体外受精の排卵誘発 ロング法、ショート法、アンタゴニスト法とは?

体外受精では妊娠率を高めるために健康な卵子を採卵することが重要です。できるだけたくさんの卵子の中から元気な卵子を選び出す必要があります。ただし本来は1回の月経周期に1個しか卵子は排卵されないため、人工的に排卵数を増やさなければなりません。そこで行われる排卵誘発法の中に、ロング法やショート法、アンタゴニスト法と呼ばれるものがあります。今回は、自分にベストな排卵誘発法を選ぶために、ロング法やショート法、アンタゴニスト法とはどういうものか、どんなメリットがあるのかをご説明します。

体外受精の排卵誘発法は「高刺激」なの?

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体外受精における排卵誘発法は、薬の力で人工的に排卵周期を作り出す方法です。その際、どれくらい人工的な刺激を与えるかによって「低刺激」「中刺激」「高刺激」の3種類に分かれます。不妊治療においてできるだけ薬を使いたくないという方もいるので、経口薬を使う程度の低刺激や中刺激などがあります。

ただし、体外受精ではできるだけ多くの卵子を取り出したほうが、妊娠率が高まる傾向にあるので、体への負担も考えながら「高刺激」が選ばれることもあります。高刺激はGnRHアゴニスト製剤という強力な排卵誘発剤を使うため、体への負担が大きい反面、採卵数が増えるという特徴があります。この薬の使い方でロング法やショート法、アンタゴニスト法の3種類に分かれるので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握しておくことが大切です。

体外受精の排卵誘発法「ロング法」とは?スケジュールは?

ロング法は、長期間にわたってホルモン剤を投与する必要がある方法です。薬の量も使用期間も長くなりますが、採卵日をコントロールしやすいといわれます。採卵予定周期の前の周期からGnRHアゴニスト製剤の点鼻薬を使用して、自然な排卵を抑制しながら卵子を成熟させます。そして、採卵周期を迎えるとGnRHアゴニスト製剤の点鼻薬を継続しつつ、3日目から11日目前後まで卵胞刺激ホルモン(FSH)を注射して卵巣を直接刺激して排卵を促し、14日目頃に採卵が行われます。ロング法は、使用する薬の量が多いので比較的年齢が若く、確実に多くの卵子を採卵したいという人に適しています。

ロング法のメリット

● 採卵日のスケジュールをコントロールしやすい
● 卵胞が成熟しても自然に排卵する可能性がほとんどない
● 複数個の卵胞の発育が均一になる

ロング法のデメリット

● 注射の量が多く、治療費が高額になる
● 前周期は避妊が必要になる

体外受精の排卵誘発法「ショート法」とは?スケジュールは?

ショート法は、ロング法に比べて薬の使用期間が短くてすむ方法です。GnRHアゴニストを使った直後から大量に性腺刺激ホルモンが分泌されるという特徴を活かして、短期間で卵胞を成長させます。ショート法では、採卵周期の1~3日目くらいからアゴニスト製剤の点鼻薬を始めます。それとあわせて排卵を促す卵胞刺激ホルモン(FSH)の注射も行い、採卵周期の12日目前後で採卵が行われます。ロング法に比べて排卵スケジュールをコントロールしにくい面がありますが、忙しくて通院できない人に向いています。

ショート法のメリット

● 治療期間が短く、薬の使用量も少なくて済む
● 短期間で卵胞が育ちやすい

ショート法のデメリット

● ホルモンの大量分泌で悪影響が出るリスクがある
● 治療の効果が事前に予測しにくい

体外受精の排卵誘発法「アンタゴニスト法」とは?スケジュールは?

ロング法やショート法で効果が出ない人、あるいは卵胞が成熟する前に排卵してしまう体質の人などに、アンタゴニスト法が選択されます。アンタゴニスト法では、排卵誘発のためにhMG/rFSH注射を行います。採卵周期の3日目から10日目頃まで注射を行いますが、成熟前に排卵されるのを抑えるために一時的に排卵を抑制するアンタゴニスト製剤を投与します。ロング法やショート法に比べると、アンタゴニスト製剤の費用が高額になる点に注意が必要です。

アンタゴニスト法のメリット

● 採卵日を調整しやすい
● 卵胞が成熟する前に排卵してしまいやすい人でも排卵を抑制できる
● ロング法と比べると、薬剤の使用量が少なくて済む

アンタゴニスト法のデメリット

● 排卵抑制に個人差があり、卵胞確認のために複数回通院が多くなる
● 薬剤の費用が高額になる

体外受精ではロング法、ショート法、アンタゴニスト法を選択肢に

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ロング法もショート法も、アンタゴニスト法も、排卵誘発法としては高刺激になるため、体への負担は重くなります。しかし、1度の採卵でたくさんの卵子を取り出すことができ、余った卵子は凍結保存できるので、その後複数回の胚移植にもチャレンジできるという利点があります。身体的な負担のリスクもありますが、体外受精でできるだけ妊娠率を高めたいという場合は、ロング法やショート法、アンタゴニスト法も視野に排卵誘発法を検討してくださいね。

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