「トリキュラー」は、日本でも広く利用されている経口避妊薬の一つ。低用量ピルのなかでもよく使われているので、服用したことがある人も多いと思います。比較的値段が安いトリキュラーですが、効き目はどうなのでしょうか?今回はトリキュラーの効果や副作用、飲み方などについてご説明します。
低用量ピルのトリキュラーとは?
「トリキュラー」とは、ドイツのバイエル薬品株式会社が製造・販売する低用量ピル(経口避妊薬)です。
低用量ピルは、開発された順番によって第1~4世代に分類されており、トリキュラーは「アンジュ」などと同じ第2世代にあたります。
なお、トリキュラーと同じ効果を持ちながら、安く購入できるジェネリック医薬品として「ラベルフィーユ」というピルがあります。
トリキュラーの効果は?
トリキュラーには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つの女性ホルモンに似た成分が含まれています。
トリキュラーを服用することで体内の女性ホルモンを一時的に増やし、排卵後と同じホルモンバランスを作り出します。これによって脳は「すでに排卵した」と認識してホルモンの分泌量を減らすため、排卵が起こらなくなり、ほぼ確実に避妊することができます(※1)。
トリキュラーの飲み方は?
トリキュラーの錠剤は、ホルモンの配合量によって色が分かれていて、決められた順番で飲むことで体内のホルモンバランスを自然に変化させられるのが特長です。
トリキュラーには21錠タイプと28錠タイプがあり、どちらも効果は同じですが、飲み方が少し異なります。
21錠タイプは、生理初日から1日1錠、毎日決まった時間に次の順番で21日間飲み続けたあと、7日間の休薬期間中は何も飲みません。28錠タイプは、休薬期間中もホルモンが含まれない偽薬(プラセボ)を飲みます(※1)。
● 赤褐色:生理初日~6日目
● 白色:7~11日目
● 淡黄色:12~21日目
● 白色(大):22~28日目(28錠タイプのみ)
次の周期以降も避妊を継続する場合は、29日目に当たる日に新しいシートの1錠目を飲み、同じように繰り返します(※1)。
なお、トリキュラーのシートの1錠目を飲むのが生理初日よりも遅れた場合、避妊効果が弱まる可能性があるため、最初の1週間はコンドームなどほかの避妊法も併用してください(※1)。
トリキュラーを飲み忘れたときの対処法は?
前述のとおり、トリキュラーは決まった順番で毎日服用することで効果を得られる薬なので、飲み忘れたときには注意が必要です。
前日の飲み忘れに気づいた場合は、すぐに飲み忘れたぶんの錠剤を服用し、その日のぶんの薬もいつもと同じ時間に飲んでください。つまり、1日に2錠服用することになります(※1)。
もし、2日以上連続して飲み忘れた場合は、そのシートに残った錠剤は飲むのをやめて、次の生理が始まったら新しいシートの1錠目から再開しましょう。トリキュラーを飲んでないあいだは避妊効果がなくなってしまうので、別の方法で避妊する必要があります(※1)。
ただし、トリキュラーの28錠タイプのうち白色の大きい錠剤(プラセボ)にはホルモンが含まれていないため、万が一飲み忘れても慌てる必要はありません。休薬期間の数え間違いを防ぐために、飲み忘れた日数ぶんのプラセボは処分してしまいましょう。
トリキュラーの副作用は?
メーカーによる市販後の実績調査では、トリキュラー服用者の11.4%になんらかの副作用が現れたとされます(※1)。
副作用の症状は、不正出血や胃のむかつき、乳房痛など一時的なものがほとんどです(※1)。トリキュラーを飲みはじめたばかりの頃によく見られますが、体がホルモンの作用に慣れてくると症状が落ち着くことがほとんどです。
ただし、ピル全般にいえることですが、血管が詰まって心臓や脳に障害を起こす「血栓症」のリスクもわずかにあるので注意が必要です(※1)。トリキュラーを飲んで体調に異変があったときは、かかりつけの婦人科をすぐに受診しましょう。
トリキュラーを正しく使って避妊しよう
トリキュラーは、ホルモンの含有量によって3色に分かれているため、順番を間違えずに正しく使えば、ほぼ確実に妊娠を防ぐことができます。コンドームなどの避妊だけでは心配があるといった場合は、婦人科でトリキュラーの処方を相談してみるのもいいかもしれません。
副作用で、トリキュラーを飲んでいる期間に不正出血が起きることもありますが、たいていは数日で治まります(※1)。ただし、なかなか出血がなくならなかったり、体調が悪くなったりしたら、すぐに病院を受診してくださいね。