例年よりも早い今の時期から、インフルエンザの感染が拡大しています。また、コロナにも引き続き注意が必要です。「もし感染してしまったら妊婦でも薬は飲めるのだろうか…」と心配な人も多いのではないでしょうか。
今回は、妊婦さんがインフルエンザやコロナに感染した際に、薬を服用できるのかご説明します。
病院で処方される薬は飲んでいい?

インフルエンザ
妊娠していない患者さんと同様、飲み薬の「タミフル®(オセルタミビル®)」や吸入薬の「リレンザ®」「イナビル®」などが処方されます。
これらの薬は、今までの調査結果から胎児に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられています(※1)。
発症後48時間以内に服用しなければ効果が発揮されないため、インフルエンザを疑う症状が現れたら早めに内科を受診しましょう。(※2)
新型コロナウイルス
新型コロナウイルスの薬は、妊婦さんの服用を禁忌としているものがほとんどです(※3)。必ず診察前に妊娠していることを伝えてください。
新型コロナウイルスの飲み薬のひとつである「パキロビッド®パック」は、現段階では妊娠中期以降の使用でリスクはみられないという報告はありますが、処方されるのは重症化のリスクが高まる可能性がある場合に限ります(※4,5)。
薬が処方されたときは、医師と薬剤師から十分な説明を受けて、納得してから飲むようにしましょう。
解熱剤が処方された場合は?
熱や頭痛がある場合には「アセトアミノフェン」という成分を含む薬が処方されることがあります。アセトアミノフェンは適切な服用量を守れば、妊婦さんが飲んでも問題ないとされています(※6)。
ただし長期間飲み続けていると、赤ちゃんの神経や運動能力の発達障害との関連も指摘されているため、症状があるときだけ短期間飲むようにしてくださいね(※6)。
市販薬は飲んでもいい?

妊婦さんの服用が可能な市販薬もありますが、なかには妊娠中に飲むことでお腹の赤ちゃんへ影響が出るものもあります。自己判断で飲むのはやめましょう。
なかでも妊娠2ヶ月から妊娠4ヶ月にかけては赤ちゃんの重要な体の器官が作られる時期で、薬物などによる奇形が起きやすい時期になります(※7)。
手持ちの薬を飲む場合も含め、飲む前に必ずかかりつけの産婦人科に相談してください。
家族がインフルエンザ・コロナにかかったときの対策は?

もし、家族がインフルエンザやコロナに罹患してしまった場合は、以下の対策をとりましょう(※8)。
● 可能な限り感染者と部屋を分ける
● 家庭内でもマスクを着用し、距離をあける
● こまめに手洗いをする
妊婦さんがいくら対策をしていても、家族がウイルスに感染してしまった場合、二次感染の可能性が高くなります。上記の対策に加え、タオルや食器の共用も避けるなど、パートナーや一緒に住む家族も予防を徹底するようにしましょう。
※1 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター:インフルエンザ情報(医療関係者向け)」
※2 日本産科婦人科学会「妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象)」
※3 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※4 国立成育医療研究センター「新型コロナウイルス感染症の主な治療薬の妊娠中の安全性について」
※5 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(パキロビッド®パック)の 医療機関及び薬局への配分について」