赤ちゃんに歯が生え始めると、「虫歯」のことが気になりますよね。まだ食事らしい食事をしていないから虫歯にはならないと思っているママやパパは多いですが、乳歯も虫歯になることはあります。今回は、乳歯の虫歯について、虫歯の色の特徴や永久歯への影響、治療が必要になるのかなどをまとめました。
乳歯とは?いつから生えるの?

乳歯とは、大人の歯である「永久歯」の前に生える、乳幼児の歯のこと。乳幼児はまだ顎や顔の骨格が小さく、大人と同じ永久歯ではバランスがとることができないので、永久歯が生えるまでの一時的なものとして使われます。
赤ちゃんに乳歯が生え始めるのは、生後5~8ヶ月頃が目安です。まずは下の前歯2本、生後10ヶ月頃に上の前歯が2本、1歳で前歯の横に上下2本ずつ生え、1歳半では「第一乳臼歯」と呼ばれる奥歯が生えだします。2歳で乳犬歯、2歳半頃に「第二乳臼歯」が生え、上下20本の乳歯が生え揃います(※1)。
しかし、赤ちゃんの歯が生える時期には個人差があります。一般的な時期はあくまで目安として考え、成長スピードに寄り添ってあげてください。
乳歯も虫歯になるの?白濁する?

乳歯の虫歯は、虫歯菌(ミュータンス連鎖球菌)が原因になりますが、ミュータンス連鎖球菌は、乳歯が生え始めたときに常在菌として成育し始めます(※2)。歯が生えた時点でキレイな状態を保っておかないと、プラーク(歯垢)を増殖させる要因にもなります。
虫歯菌は食べ物や母乳に含まれる糖分を利用してプラークを増殖させ、酸を作り出します。このとき、歯の表面を覆うエナメル質から、歯の成分であるミネラルが溶けだす脱灰(だっかい)が生じ、虫歯になりやすい状態を作ってしまいます(※2)。
乳歯は永久歯に比べてエナメル質が弱く、虫歯になりやすいのが特徴です。母乳は食事に比べてプラークを作りにくく、ガーゼで拭き取るだけでも十分ですが、離乳食がはじまったら本格的なケアを始めましょう。ママやパパの唾液でも虫歯は感染することがあるので注意してくださいね(※1)。
乳歯の白斑や白濁は要注意
乳歯の表面に白い斑点ができたり、生え際に白いがついたりした場合、虫歯になりかけている状態です。放っておくと黄ばんだり茶色い線になって、穴があいてしまうこともあります(※3)。早いうちに、ガーゼ磨きとともに歯ブラシに慣れる習慣をつけておきましょう。
乳歯が虫歯になると永久歯に影響はあるの?

乳歯が虫歯になっても、永久歯に影響がないように思うかもしれませんが、実はおおいに関係しています。乳歯は生え始めたときからケアしてあげてくださいね。
乳歯が虫歯になると、口の中に虫歯菌が増殖します。乳歯は一度に生え変わるわけではなく、乳歯がいくつか残っている状態で永久歯が生え始めるので、虫歯菌が口の中にいる時点で永久歯にも影響を与えます。虫歯によって乳歯が早く抜けるようなことがあれば、永久歯が正しい位置に生えてこないことも。
また、永久歯への影響に限らず、虫歯を気にしてしっかり噛まなかったり、左右のどちらかだけで食べたりしていると、顎が成長しにくく、噛み合わせや歯並びが悪くなることもあります(※1,2)。
乳歯が虫歯になったときは治療が必要?

乳歯でも虫歯が悪化すれば大人と同じような治療をすることがあります。症状によっては、虫歯ができた部分を削ったり、金属やプラスチックといった詰めものをしたり、麻酔をして治療するケースもあります(※4)。
病院では歯の状態をチェックし、虫歯がなくても歯石の除去や、虫歯予防としてフッ素を塗布してエナメル質を強化してくれます。初期虫歯の段階であれば、歯石のクリーニングとフッ素コーティングで虫歯の進行を止めることもできますよ。
「乳歯が虫歯になっているかも」と思ったら、まずは歯医者を受診しましょう。乳歯の虫歯は見分けるのが難しいので、少しでも違和感があれば専門家の判断を仰ぐのが一番です。
できるだけ定期的に歯科健診を受け、日頃から気になる点がないか、ママやパパが歯磨きのときに丁寧に見てあげてくださいね。
乳歯の虫歯は毎日のケアで予防しよう
乳歯をケアするためにも、毎日のケアを習慣づけて予防することが大切です。
母乳やミルクだけの時期に生えていれば、ガーゼで拭き取る「ガーゼ磨き」をしましょう。離乳食がはじまったら、食後は白湯を飲んで口の中の食べ残しを流し、ガーゼ磨きとともに少しずつ歯ブラシへ替えていくようにしてくださいね(※5)。
歯磨きをスムーズに進めるには、できるだけ早い時期から、口の周りを触られることに慣れる必要があります。子供は歯のケアを嫌がるものなので、ママやパパが予防に努めてあげてください。
歯磨きもスキンシップの一環と考えて、子供が歯磨きを楽しめる環境を作ってあげましょう。