赤ちゃんがいる生活では、思いがけないトラブルが起きるものです。たとえば、やけどもよくある事故の一つといえます。やけどには段階があり、自宅で冷やすだけで済むものもあれば、すぐに病院へ行くべきものもあります。それでは、赤ちゃんがやけどしてしまったときは、どのように対処すればいいのでしょうか。今回は赤ちゃんのやけどについて、応急処置の方法や治療法、病院に行く目安、やけどの跡が残るのかなどをご紹介します。
やけどは重症度によって症状が違う?
やけどといえば水ぶくれですが、やけどをしたからといって必ず水ぶくれができるわけではありません。
やけどの重症度は軽い順から、1度、2度、3度と表されます。1度は皮膚が赤くなり、ヒリヒリとした痛みを伴う軽度のやけどです。
2度は水ぶくれを引き起こす中等度のやけどのことです。ただし、やけどした皮膚の深さによって、浅達性2度と深達性2度に分けられます。やけどが浅い浅達性2度は皮膚が赤くなり、痛みが現れます。一方、やけどが深い深達性2度は皮膚が白色になり、痛みはあまりありません。
3度は、皮膚が白色や褐色、黒色になる重度のやけどで、水ぶくれはできず、痛みを伴わないのが特徴です(※1)。
ちなみにやけどの水ぶくれは、やけどによって毛細血管が破れ、皮膚の中に血漿(けっしょう)と呼ばれる血液の成分が出てしまうことでできます。つまり、水ぶくれの中身は血液の液体成分なのです。
赤ちゃんがやけどしたときの応急処置は?
赤ちゃんがやけどをしてしまったら、まずは冷やすことが肝心です。
水道の水を強めに出し、流水で患部を15〜30分は冷やしてください(※2)。服を着た状態でやけどしたときは、服を着せたまま、服の上からシャワーなどを使って患部を冷やします。
水で冷やすときに、胴体部分に流水を当ててしまうと、体温が下がりすぎることがあるので、流水を当てる箇所には注意しましょう。また、保冷材や氷のうを患部に押し当てて冷やすと、水ぶくれが破れる恐れがあるので、基本的には流水で冷やしてください。
患部がある程度冷えたら、病院に向かうのですが、その際に以下の点に注意してください。
自己判断で薬は塗らない
早めに対処した方がいいと考え、ステロイドや抗生剤などの軟膏やアロエ、消毒薬などを塗ってしまうと、皮膚の炎症が強くなり、やけどの症状が悪化してしまうことがあります。自己判断で薬などを塗らないようにしてください。
事前に医療機関に連絡する
やけどの症状によっては、小児科の医師よりも皮膚科の専門医の方が望ましいことがあります。
医療機関に行く前に、電話でやけどの症状を伝え、対応してもらえるかどうかを確認しておきましょう。
水ぶくれに触らない
やけどの水ぶくれは、絶対に触らないようにしてください。破けると患部から感染症にかかることがあります。
水ぶくれの皮膚はほんの少しこすれただけで、破れてしまうことがあります。細菌へ感染するリスクを高めるため、やけどの水ぶくれは自己判断で潰さないのが基本です。
赤ちゃんが服の上から熱湯を浴びて、やけどになるケースもあります。その場合は、水で冷やしてから、水ぶくれを破らないようにそっと服を脱がせてください。皮膚と服がくっついているときは、無理に脱がさなように注意しましょう。
場合によっては、服をハサミで切って脱がせてもかまいません。
赤ちゃんのやけどに対する治療法は?
1度や浅逹性2度のやけどの場合は、やけど部分の表面に表皮のもとになる細胞が残っているので、表皮の再生が期待できます。そのため、やけど部分が乾かないように、軟膏などを使った湿潤療法を行うのが一般的です。
水ぶくれが大きくて、そのまま放置すると意図せず破れそうなときは、清潔な針で水ぶくれを破り、塗り薬や内服の抗生物質を使って治療することもあります。
深逹性2度や3度のやけどの場合は、表皮のもとになる細胞が少なくなっていたり、皮膚が死んでしまっていたりするため、基本的にはやけど部分に皮膚移植をしたり、切除することが多いです。
切除した範囲が狭ければ周りの皮膚の働きで治癒が期待できますが、広範囲であれば体の他の部分から皮膚を移植することになります(※3)。
治療法で疑問に思う点や分からない点があるときは、きちんと医師に尋ねるようにしましょう。
赤ちゃんのやけど跡は残る?
赤ちゃんがやけどをしたときは、重症度によって傷跡の残り方が異なります。
1度のやけどは、特に治療をしなくても傷跡は残りません。
浅達性2度のやけどの場合、多くは1~2週間で治まり、目立った傷跡は残りません。しかし、皮膚の深いところまでやけどした深達性2度だと、治癒に1ヶ月以上かかることもあり、傷跡を残す可能性があります(※1)。
3度のやけども深逹性2度と同様で、傷跡が残る可能性があります。
しかし、傷跡が残ってしまったとしても、副腎皮質ステロイド軟膏や特別なテープなどを使って、傷跡を目立たせないようにすることができます。やけどの傷跡が気になるときは、専門医に相談しましょう(※4)。
赤ちゃんのやけどは落ち着いて対処しよう
赤ちゃんがやけどをしたときに心配するのは、当然の親心です。しかし、そこでパニックになってしまうと、適切な応急処置を施せなくなる恐れがあります。また、ママ・パパのそんな姿を見た赤ちゃんも不安な気持ちになってしまうかもしれません。
赤ちゃんがやけどしたときは、まずは落ち着き、前述の応急処置を行うことが大切ですよ。