産休・育休中、年金の納付が免除される制度がありますが、実はまだあまり知られていません。そのため、申請を忘れてしまうと知らないうちに損してしまう可能性も。
そこで今回はその制度の対象者や申請方法などをご紹介します。
どんな制度?申請が必要な人は?

産前産後や育児休業の期間、公的年金の納付が免除される制度があります。免除された期間は、保険料を納めた期間として扱われるので、将来もらう年金の額が減ることはありません(※1)。
対象者は?
産前産後の期間や育児休業の期間、以下が免除の対象になります。
● 国民年金1号の加入者
⇒日本国内に住んでいる20〜59歳の自営業者、農業者、学生、無職の人とその配偶者
● 厚生年金加入者
⇒70歳未満の会社員や公務員など
多くの方が当てはまります(※1)。ただし、免除される期間は加入している保険によって異なるため、のちほどご説明します。
申請が必要な人は?
自分で申請が必要になるのは、国民年金の加入者である第1号被保険者です(※1)。手続きをしなければ免除にならないので注意しましょう。
一方で、厚生年金に加入している第2号被保険者は、在籍している会社や団体が手続きしてくれます(※1)。自分で手続きを行うことはありませんが、このような制度になっていることを知っておいてくださいね。
なお、第2号被保険者の扶養に入っている人(第3号被保険者)は、自身で保険料を納める必要がないため免除の対象にはならないので、手続きも不要です。
免除される期間は?

年金保険料の納付が免除される期間は、加入している年金によって違いがあります。
国民年金に加入している場合
国民年金に加入している人は、産前産後の期間のみ免除になります(※1)。
産前産後休業期間(ママのみが対象)
● 出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間(多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から最大6ヶ月間)
なお、2024年12月現在、国民年金保険料の育児期間の免除制度はありませんが、2026年10月からはママ・パパを対象に育児期間中も免除される制度が始まります(※2)。
厚生年金に加入している場合
厚生年金に加入している人は、産前産後と育児休業の期間が免除になります(※1)。
ただし、事業主や労働者ではない役員の人は、育児休業の保険料免除の対象にはなりません。
産前産後休業期間(ママのみが対象)
● 産前42日(多児妊娠の場合98日)〜産後56日の間で、妊娠や出産を理由にママが仕事をしていない期間のうち、産休開始月から終了日の翌日が属する月の前月まで
育児休業期間(ママ・パパが対象)
● 3歳未満のこどものために育児休業を取得する期間のうち、次の要件を満たしている月
その月の末日が育児休業期間中の場合
例)4月4日〜7月4日の3ヶ月間、育児休業を取得
→4・5・6月分の保険料が免除
【要件②】
同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合
例)5月2日〜5月15日の14日間、育児休業を取得
→5月(育休開始日が属する月)分の保険料が免除

また育休取得の期間が、賞与が支払われた月の末日を含む連続した1ヶ月を超える場合、賞与分の保険料も免除となります。
申請の方法は?

申請の方法も加入している年金によって、以下のように異なります。
国民年金の場合
産前産後免除は、スマホで24時間いつでもマイナポータルから電子申請できます。
また、市区町村の国民年金担当窓口や年金事務所での手続きも可能。住んでいる自治体の役所または近くの年金事務所に確認してみてくださいね。
手続きができるのは出産予定日の6ヶ月前からなので、早めに申請するのがおすすめです(※3)。
厚生年金の場合
勤務先に産前産後休業と育児休業の申出をした後、勤務先の会社や団体が日本年金機構に産休や育休の申出書を提出します。
産休・育休中に使える制度はフル活用しよう!
産休・育休中は、出産費用に加え育児グッズなども揃える必要があり、なにかとお金がかかるものです。
できるだけ出費を抑えて、日々の暮らしにお金を使えるように、ぜひ活用してくださいね。