ヒルシュスプルング病とは?原因や症状は?手術をするの?

生まれつき起こる腸の病気である「ヒルシュスプルング病」。日本では、年間約200人、約5,000人に1人の割合で発症しています(※1)。赤ちゃんのうちに発見されることが多く、放っておくと腸閉塞などの命にかかわる病気に発展します。そこで今回は、ヒルシュスプルング病の症状や原因、治療方法などをご説明します。

ヒルシュスプルング病とは?

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ヒルシュスプルング病とは、「先天性巨大結腸症」とも呼ばれる病気です。消化管の動きを司る神経細胞が生まれつき無いことで、様々な症状を引き起こします。3対1の割合で、女の子より男の子に多く見られます(※1)。

消化管の神経細胞は、妊娠5~12週頃にかけて、食道から肛門に向かって徐々に広がっていきます。この過程で何かしらの異常が起こり、腸で神経細胞ができないと、生まれてから「ヒルシュスプルング病」と診断されるのです。

肛門~腸内のどれくらいの範囲に神経細胞が無いかで、ヒルシュスプルング病は下記のように分類できます。

● 直腸下部型(肛門~直腸下部に神経細胞がない)
● S状結腸型(直腸下部~S状結腸に神経細胞がない)
● 左右結腸型(下行結腸~盲腸に神経細胞がない)
● 全結腸型(回盲部~口側30cmの回腸に神経細胞がない)
● 小腸型(回盲部~口側30cmの回腸を超える範囲に神経細胞がない)

ヒルシュスプルング病の約80%は、比較的症状が軽い「直腸下部型」か「S状結腸型」です(※2)。一方で、全体の約10%は、大腸のほぼ全体に神経細胞がない「全結腸型」と、大腸だけでなく小腸にまで神経細胞がない「小腸型」です。この2つは、難病にも指定されています。

全結腸型と小腸型のヒルシュスプルング病は、年間で約20人、5万人に1人の割合で発症しています(※1)。

ヒルシュスプルング病の原因は?遺伝する?

遺伝子 イメージ

ヒルシュスプルング病の原因は、今のところ詳しく分かっていませんが、特定の遺伝子の異常によって発症することがあります。ただし、全てが遺伝子の異常によって起こるわけではありません。

遺伝子の異常によるヒルシュスプルング病は、家族内で複数人に発症することもあります。

ヒルシュスプルング病の症状は?

症状

ヒルシュスプルング病の症状は、新生児~乳児の時期に見られることがほとんどです。

新生児では、うんちが生後24時間以内に出ない「胎便排泄遅延」のほか、お腹が強く膨張する、嘔吐する、哺乳力の低下などの症状がみられます。

乳幼児期以降は、慢性的な便秘に悩まされることもあります。症状を放置しておくと、重症化して、重い腸炎や腸の壊死(えし)、腸の壁に穴が開く穿孔(せんこう)、敗血症などの重度な病気に発展することもあり、死に至ることもあります。

ヒルシュスプルング病の診断方法は?

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ヒルシュスプルング病が疑われると、専門的な検査を行います。検査には、下記のようなものがあります(※2)。

注腸造影検査

おしりから造影剤という液体を入れてレントゲン撮影を行い、動きの悪い腸の範囲を調べる検査です。

直腸肛門内圧測定検査

おしりから細い管を入れて、肛門が締まる強さを測定する検査です。肛門を締める筋肉に正しい反射があるかどうかを確認します。

直腸生検検査

直腸の粘膜の一部を採取し、顕微鏡で観察する検査です。特殊な染色法で染めると、神経細胞の有無がわかり、ヒルシュスプルング病であるかどうかが診断できます。

ヒルシュスプルング病の治療法は?手術をするの?

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ヒルシュスプルング病は、薬などの内科的な治療では治すことができないため、基本的に手術が行われます。

手術では、腸の神経細胞がない部分を切り取り、神経細胞のある正常な腸を引き伸ばして、肛門につなげます。手術後に栄養や水分を正しく吸収できるよう、場合によっては体内に管を挿入することもあります。

手術の方法は様々で、お腹を開けて行う方法の他にも、傷跡が小さく済む腹腔鏡手術や、お腹を切らずにおしりから手術を行う経肛門手術などがあります。手術の方法は、症状の重さなどによって選択されます。

また、小腸型など、神経細胞がない部分が広範囲に及ぶときには、小腸などの臓器移植や人工肛門の取り付けなど、手術を行う必要も出てきます。

手術を行い、神経のある腸と肛門がつながれば、便が出るようになり、日常生活を送れるようになります。

しかし、全結腸型や小腸型など、神経のない腸の範囲が広い場合は、手術後も、栄養や水分の管理が必要なことがあります。その場合、長期の入院や、在宅での治療が行われます。

ヒルシュスプルング病は早めの治療が大切

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赤ちゃんが手術をすると聞くと、胸が締め付けられるような気持ちになりますよね。しかし、ヒルシュスプルング病を放置すると、苦しいのは赤ちゃん自身です。重篤な病気につながる前に医師とよく相談し、早いうちから治療を開始することが大切ですよ。

手術後もケアが必要なこともあるので、周囲の理解と協力を仰ぎながら、赤ちゃんを見守ってあげてくださいね。

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