不妊治療で、排卵誘発のために「フェマーラ(レトロゾール)」という薬が使われることがあります。本来は閉経後の乳がん治療薬として開発されましたが、最近ではその作用から不妊治療にも応用されています。
今回は、フェマーラ(レトロゾール)の効果や副作用についてご説明します。
フェマーラ(レトロゾール)とは?
フェマーラとは、ノバルティスファーマ社の製品名で、一般名を「レトロゾール」といいます。もともとは、閉経後の乳がんの治療薬として開発された「アロマターゼ阻害薬」です。
フェマーラなどのアロマターゼ阻害薬には、女性ホルモンの「エストロゲン(卵胞ホルモン)」のうち、エストラジオールの発生を抑える作用があります。
乳腺はエストロゲンの作用によって増殖するため、フェマーラを投与することで、乳腺細胞から発生する乳がんの増殖を抑制することができるのです(※1)。
フェマーラ(レトロゾール)を不妊治療に使う目的は?
フェマーラは、体外受精や顕微授精といった「生殖補助医療」において、卵巣を刺激して排卵を促す目的で使われることがあります。
卵胞は「卵胞形成ホルモン(FSH)」によって刺激され発育していきますが、エストロゲンにはFSHの分泌を抑制する作用があります。
フェマーラを投与することでエストロゲンが抑制され、その結果FSHの産生が増えて卵胞が成長し、成熟した卵胞が排卵される仕組みです(※2)。
フェマーラには副作用がある?
国内で行われた閉経後乳がんを対象とした臨床試験結果によると、フェマーラを服用した患者のうち67.7%に副作用が見られました(※3)。
頭痛や関節痛、眠気、発疹、食欲不振といった副作用が現れることが多いですが、重大な副作用として、脳梗塞や心筋梗塞などにつながる血栓症や、心不全、肝機能障害などが報告されています。
重大な副作用の発生頻度は低いといわれているものの、命に関わる危険性がある症状なので、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うことが重要です。
体重に関しては一概には言えませんが、副作用としてむくみが現れるケースもあるので、「フェマーラを飲んで太った」と感じる人もいるかもしれません。
フェマーラを服用したあと、いつもと体調が違うと感じたら、副作用なのかどうか自分で判断がつかなくても、まずは担当医に相談しましょう。症状によっては、服用量を調節することもあります。
フェマーラの費用は?
フェマーラの薬価は1錠(2.5mg)あたり321.1円ですが、保険が適用されるため自己負担額は薬価の3割です。
排卵誘発剤として使われる場合、基本的には「1日1回1錠を月経周期3日目から5日間服用」となるため、処方料も含めると、1ヶ月分あたり610円程度になります。
排卵の状況によっては1回2錠ずつ飲むこともありますし、他の薬と一緒に処方された場合は処方料が変わることもあります。おおまかな目安として参考にしてみてくださいね。
処方を希望する場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。
フェマーラ(レトロゾール)は医師の指示に従って正しい服用を
フェマーラを医師から処方された際には、効果と副作用について説明を受け、適切に服用しましょう。気になることがあれば、医師と相談してくださいね。