小児科の選び方〜現役パパ医師が教える3つのポイント+α

赤ちゃんは生後2ヶ月くらいから、予防接種が始まります。そのため、一般的には遅くともこの時期から、小児科クリニックと関わることになりますよね。

その後も、発熱や鼻水といった体調変化のほか、予防接種や乳児健診などでもクリニックを受診する機会が増えていきます。

はじめての子育てでは特に、不安が多くなる時期でもあるので、自宅や保育園などの近くに、医師や看護師に気軽に相談ができ、一緒に成長を見守ってくれる小児科クリニックがあると心強いですよね。

そこで今回は、現役小児科医で、こども二人の父親でもある私が、かかりつけの小児科病院の選び方をご紹介します。

なごみクリニック 小児科医武井 智昭

武井 智昭

日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担当しています。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として診療を行っています。

「選び方」の前に、「小児科医」ってなんだっけ?

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選び方をご紹介する前に、そもそも「小児科医」とは何かを確認しておきたいと思います。

皆さんの知っている「小児科医」ってなんですか?「こどもの病気を診断する人」?それとも「処方箋を書いてくれる人」?

日本小児科学会のWebサイトでは、小児科医について次のように書かれています。

小児科専門医は「子どもの総合医」であること、その領域は、成育医療*も含め広範囲であると考えます。

*成育医療とは、胎児期から小児、思春期を経て次世代を育成する成人期までの過程で生じるさまざまな健康問題を包括的に捉え、それに適切に対応する医療を指します。

引用:日本小児科学会「小児科医は「子どもの総合医」です」

なんだかちょっと難しいですよね。

わかりやすく言い換えると、小児科医の役割をこども時代の病気だけでなく、成人になるまでの病気のとき以外の生活、家族や社会とのかかわりまで含めて診療を通して関わっていくこととしています。

近年では、こどもだけでなく、こどもを通してその家族ともしっかりとかかわっていくという家庭医療の考え方も主流になってきています。

こうしたことから、小児科医師にはこどもの他、かかわるお母さんやお父さんも含めた家庭をもしっかりと見据えたコミュニケーション能力が求められるようになりつつあります。

小児科の選び方1:近くの町医者>遠くの大病院

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小児科の病院って色々ありますよね。

住宅街にある個人経営の小児科クリニックはもちろん、大きな基幹病院(○○県立こども医療センター、△△市立病院、○○大学付属病院など)にも多くの場合、小児科はあります。

これまでは「総合病院の方が休日・夜間も診療をしてくれて、いざというときに入院もできる」「様々な専門医が在籍しているので、安心してかかれる」という考えがありました。

しかし、大きな基幹病院では、曜日や時間帯によって外来の担当医が変わることが多いため、現実には「かかりつけ医師」と呼べるような家族を含めた関係の構築は難しくなっています。

さらに基幹病院では、初めてかかる場合に「選定療養費」という料金が5,400円以上かかることが多くなりました。

そのため、こどものかかりつけの病院には、敷居が低く気軽に受診ができ、こどもにとっても通院にかかる時間が少なく負担が軽い、家の近くの小児科クリニックを選ぶことをおすすめします。

小児科の選び方2:「日本小児科学会専門医」の資格がある

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こどもの成長や発達は、個人差が大きいため、一人一人に合わせた診療が必要です。

しかも、体の特徴や年齢によってかかりやすい・発見されやすい病気なども様々です。

こども一人一人に合った診療ができ、安心して相談できるという客観的な目安のひとつとして、それぞれのクリニックの院長または担当医師が「日本小児科学会専門医」「指導医」の資格を有しているかどうかがあります。

この資格は、「十分な医療知識・経験があること」や「最新の医療を理解して提供できる」ことなどをはかるもので、決められたカリキュラムを受け、その後、筆記試験や面接を通過して、初めて取得できます。

そのため、「○○小児科医院」「△△こどもクリニック」という名称であっても、小児科専門医資格を有していることが確認できたら、なお安心ですね。

医師が小児科専門医資格を有しているかどうかは、日本小児科学会のサイトで調べることができますよ。

小児科の選び方3:診察機会が多い医師との相性

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近年、夜間診療や休日診療を行う小児科クリニックが、都市部を中心に増えています。このような病院は、1人や2人の医師ですべての時間帯をカバーすることが困難です。

そのため、こうしたクリニックをかかりつけにする場合には、院長先生や副院長先生など、週で一番多く外来診療を担当している医師と相性が良いか、家族として安心してかかれるかどうかを判断しましょう。

また、夜間や休日に診察してくれる医師は非常勤(ざっくり言うと、アルバイト)であることも少なくありません。

このドクターが前述の小児科専門医資格を有していることも確認できればより安心ですね(在籍する医師はすべて小児科専門医資格を有していますというクリニックが多くなっています)。

そのほか、かかりつけクリニックとして「これがあればもっと安心」という選び方のおすすめポイントをご紹介します。小児科を選ぶときの参考にしてみてくださいね。

小児科の選び方:その他のおすすめポイント

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▽医師、看護師の対応について

  • 診察時にこどもはもちろん、家族にも視線を合わせる
  • 説明内容が丁寧で、わかりやすい(医学用語を簡単に言い換えている)
  • 診療後のホームケアの説明をきちんとしてくれる
  • 診察が終わった後でもママ・パパの話を親身になって聞いてくれる
  • ママやパパなどの家族でも、相談や診療が可能(小児科・内科の順で掲げていれば、小児科医師が内科も診療しています)
  • 予防接種や乳児健診がスムーズ

▽処方される薬

  • 抗生剤など、薬について処方の理由や効き目、副作用の注意点などの説明がある

▽施設やアクセスについて

  • 待ち時間が少ないように配慮がされている(予約システムがあっても長時間待つこともあります。その一方で電話予約のみであっても待ち時間への配慮を行うこともできます)
  • 玄関や待合室などが常に清潔感がある
  • 受付のスタッフが電話を含めて親身に対応してくれる
  • 水疱瘡などの伝染性感染症の患者を隔離するなど配慮がある
  • 自宅や保育園などからのアクセスが良好である
  • 薬局との連携がとれている


これまで紹介してきた通り、かかりつけとなる小児科の病院の選び方は様々あります。

インターネットや、近くに住む友人家族からの口コミ、また、インターネットや外から見る病院の雰囲気だけではなく、実際に予防接種や乳児健診、診療を受けることも重要です。

そのうえで「この小児科であれば、こどもも、そして親もかかりたく、安心できる」という、家の近くの診療所を見つけてくださいね。

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