洗い流したりして、肌を清潔にしてあげましょう。それでもあせものよりになってしまったら、すぐに病院へ行って医師に診てもらってください。
子供は大人よりあせもになりやすい体質です。あせものよりになって痛い思いをしなくてすむように、ふだんから肌のケアをしてあげたいですね。