反抗期がない理由は?原因は育て方?ないとどうなる?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

反抗期は2歳ごろと12歳ごろの2回あり、多くの子供が経験することです。ところが最近は反抗期がない子供も増えてきています。反抗期の子育ては精神的にも肉体的にも大変なので、なければないでホッとする一方、自分の育て方が悪かったのではないかと不安になるママもいるかもしれませんね。そこで今回は、子供に反抗期がないのは何が理由で何が原因なのか、反抗期がないとその後にどう影響するかをご説明します。

反抗期とは?いつから始まる?

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子供が2〜3歳ごろになると、なんでも「イヤイヤ」と言うようになり、親や周囲の大人に対して反抗したり、自己主張したりするようになります。この時期を「第一次反抗期」と言います。別名「イヤイヤ期」とも呼ばれ、自我の芽生え、つまりママから離れて「自分」を見つける大切な時期とされています。

一方、12歳前後に迎える反抗期を「第二次反抗期」と言います。これまで様々な事を経験し、客観的に物事を見ることができるようになった子供は、親の言っている事の矛盾に目が行くようになり、「うざい」「嫌い」などと言って反抗するようになるのです。

第一次反抗期も第二次反抗期も、どちらも自分を見つけようと子供なりに必死にもがいているからこそ起きること、ということができます。

反抗期がないとどうなる?

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「もうすぐ反抗期が来るはず…」思って身構えていたのに、いざ子供に反抗期が来なかったら、肩透かしを食らったような感覚になるかもしれません。もしかすると、「反抗期がないのは何か病気のサインなのでは?」と心配してしまうママもいるかも。

反抗期は必ず訪れるものではなく、また反抗期がないからといって病気というわけではないので、特に心配しすぎる必要はありません。

ただし一方で、反抗期がない子供には以下のような傾向があるといわれることもあります。ただしあくまで「傾向」であり、絶対ではないので、参考程度にとどめておいてくださいね。

第一次反抗期がなかったらどうなる?

第一次反抗期がない子供は、自分の気持ちを出すことができなくなったり、苦手になったりする傾向にあるとされています。その結果、思春期のころに感情を内に溜めむようようになり、神経症的な症状が出てきてしまう可能性もあります。

第二次反抗期がなかったらどうなる?

第二次反抗期がないと、親からの自立の欲求が薄れてしまう可能性があります。親元を離れたいとは思わず、いつまでも子供のままでいるために、自立せずニートやフリーターを続けたり…という可能性も。大人になってから生きづらさを覚える「アダルトチルドレン」となる傾向もあります。

反抗期がない原因は?

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反抗期がないのは、もしかしたらママやパパが子供の反抗する機会を奪っているせいかもしれません。

例えば、第一次反抗期を迎えた子供に対して「じゃあ勝手にしなさい!」と突き放したり、「◯◯しないとおやつは抜き!」と罰を与えたりするような叱り方をしていないでしょうか。

そうした叱り方は、自己主張してはいけないという子供へのサインになる場合があります。自己主張すると大好きなママやパパに嫌われるから、自分の気持ちは出してはいけないと子供が学習してしまうかもしれません。その結果、親からは第一次反抗期がないように見える可能性があります。

一方、第二次反抗期に子供と揉めることを嫌がって、叱らずになんでもかんでも「そうだね、そうだね」と受け入れてしまうと、子供は反抗することができなくなる可能性があります。

反抗するには反抗する相手が必要ですが、ママやパパが物分かりのいい親を演じたり、子供に価値観を合わせようとすると、子供は反抗したくてもできなくなってしまうと考えられます。

反抗期がない子供はどのくらいいる?

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最近の研究によると、反抗期がない子供、とくに第二次反抗期がない子供も一定数いることがわかってきました。

例えば、愛媛大学が2013年に行った調査によると、100人中40人の学生は反抗期がなかったと回答しています。

また、2013年に鹿児島県立短期大学が300人以上の学生に反抗期の有無を確認したところ、1/4以上の学生が「ほとんどなかった」か「まったくなかった」と回答しています。

さらに、2016年、約250人の学生に対して富山大学が行った調査によれば、半数近くの学生が反抗期がなかったと回答をしています(※1)。

上記の調査結果からもわかる通り、反抗期がない子供は決して珍しくないのです。

反抗期がないなら積極的にコミュニケーションを取ろう

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ママやパパが疲れていたり、忙しいときには、つい子供の主張を頭ごなしに否定してしまったり、反対に衝突を恐れてついつい受け入れてしまうこともあるでしょう。

子供はママやパパの求めるものを感じ取って、素直な子ほどいい子であり続けようとしてしまう傾向があるので、表面的には平穏で穏やかな状況で済むことも多いかもしれません。

しかし、家族が本音でぶつかり合う機会が少ないと、豊かなコミュニケーションを育てられません。

子供の成長には豊かなコミュニケーションが不可欠です。子供の反抗期を恐れず、積極的にコミュニケーションを取って家族みんなで成長していきたいですね。

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