2018年8月、首都圏を中心に風疹が流行する兆しがあるとし、厚生労働省は予防接種の徹底などを呼びかけています。この通知があるちょうど2週間前、私は偶然、風疹の抗体検査を受けました。
そもそも風疹とは?
風疹とは、風疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。咳やくしゃみなどで人から人へうつります。
感染すると、発疹や発熱などの症状が現れることもありますが、およそ4分の1の人は無症状で終わります(※1)。つまり、健康な大人が感染したとしても、そこまで心配する必要があるわけではありません。
それではどうして、風疹が流行すると厚生労働省からの勧告が出るほどに大きな騒ぎになるのでしょう。
それは、妊婦さんが風疹に感染すると、ウイルスがお腹の赤ちゃんに感染し、「先天性風疹症候群」を引き起こす恐れがあるからです。
お腹の赤ちゃんが先天性風疹症候群になると、難聴、心疾患、白内障、精神や身体の発達の遅れなどの障がいをもって生まれる可能性が高くなります。
風疹は、ワクチンを正しく接種することで抗体を得ることができるため、ワクチンの接種が広がり、風疹にかかる妊婦さんが減れば、先天性風疹症候群赤ちゃんを減らすことができると言えます。
風疹は他人事ではない
妊娠中にリスクが高いのであれば、妊婦さんや妊活中の女性だけが気をつけていれば良いのでは?と思うかもしれませんが、そういうわけではありません。
なぜなら、妊娠中ではない人が風疹にかかったとしても、知らないうちに妊婦さんにうつしてしまい、お腹の中の赤ちゃんが先天性風疹症候群になる可能性があるからです。
つまり、自分が風疹にかかることで、知らないあいだに、知らないところで、赤ちゃんが先天性風疹症候群になっているかもしれない、ということです。
かなりゾッとする話ですよね。驚かせて申し訳ないのですが、これが事実なのです。
風疹の抗体検査を受けてみた
さてここから、私の話に入らせていただきます。私は1991年生まれの27歳、女性。風疹の予防接種はこれまで2回受けています。
先日、同い年の友人から妊活を始めるという話を聞きました。michiruなどのアプリやメディアに関わり、妊娠に対して人より少し知識があった私は「念のため、風疹の抗体検査を受けたほうが良いよ」とアドバイスをしました。
アドバイスをした手前、私もいちおう抗体検査を受けておくか、と軽い気持ちで自治体の抗体検査の実施状況について調べてみることにしました。
そう、風疹の抗体検査および予防接種は、自治体によっては無料で受けられるのです。
私が住んでいる東京都江東区では、下記の3つに当てはまる人は、無料で抗体検査を受けることができました。
- 19歳から49歳までの女性で、妊娠を予定または希望する区民
- 1の配偶者
- 風疹の抗体価が低い妊婦さんの配偶者
そしてこのうち、1に当てはまる人で、風疹の抗体価が低かった女性に関しては、予防接種も無料で受けることができます。
実施状況は自治体によって異なるので、まずは、自治体のHPを確認したり、問い合わせたりすることをおすすめします。
風疹の抗体検査は、意外と簡単だった
自治体が絡んでいると、手続きなどが煩雑なんじゃ…と思った人もいるかもしれませんが、「意外とめんどうじゃなかった」ということをお伝えしたいです。一例ですが、江東区の場合をまとめておきますね。
予約をする
実施している病院に電話をかけて、予約をします。対象の病院は区によって定められていましたが、徒歩圏に数箇所あるほど豊富でした。
電話で「区が実施している風疹の抗体検査を受けたい」と伝えたところ、スムーズに話が通り、簡単に予約が完了。あとは当日病院に行くだけです。
当日病院に行く
当日、予約時間の少し前に病院を訪ねると、病院側で写真のような「検査申込書」を用意してくれていました。
内容はすごく簡単。3分程で書き終わります。
これに記入をしたら、医師との面談。「こういう検査をします」「結果は1週間後以降くらいかな」という簡単なやり取りをして、いよいよ検査です。
検査を受ける
風疹の抗体検査は、採血で行います。採血は、小ぶりのシリンジ1本分ほど。いつも婦人科で4本分くらいの採血を行っていた私にとっては、余裕すぎて驚きました。
