フィンランドといえば、「ムーミン」や「サンタクロース」の故郷として世界的にも有名ですよね。最近では、「イッタラ」や「アラビア」などの北欧食器でも認知度が高まっています。そんな世界的にも有名なものを生み出しているフィンランドですが、実は「教育」も世界から注目を集めているのをご存じですか?今回は、フィンランドの教育の特徴や方法などをまとめました。
フィンランド教育とは?
経済協力開発機構(OECD)が、2000年から3年ごとに世界の15歳を対象にした学習到達度調査(PISA)を実施していますが、そこでフィンランドは、常に上位に入っています。
フィンランドは、2003年に「科学」「問題解決能力」「数学」「読解力」の4分野においてトップを占めたことで、世界的にも注目されるようになりました。
この背景には、1970年頃から始まったフィンランドでの教育改革にあります。国土も小さく、天然資源もなかったフィンランドは、「人材こそ財産である」と考え、教育への投資を拡大することを決断しました。
今ではフィンランドでは、全国民に公平な教育ができるように、就学前から大学まですべての教育が無償化されています。これらの教育改革を経て、世界的にも高水準の成果を生み出すフィンランド教育が生み出されたのです。
フィンランド教育の制度の特徴は?
フィンランドの教育制度は、日本と同じように1~6年生の初級(日本の小学校)と7~9年生の中級(日本の中学校)の9年間が基礎教育の期間として定められています。
その後も、高校、大学と進むのは日本と変わりませんが、すべてが無償で受けられる点が全く異なります。教育がすべて無償であること以外にも、以下のような特徴があります(※1)。
就学前教育の存在
小学校に入学する前の1年間、6歳児を対象に就学前教育(プリスクール)での準備期間が義務付けられています。読み書きや数字、社会道徳などを学び、小学校で学ぶ上での基盤を整えます。
徹底した修得主義
フィンランドでは、子供が習ったことをきちんと身につけられているかどうかを大切にします。例えば基礎教育期間に一人の子供が通常の授業についていけない場合は、特別支援教育を学校内で開き、学習支援を行います。
また中学校を卒業するとき、希望する高等学校に進学する学力に満たないと判断した場合は「10年生」という特別プログラムで、もう1年勉強ができます。
フィンランド教育の方法は?
フィンランドの教育は、子供たちが好奇心をもって楽しく学べるようにすることを大切にしており、子供たちの学力を高めるために様々な工夫を行っています。
特に日本とは異なるフィンランド式教育の工夫をご紹介します(※1,2)。
高校の入学試験がない
日本のように、高校入学のための試験はありません。入学試験がない代わりに、9年の義務教育期間中の成績の平均点で希望の高校の合否が決まります。
義務教育期間中に国の統一テストは一度もなく、先生がカリキュラムに沿って評価を行います。
子供が自ら考えて学ぶ
子供の自主性に任せた教育が行われます。子供たちに決まった答えを求めるのではなく、自由な回答を引き出す課題に取り組むなど、子供の自主性と想像力を育てる教育が重視されています。
教師の質が高い
子供たちに最高の教育を提供するために、フィンランドの就学前教育・小学校・中学校・高校の教師は、大学院で修士課程を修める必要があります。また保育園の教師や保育士の多くは学士号を取得しています。
さらに教師は毎年研修に参加することが義務づけられていて、自身も成長し続けることが求められています。
フィンランド教育を受けた子供はどう育つ?
世界的な学力テストで、常にトップクラスにあるのがフィンランド教育の大きな成果だといえます。そのほか、子供の自主性に任せる教育が行われるため、成長した後も自分自身の創意工夫を大事にします。
会社では効率性を大切にし、任された仕事を効率的に達成することを考えられるようになります。また、ワークライフバランスを大切にし、家族と一緒にいる時間を重視する姿勢も、競争社会とは無縁の環境で暮らしてきたことが土台になっていると考えられています。
詰め込みとは違うフィンランド教育の可能性
フィンランドの教育の特徴は、教師と子供の自主性を重んじていることと、平等に教育の機会を与えられていることです。そのために、教師の質を高めたり、制度面のサポートを行ったりしています。
ママやパパが同じ教育をすることは難しくても、根本となる考え方に共感し、日々の子育てにいかすことはできるかもしれませんね。