子宮頸がんの検診(検査)方法とは?結果はいつわかるの?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

女性なら誰しも、子宮頸がんは気になる病気のひとつですよね。しかし、出産や子育て、仕事に忙しく、つい検診(検査)を受け損なってしまう人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、子宮頸がんの検診について、具体的な方法や費用、痛みがあるのか、結果はいつわかるのかなどについてご説明します。

子宮頸がんとは?

子宮「頚」管 子宮頚管 子宮頸管
「子宮頸がん」とは、子宮がんの一種で、子宮の出入り口の子宮頸管と呼ばれる部分にできます(※1)。

子宮の出入り口付近にできるため検査をしやすく、発見されやすいのが特徴です(※2)。

早期に発見できれば治療しやすく、病状の見通しがよいことも子宮頸がんの特徴のひとつです。しかし、病状が進行すると子宮の摘出など治療が難しくなるため、定期的な検診や検査での早期発見がとても大切です。

子宮頸がんの原因とは?

子宮頸がんの多くは、「ヒトパピローマウイルス」というウイルスが原因です(※1)。

性行為によってヒトパピローマウイルスに感染し、そこになんらかの要因が加わることで子宮頸がんを発症するとされています。

子宮頸がんを発症する患者数は、年間で10,000人程度です。ここ最近は、これから出産を控えた若年層の患者数・死亡者数が増加していて、子宮頸がんの検診や検査の重要性がまだまだ認識されていない状況です(※2)。

子宮頸がんの症状とは?

生理 ナプキン 不正出血

初期の子宮頸がんは、ほとんど自覚症状がありません。

症状が進行すると、下記のような症状が見られることがあります(※1)。

● 生理中でもないのに出血して下着にしみのようなものがつく
● 血が混じったピンク色っぽいおりものが出る
● 性交時に出血する
● 不正性器出血がある

そのほか、生理中の経血量が増えたり、生理の期間が長引いたりすることもあります(※2)。

気になる症状があるときは、すみやかに婦人科を受診してください。

子宮頸がん検診(検査)はどこで受けられる?

婦人科 検査 病院 女性 内診 台

前述のように初期の子宮頸がんには自覚症状がほとんど無いので、20歳を過ぎたら、2年に1度は子宮がんの検診を受けることが推奨されています。

そこで昭和57年より、市区町村が主体となって子宮頸がん検診を行うようになりました。対象は20歳以上で、2年に1度受けることができます(※3)。

検診を受けられる場所は自治体によって異なり、広報や申込みの方法も、子宮頸がんの検診の案内を郵送するところもあれば、ホームページや広報誌で確認しなくてはいけないところもあるなど、様々です。

自治体のホームページや役所の窓口などで早めに確認しておきましょう。

もちろん自治体の検診ではなく、普段の健康診断や婦人科検診などで子宮頸がん検診を受けることも可能です。ただしその場合は費用が自己負担になるので注意しましょう。

子宮頸がんの検診(検査)方法とは?

婦人科 健診 内診

子宮頸がん検診の検査内容は、問診、視診、内診、細胞診です(※3)。

子宮頸がんの視診・細胞診とは?

視診とは、異常がないかを医師が目で見て判断する検査のことです。そして細胞診とは、細胞の一部を採取し、異常がないかを顕微鏡で見て判断する検査のことです。

検査を受ける人は、下着を外して内診台に上がります。

上の写真のような診察の姿勢で腟鏡を腟内に挿入し、まず子宮頸部を観察します(視診)。このとき、子宮頸部に腫瘍などの異常がないか、おりものの状態や炎症がないかどうかチェックします(※4)。

続いて、専用の綿棒やブラシのようなもので子宮頸部の表面から細胞をこすり取り、細胞に異常がないかどうか顕微鏡で調べます(細胞診)。

子宮頸がんの検診は痛いの?

性行為の経験が少ないと、腟鏡を挿入する際に多少の痛みを感じることもあります。深呼吸をして、なるべく力を抜くようにしましょう。力を抜いたほうが、検査もスムーズに行えます。

細胞をこすり取るときは、痛みを感じないことがほとんどです。

性行為の経験がなかったり、少なかったりするときは、診察で強い痛みを感じる場合もあります。その場合は小さめの診察器具を使ったり、必要性が低ければ検査自体を控えることもあります。性行為の経験が少ない場合は、事前に医師にその旨を伝えておくといいでしょう。

子宮頸がん検診は生理中は受けられない?

生理中でも子宮頸がん検診は受けられますが、正しい結果を判定できないこともあります。そのため、基本的には生理期間外に検査を受けるようにしてください(※5)。

生理期間中は検査を受けられないと定めている自治体や病院もあるため、検診の注意事項を確認してください。

子宮頸がんの検診の費用は?

お金 費用 保険 病院

自治体が実施している子宮頸がん検診には、費用補助があります(※6)。自治体によって補助額は異なりますが、自己負担額は数百円程度のことが一般的です。

そのほか、がん検診の受診を促進するために、一定の年齢以上の人にはがん検診無料クーポンも配布されています。このクーポンでは、子宮頸がん検診も受けることができますよ。

配布内容は自治体ごとに異なるので、ホームページや広報誌をチェックしてみてください。

子宮頸がんの検査を自分で受けるときは?

子宮頸がんの検査を自主的に受ける場合は、4,000円程度で受けられることが一般的です。病院によって異なりますが、診察代も含めても10,000円を越えることはないようです。

なかには、子宮体がんと子宮頸がんの検査をセットで行っている病院もあります。

子宮頸がんの検診結果はいつわかるの?

カレンダー ペン

受診した時期や医療期間によって、子宮頸がん検診の結果がわかるタイミングは異なります。平均すると、2週間から1ヶ月程度かかることが一般的です。

自治体主催の子宮頸がん検診でも、検査結果については受診した医療期間に問い合わせるように案内していることが多いようです。

子宮頸がん検診で再検査と言われたら?

診察を受ける女性

子宮頸がん検診を受診した人のうち約1%の人が、「要精密検査」、つまり再検査が必要だと診断されます(※2)。

そして、精密検査を受けた人の約10%からがんが発見されています(※7)。

このうち60%以上が、粘膜の表面のごく一部にとどまる早期がんで、子宮を温存した治療が可能なケースがほとんどです(※7)。

要精密検査と診断されたら、自覚症状がなくてもすみやかに再検査を受けるようにしてください。子宮頸がんが見つからなければ安心ですし、もし見つかったとしても、発見が早いほど治療も行いやすくなりますよ。

子宮頸がん検診は定期的に受けよう

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がんになった女性の人数を調べると、子宮がん(子宮頸がんと子宮体がん)は、乳がんや大腸がんなどに次いで、5番目に多いことがわかっています(※1)。

しかし、子宮頸がんはかかりやすい反面、治りやすいことも特長で、検診での早期発見がカギとされています。

仕事や家事、育児に忙しい20代後半から40歳頃こそ、子宮頸がんが発症しやすいタイミングです。2年に1度の子宮頸がん検診を忘れずに受診し、いつまでも健康に過ごしたいものですね。

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