子育ては思うようにいかないものですが、だからこそ楽しい!ということもありますよね。しかし、接し方によっては、関係性が悪くなってしまうこともあります。成長して友達関係が広がると、一時的に親との関係性が変わることもありますが、基盤を作るのは子供の頃の接し方が重要といわれています。そこで今回は、良い親子関係を築く方法についてご紹介します。
親子関係が良くない状態になる傾向は?
アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が提唱した、「親業」という親のためのトレーニング講座があります。日本では、実際の親にはもちろん、看護や教育のシーンで広く知られています。
その「親業」のなかに、親子関係を壊すきっかけとして、「●●ちゃんのためにしているのに!」「●●しなきゃだめよ」「それは甘えた考え方だよ」といった、相手(子供)の考えを聞かずに一方的に意見を押し付けるコミュニケーションがあげられています。
これは、「命令・脅迫・説教・提案(アドバイス)・説得・避難・賞賛(同意)・侮辱・診断(解釈)・同情・尋問・皮肉(ごまかす)」といった、12の行動からなるもので、お互いが話し合っている状態ではありません。
一方的なコミュニケーションを続けていると、自尊心を傷つけるだけでなく、親への期待を諦めてしまうなど、親子関係に影響を与えてしまうことがあります。
良い親子関係を築く方法とは?
子供が小さいうちは親がお世話をしなければ生きていけません。そこで無意識に、子供を「所有物」として捉えてしまうこともあるかもしれませんが、子供を自分とは別の一人の人間として接することが重要です。
これは、他人のように接するという意味ではなく、同時に子供にとって安心できる親でいることも必要です。
ここでは、前述の「親業」に加え、良い親子関係を築くのにおすすめの方法をご紹介します(※1)。
相手(子供)の話を聞く
親の意見を言う前に、子供が思っていること、感じたことを聞いてあげましょう。ちゃんと向き合ってくれていることが伝わると、建前ではなく、なかなか表に出しにくい気持ちを打ち明けられるようになります。
相手に自分の気持ちや考えを話す
子供の気持ちを聞いたのと同じように、親である自身の気持ちや考えも伝えましょう。このときに意見を押し付けるのではなく、「ママはこう思うけど、どうかな」と対話をすることが大切です。
親子で対立状態を作らない
親と子供の意見が一致しないことは、珍しいことではありません。どうすればお互いが納得できる方法がとれるのか、解決策を一緒に考えましょう。正解がなくても、親子で向き合えた事実が子供の自信に繋がります。
子供の個性を尊重する
子供が周りと違う面を持っていても、個性として認めてあげましょう。「どうしてみんなと同じようにできないの?」という言葉は、子供が否定されたと感じてしまいます。それに悩んでいるようであれば、アドバイスしてあげると良いですね。
存在・判断・行動を認める(自主性を認める)
できたことだけを褒めるのではなく、失敗したとしても、行動に起こしたこと、挑戦したことを認めてあげましょう。「失敗してもいいんだ」という気持ちが、次への挑戦や自信に繋がります。
理不尽な叱り方をしない
何か間違ったことをしても、「あなたが悪い」と決めつけるような叱り方は良くありません。間違った行動をしたときは、なぜその行動をしたのか、裏側にある理由を探ってみてください。親の気分次第で前触れもなく叱ることは、不安にさせる要因になることもあります。
どんなことも一度受け入れる
子供が「●●をしたい」と要求してきたときは、頭ごなしに「ダメ」と否定すると、次の行動がとれなくなってしまいます。「わかった。でも料理を作るお仕事が終わってからでいい?」と、一度受け入れてから、状況を説明してあげましょう。
親子関係を修復したいときに大切なことは?
すでに親子関係があまり良いと感じていない場合でも、気づいたこと、修復したいと思ったその気持ちが大切です。今からでも子供と向き合いましょう。
どうしても方法がわからないというときは、講習に参加するのも方法の1つです。どこか大きな講習に申し込む以外にも、児童館や保健センターなどで相談できることもあります。
また、相談する前に話を聞く機会を作り、何がきっかけだったのか聞いてみるのも良いですね。自分の気持ちを伝えられる小学生くらいの年齢であれば、話してくれるまでゆっくりと耳を傾けてあげましょう。
なかなか話してくれなくても「もういい」と諦めない姿勢が、子供の心を開くきっかけにもなりますよ。
一歩引いた視点で親子関係を見直してみよう
親になってみると、つい子供に口出しをしてしまうこと、先回りして何でもやってしまうことがありますよね。自分の思いや考えを押し付けているつもりでなくても、子供にとって窮屈に感じてしまうこともあります。
「自分が子供のときはどんな気持ちだったかな」と、子供目線で考えてみると、見えていなかったことに気づけることもあります。まだ子供と思っても一人の人として何を感じているのか、一歩引いて見てみることも大切です。