男性の不妊検査はどんなことをするの?内容は?どこで受ける?

監修医師 泌尿器科 小堀 善友
小堀 善友 プライベートケアクリニック東京 東京院院長。2001年、金沢大学医学部卒業。金沢大学泌尿器科、米・イリノイ大学シカゴ校泌尿器科、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て、2021年より現職。日... 監修記事一覧へ

子供をなかなか授かることができず、不妊検査を受けてみようかと悩んでいる夫婦はたくさんいます。しかし、病院で具体的にどんな検査をするのかわからないと、少し不安ですよね。特に男性の不妊検査に関しては、あまり知られていないことが多いようです。そこで今回は、女性とは内容が異なる男性の不妊検査について、具体的な内容やかかる費用、どこで受けるかなどについてご説明します。

男性不妊とは?

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不妊とは「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一般的に1年間、避妊することなく通常の性交渉を継続的に行っているにも関わらず、妊娠できない場合」のことをいいます(※1)。

実は不妊の原因の約半分は男性にもあるとされています。

男性不妊の原因は、主に以下の3つがあります(※2)。

● 精子を作る機能に問題がある「造精機能障害」
● 精子の通り道に問題がある「精路通過障害」
● 性交渉がうまくできない「性機能障害」

これらのうち、約8割を占めるのは造精機能障害ですが、そのうち約6割は原因が特定できないとされています(※2)。

男性の不妊検査はいつ受けるべき?

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晩婚化が進んでいる昨今、不妊検査を受ける夫婦が多くなっています。妊娠できない期間が1年以上あれば不妊症とみなされることもあり、そのくらいのタイミングから治療をはじめるケースが増えているようです。

不妊検査を受ける場合、まず女性から検査という場合が多いかもしれません。しかし原因の半分は男性にもあるため、男性も女性と同時に検査を受けたほうが、その後の治療がスムーズに進むのは間違いありません。

男性不妊の検査はどこで受けるの?

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一番多いケースは、女性パートナーと一緒に産婦人科を訪れ、精液検査を受けることです。精液検査によって、精子の数や運動率などの数値を調べることができます。

もし精子の数が少なかったり、運動率が悪かったりした場合は、詳しい検査を受けることもできます。その際は、泌尿器科を紹介されます。まだ数としては少ないものの、施設によっては泌尿器科で「男性不妊外来」を設けているところもあります。

なお、検査の結果、不妊治療を専門としているクリニックや病院との連携がとられることもあります。

男性の不妊検査の内容は?

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それでは、男性の不妊検査は具体的にどんなことをするのでしょうか?ここでは、基本的な流れについて説明していきます(※3)。

精液検査

病院内の採精室や、病院から近い場合には自宅でマスターベーションを行い、採取した精液を顕微鏡で観察します。WHO(世界保健機関)の基準に沿って精子の数や運動率などを調べます。

ただし、精液検査の数値には誤差があり、ストレスがかかっていたり寝不足だったりした場合には、大きく値が変動します。もし1回目の検査で数値が良くなかった際は、複数回検査を行います。検査条件を一定にして、より正しい結果を得るためにも、2回目以降の検査も同じ病院で受けましょう。

なお精液検査で正常とされる値は以下の通りです(※3)。

● 精液量:1.5ml以上
● 精子濃度:1500万/ml以上
● 総精子数:3900万/射精以上
● 前進運動率:32%以上
● 総運動率:40%以上
● 正常精子形態率(厳密な検査法で):4%以上
● 白血球数:100万/ml未満

もし精液検査で異常が認められた場合は、男性不妊症を専門としている泌尿器科での検査を行うことになります。

診察

不妊症に関連性のある病気にかかったことがあるか、現在の性生活の状況はどうか、といった確認を問診で行います。

また精巣などの外陰部の診察や精巣サイズを測ったり、男性不妊症の原因として最も頻度の高い精索静脈瘤の有無などを触診で行います。

内分泌検査

血液検査で各種ホルモンの数値を測ります。この検査により、男性ホルモン(テストステロン)や性腺刺激ホルモン(LH、FSH)、プロラクチンなどの分泌状態を調べ、精液異常の原因を探します。

染色体・遺伝子検査

精子数が極端に少なかったり無精子症の場合には、染色体検査や遺伝子検査を行うこともあります。

染色体の軽微な変化や遺伝子異常が、精子形成障害の原因になっていることを突き止められれば、精巣内精子採取術などの治療の可能性を検討することもできます。

その他の検査

医師の判断により、精子の機能を調べる検査や、精嚢や射精管の形態を調べるMRI、精巣での精子形成の状態を詳しく調べる精巣生険などが行われることもあります。

男性の不妊検査にかかる費用はどのぐらい?

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男性の不妊検査のうち、産婦人科でも受けられる基本的な精液検査であれば、保険適用により1回あたり300~1,000円の自己負担額で受けることができます。

初診時に問診や超音波検査などの基本的な検査もあわせて受けた場合は、7,000~10,000円程度かかることが多いようです。

そのほかの詳しい検査は保険対象外となるものが多く、それぞれ数千円~数万円とバラつきがあります。検査内容や施設によっても異なるため、不妊検査を考えている場合にはあらかじめ確認しておくと安心でしょう。

不妊に悩んだら、男性も検査を受けてみましょう

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不妊検査というと、「女性が産婦人科で受けるもの」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、男性も一緒に不妊外来で精液検査を受けることができます。

ただしストレスやプレッシャーなど、心理的要因によっても検査結果は変動してしまうので、1回の検査で良くない数値が出たとしても、あまり思いつめないでくださいね。

産婦人科に足を踏み入れにくいと思う場合や、さらに詳しい検査を受けたい場合には、泌尿器科での受診をおすすめします。パートナーと相談のうえ、男性も不妊検査を検討してみてはいかがでしょうか。

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