子供が幼いときほど、日々の成長や変化が目まぐるしく、嬉しく思う反面、対応にとまどうこともありますよね。小学校中学年あたりになると、体だけでなく心も大きく成長します。この時期の成長過程の一つにある、「9歳の壁」という言葉を聞いたことがあるママやパパは多いのではないでしょうか。今回は、その9歳の壁について、一体どんなものなのかや、乗り越えるための対応方法などをご紹介します。
9歳の壁とは?
「9歳の壁」とは、9歳前後の小学校3~4年生くらいの子供が、これまで順調だった友達付き合いや、学習・運動面に対して周囲との差を感じ、つまずきやすくなる時期のことをいいます。
9歳頃になると、目の前にあるものを見たまま、感じるがままに行動してきた子供が、たくさんの人や物事と関わるなかで、自分という存在を別の側面から見ることができるようになります。
自分以外の周囲を意識できるようになることは、大人に近づくための良い変化です。
しかし反面、友達が多い・勉強ができる・足が速いなど、子供一人一人に個性が目立つようになることで、他の子と自分を比べて「できないことがある」という現実を目の当たりにし、劣等感を抱いてしまうこともあります。
社会性や道徳心が発達するともいえる時期なので、親は「壁」ではなく成長過程の一つと捉え、しっかりと子供と向き合ってあげることが大切になります。
9歳の壁ではどんなことが起こるの?
9歳の壁の影響について、ここでは、学習・運動面と、友達関係に分けて、それぞれに抱きやすい劣等感や変化についてご紹介します。
学習・運動
小学2年生までは、足し算や引き算などの計算を練習しておけば何とかなっていましたが、小学3〜4年生になると、次第に複雑な文章問題や小数点という目で見えにくい数値を学ぶようになります。
また、淡々と漢字を書いていればよかった小学2年生までとは違い、習う漢字の量が多くなったり、様々な意味合いを持つ漢字の使い方を理解しなければならなかったりすることも。学校の勉強が、少しずつ複雑になってきます。
勉強の得意・不得意は個人差があるため、子供によっては理解するまでに時間がかかったり、つまずきを感じたりすることがあります。
友達関係
この時期は、発達段階の一つである「ギャングエイジ」と重なります。
ギャングエイジとは、子供が親の干渉から離れて友達同士で小集団を作る時期のことをいい、ただ楽しく遊んでいた友達との間に、友情や仲間意識が生まれ、お互いの趣味や個人としての性格を知り合う関係を築きはじめます。
相手がどう思っているか、何を感じているかなど、推測できる能力がつく反面、能力を知った子が仲間の間で優劣をつけるようなこともあり、トラブルになるケースもあるといわれています。
9歳の壁を乗り越えるための対応方法は?
9歳の壁を乗り越えるためには、子供の主体性を大切にしながら、大人が子供の気持ちに寄り添い、しっかりと内面をフォローしてあげることです。
例えば、「宿題をしなければならないけれど、友達から遊びの誘いがある」というときは、勉強をしなければいけない気持ちと、友達と遊びたい気持ち、仲間と同じ行動をとりたい気持ちが存在します。まずはそんな気持ちを理解してあげましょう。
そして次のような方法を参考にして、本人がどうしたいのか、どうしたら折り合いがつくのか、一度子供自身に考えさせてから、その答えをサポートしてあげましょう。
具体的な方法を例として伝えてあげる
常に一緒にいて逐一助言することは逆効果ですが、まったく目を離して良いほど9歳の子供は成長しきっていません。「ママだったら、こうするな」と、具体的な方法を例として伝えてあげましょう。
気持ちに寄り添い自信に繋げる
まず子供の気持ちに寄り添うことが大切です。運動が苦手であれば、勉強の面でできることを褒めたり、苦手なものがあることを知って、解決する方法を一緒に考えたりしてみましょう。
自分に自信を持たせてあげることで、子供が自分の弱点に向き合うことができるようになりますよ。
自分で解決する方法を考えさせる
友達との言い合いや問題が増えることは、人間の成長にとって大切な過程です。いじめなどの深刻な状態でない限り、自分で解決する経験をさせ、少しずつ大人がサポートすることで、自分なりのやり方を見出せるようにしていきましょう。
失敗を責めず、伸びしろを増やしてあげる
自分の判断で行動したときにうまくいかなくても、ママやパパが「だからいったでしょう?」などと責めてはいけません。ママやパパに理解されなかったと感じ、子供がさらにつらい思いをしてしまうこともあります。
大人の目線で叱咤激励するのではなく、子供を理解し、伸びしろが増えるサポートを心がけましょう。
9歳の壁でのつまずきは成長の証
9歳の壁を「成長・飛躍」として認識することで、助言やサポート方法も変わってきます。サポートをしやすくするためには、小さな頃からの親との関係性も大切です。
学力だけでなく、社会性を発達させ、道徳心を育むために、できることなら乳幼児期にしっかり大人と関わることができるよう、しっかり一緒に遊んでおくことも大事です。
しかし、昨今は核家族が増え、乳幼児期に親や大人との関わりが少なくなり、9歳の壁を乗り越えられずに成長してしまう子供が増えているといいます。
親の仕事などで時間がとれないときも、なるべく日々のコミュニケーションをとるよう心がけましょう。時間が少しでもあるときは密なコミュニケーションをとりながら、心の成長も支えてあげたいですね。