高熱とともに全身にけいれんが現れる、熱性けいれん。その症状だけでも心配なのに、病院で入院を勧められたらさらに不安になりますよね。そこで今回は、熱性けいれんで入院することもあるのか、また、入院期間はどれくらいなのかについてご紹介します。
熱性けいれんとは?
熱性けいれんは、生後6ヶ月~5歳くらいにみられる病気で、38度以上の熱に伴い、手足の突っ張りや全身のけいれんが起こります(※1)。けいれんは、通常1~2分で治まることが多いです(※1)。
原因の1つとして遺伝子異常が考えられていますが、そのメカニズムは完全には解明されていません。
鼻炎や蕁麻疹の治療に使われる第1世代の抗ヒスタミン薬や、喘息の治療に使われるテオフィリン薬を合わせて使うことによって発症する場合があります。ただし、これらの薬は現在、副作用を考慮して、慎重に投与すべきと考えられています。
また、扁桃炎やインフルエンザなどによる発熱をきっかけに発症する場合もあります(※1,2)。
熱性けいれんで入院することもある?
「熱性けいれん診療ガイドライン」によると、熱性けいれんでの入院の目安は、下記のとおりです(※3)。
● けいれん発作が5分以上続いている
● 頭痛や吐き気、嘔吐、眩しがるなどの症状がある
● おでこにある頭蓋骨の隙間(大泉門)が膨らむ
● 運動・知覚・言語機能に障害が見られる
● 発作後30分以上、意識が戻らない
● 脱水症状がある
● 1回の発熱のなかでけいれん発作を繰り返す
ただし、あくまでもこれは目安です。けいれんが続いていても、医師によっては入院をさせず、帰宅させるケースもありますし、これらの場合以外でも、医師が必要だと認めた場合には、入院を勧められることもあります。
また熱性けいれんには、「単純型熱性けいれん」と、てんかんに発展する可能性が高いと考えられている「複雑型熱性けいれん」があります。
複雑型熱性けいれんかどうかは、下記の項目に1つでも当てはまるかどうかで判断されます(※2)。
● 全身ではなく、部分的にけいれんが起こっている
● 15分以上けいれんが起こっている
● 24時間以内に2回以上けいれんが起こっている
これらの症状が見られない単純型の熱性けいれんであれば、入院するケースはあまり多くありません。
ただし、かかる病院によっては、けいれんの再発や麻痺などの症状が出ないかどうかの経過観察や検査を行ったり、ママ・パパの不安が大きいようなら、入院させる場合もあります。
熱性けいれんで入院したときの処置は?
熱性けいれんで入院した場合の処置は、症状によって異なります。
けいれん発作が5分以上続いている
けいれん発作が5分以上続く場合、セルシンやホリゾンといった、ジアゼパム製剤の注射が行われることが多いです(※3)。
また、けいれん発作が長引いたり、意識が戻らなかったりする場合は、急性脳症の可能性もあるため、治療や経過観察が行われます。
「頭痛や吐き気、嘔吐、眩しがる」「おでこにある頭蓋骨の隙間が膨らむ」「運動・知覚・言語機能の障害」「発作後30分以上意識が戻らない」などの症状がある
これらの症状が見られる場合には、細菌性髄膜炎などの中枢神経感染症や、急性脳症を発症している可能性があります(※3)。
そのため、画像検査や髄液検査などが行われることがあります。
脱水症状がある
熱性けいれんは高熱が出て汗をかきやすいため、脱水症状になることもあります。
子供に脱水症状が見られる場合には、点滴などの処置が行われることがあります。
1回の発熱のなかでけいれん発作を繰り返す
けいれん発作が繰り返し起こる場合も、細菌性髄膜炎など、中枢神経感染症の可能性が考えられます(※3)。そのため、画像検査や髄液検査などを行う場合があります。
また、繰り返す発作によるママ・パパの不安を緩和するために入院させて、経過観察をすることもあります。
熱性けいれんでの入院期間は?
熱性けいれんでの入院期間は、病院独自の基準や熱性けいれんの種類によってまちまちですが、経過が良好であれば、一般的に3日から長くても4日ほどです。
また、熱性けいれん以外の病気の可能性がある場合には、その病気の検査や治療が終わるまでは入院が必要になる場合があります。
熱性けいれんの入院の期間には、病院ごとで基準が異なるため、医師に相談してみることをおすすめします。
熱性けいれんの入院は過度に心配しないで
子供に熱性けいれんの症状が出ただけでも不安なのに、さらに入院となると、ママ・パパとしては不安でたまらないはず。しかし、熱性けいれんで入院したからといって、すなわち大きな病気の可能性があるというわけでもありません。
熱性けいれんの発作によって起こるママやパパの不安を取り除くために、医師が入院を勧めることもあります。また、入院したとしても、経過観察や検査だけで終わることも多いです。
ママ・パパの不安は子供に伝わります。子供を心配にさせないために、また、自分たちが精神的に疲弊しないために、もし熱性けいれんで子供が入院しても、必要以上に心配しすぎないようにしましょう。