ヘルパンギーナで保育園はいつから行ける?登園許可は必要?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

夏風邪の代表格であるヘルパンギーナ。突然高熱になったり、喉に発疹ができて食べ物や飲み物が喉を通りづらくなったりと、ママやパパにとっては気がかりな病気ですよね。今回は、もし子供がヘルパンギーナにかかってしまったら、保育園にはいつから行けるのか、登園許可は必要なのかについてご紹介します。

ヘルパンギーナとは?

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ヘルパンギーナは、「エンテロウイルス属」のウイルスが感染することで起こる病気です。日本では毎年5月頃から増えはじめ、7~8月頃にピークを迎える代表的な夏風邪で、以下のような特徴があります(※1)。

ヘルパンギーナにかかる年齢は?

ヘルパンギーナは乳児から2歳までの子供がかかることが最も多く、5歳以下の子供が患者の90%以上を占めます(※1)。

大人がかかることは少ないものの、ヘルパンギーナになった子供の看病をしているうちに、ママやパパが感染してしまうこともあります。

ヘルパンギーナの症状は?

ウイルスが感染したあと、2~4日の潜伏期を経て、38~40度の発熱が1~3日続き、喉の赤みがみられます(※1)。

その後、口蓋垂(のどちんこ)の上にある軟口蓋に、1~2㎜の小さな水疱ができ、広がり、水疱が破れて2~4mmの潰瘍になります(※2)。この水疱や潰瘍は、一般的に7日ほどで治癒します(※3)。

高熱や口の中の水疱により食欲がなくなると、体力が低下し、なかなか症状が良くならなかったり、脱水症状に陥ってしまったりする可能性もあります。

ヘルパンギーナの治療は?

ヘルパンギーナには、予防接種や特効薬はありません。ヘルパンギーナを発症したときに行われる治療は、発熱や喉の痛みなどの症状を和らげる、対症療法となります。

ヘルパンギーナにかかると高熱になってしまうことが多いため、発熱によるつらさを和らげるために、解熱作用のある座薬を使用することがあります。

また、子供がヘルパンギーナにかかった際は、水分やゼリー、プリン、ヨーグルトなどの飲み込みやすい食事を食べさせますが、それでも食べられない場合は、点滴を行って水分を補うという選択肢も考えられます。

ヘルパンギーナは保育園や幼稚園でうつる?

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ヘルパンギーナは、感染者の咳や鼻水、便などから排出されたウイルスが、口、鼻、目などの粘膜から入ることで感染し、発症します。

ウイルスに対する抵抗力が低い子供が、同じ空間にたくさんいる保育園や幼稚園は、ヘルパンギーナが流行しやすい場所です。

特に、保育園は集団で行動を共にする時間が長いため、うつりやすい環境といえます。

ヘルパンギーナは保育園にいつから行ける?

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「ヘルパンギーナになったらいつから保育園に通えるか」という質問に対して、一概に「いつから」と答えることはできません。保育園、子供の体調によって、ケースバイケースです。

ヘルパンギーナに感染したときの登園については、下記のような基準があります。

法律的な基準

ヘルパンギーナは、学校保健安全法で「第三種感染症」に指定されており、「学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで」出席停止と定められています(※1,4)。

しかし明確な日数は指定されておらず、発熱など、本人がつらいと感じる症状がなくなれば、保育園などに登園してもいいとされています。

保育園の基準

前述したとおり、ヘルパンギーナにかかっても、本人がつらいと感じる症状がなくなれば、解熱してから24時間をめどに登園しても、法律的には問題ありません。

しかし、保育園が個別に出席停止期間を設けていることもあります。これは、熱が下がっても喉の水疱が治るには時間がかかることや、同じ園に子供を通わせるママやパパへの配慮など、いくつかの理由が考えられます。

前述の通り、ヘルパンギーナはウイルスの感染により発症するため、たとえ症状がなくなったとしても、ウイルスを体から排出しなくなるまでは、周りの人にうつしてしまう可能性があります。

ヘルパンギーナの場合、ウイルスは咳や鼻水から1~2週間、便からは数週~数ヶ月ものあいだ排出されます(※5)。

つまり、1度ヘルパンギーナにかかってしまうと、発症前の潜伏期間から非常に長い期間にわたり、他の人にうつしてしまう可能性があるということになります。

このようなこともあり、園によって方針が異なるので、通っている園に確認するようにしてください。

ヘルパンギーナは保育園に登園許可が必要?

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厚生労働省のガイドラインによると、ヘルパンギーナは「医師の診断を受け、保護者が記入する登園届が望ましい感染症」に指定されています(※6)。これは、医師のサインは必要ないものの、「ママやパパが登園に問題ない体調であることを書き記すものが必要」だということです。

ただし保育園によって、登園許可が必要でない場合や、医師のサインが入った登園許可証が必要な場合もあります。

ヘルパンギーナに感染してしまったら、登園許可が必要かどうか、通っている保育園に確認しておくと安心です。

ヘルパンギーナは保育園に相談してから登園しましょう

「ヘルパンギーナにかかったら、いつから保育園に行けるか?」という問題は、とても複雑です。「法的」「実際の感染期間」「保育園」による見解が違ってしまうことも多く、仕事をそうそう休めないママやパパにとっては深刻な問題になってしまいますよね。

もしヘルパンギーナを発症したことがわかったら、できるだけ早めに保育園に相談してみましょう。

そして、早く元気に登園できるように、感染中はゆっくり休ませてあげてくださいね。

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