病院に行ってから検査を受け終わるまでの所要時間は、たった10分ほど。ちなみに、本当に無料なのかとそわそわしていましたが、本当に無料でした。
結果を聞く日程を予約し、帰宅します。
運命の結果発表
それから2週間後、結果を聞きに再び病院を訪れました。この結果で抗体価が少なかったら、予防接種を受けることになります。
しかし私は余裕の心持ち。なぜなら、過去に2回予防接種を受けているから。「念のため受けたけど、抗体は絶対あるはず」と思っていました。
厚生労働省も、ワクチンの接種を受けたほうが良いのは、「風しんにかかったことがなく、ワクチンを1回も受けたことのない人」としています(※2)。私、当てはまらないのです。
しかし、医師から聞かされたのは、驚きの結果。
「抗体、ほとんどないね。予防接種したほうがいい。」
思わず口をついて出た言葉は、「え、まじすか?」です。
私「過去に2回予防接種受けてるんですけど。しかも最後に打ったの高校生のとき…。」
医師「やっぱり年月が経つと、抗体は減ってきちゃうからねぇ…早く気がついてよかったね。」
ちなみに、結果はこのとおり。
厚生労働省は、赤い丸をつけた部分の数値が8倍未満・8倍・16倍の場合、「風疹ワクチンの接種を推奨」、32倍以上の場合「ワクチンの接種は基本的に必要ない」としています(※3)。
私は8倍。「風疹の免疫はあるけど。感染予防には不十分」という数値のようです。そんなまさか…。
「風疹の抗体がない」ということは、「風疹に感染したことがない」こととほとんど同意なので、これまで誰かにうつしたことはなかったかもしれないけど、これから先、どこかの赤ちゃんに障害を持たせていたかもしれない…。
かなりゾッとしました。
いざ、予防接種。
半ばパニックに陥っていると、「予防接種、今日受けていきますか?」と聞かれ、さらにパニックな私。だって、抗体があると思っていたから、予防接種について何も調べていなかったのです。
「運動は?お風呂は?お酒は?副反応は?」などなど、思いつく限りの質問を医師にぶつけてみましたが、回答をまとめると、「風疹の予防接種を受けることで、行動に制限がかかることはほとんど無い」ということでした。
お酒もお風呂も軽い運動もOK。ものすごーく激しい運動と、あとプールはやめておいたほうが良いかな、くらい。副反応についてもかなり少なく、非常に安全なワクチンとのこと。
なんだか拍子抜けするほど、気負うべきことがなかったのです。(ちなみにこの日、歯医者で虫歯の治療を受ける予定がありましたが、それもOKとのことでした。)
予防接種は注射です。風疹・MRワクチンを打ちました。
インフルエンザの予防接種で痛い思いをしたことがある私は、緊張マックス…。そわそわしていると、看護師さんから「風疹の予防接種は痛くないよ」との励ましの言葉が。
「またまたぁ…」と思いながら腕を出し、二の腕にちくっと注射が刺さると…本当に痛くない!(インフルエンザの予防接種もこうなればいいのに!)この数分の緊張感を返して欲しい…さらに拍子抜けしました。
風疹の抗体検査、ぜひ受けてください
何が言いたいかというと、「風疹の抗体検査は、みんなが受けたほうが良いのでは」ということです。予防接種を2回打っていた私も抗体が十分にはなかったし、検査も、予防接種も、本当に簡単に済むのです。しかも自治体によっては、全て無料です。
妊活をしている人はもちろん、我が身と我が子を守るために、早めに受けることをおすすめします。
妊活をしていない人も、将来子供を望む・望まないにかかわらず、男性・女性にかかわらず、多くの子供が健康に生まれる未来を作るために、ぜひ受けてほしいです。これまで受けていなかった自分自身への反省も込めて、心から思います。
渡邊渚
わたなべなぎさ
「こそだてハック」「ninaru baby」編集歴2年半。日課はシャンシャンのライブ配信を見ること。宝物はシャンシャン生後10日目の実物大ぬいぐるみ。年間パスポートも買って、孫のように愛でています。https://eversense.co.jp/member/nagisa-watanabe