40代にさしかかって「なんだか体調がすぐれない」という日が続くと、更年期障害を疑う人も多いのではないでしょうか。更年期障害に悩む女性は少なくありませんが、そもそもどのようにして診断されるものなのでしょう?そこで今回は、更年期障害の検査方法と費用についてご説明します。
更年期障害の診断には検査が必要?
40代にさしかかって、ほてりやのぼせ、イライラ、疲れやすいといった症状を訴えて病院を受診すると「更年期障害」を疑って検査を行うことが一般的です。
更年期障害は、閉経が近づき、卵巣の機能が低下するのに伴って引き起こされる、ホルモンバランスの変化が原因と考えられています(※1)。
しかし、更年期は生活習慣病などを発症しやすい時期であること、そして、更年期障害の症状と似た別の病気のケースもあることから、体にそのほかの異常がないかどうかも、平行して注意深く検査します(※2)。
更年期障害の検査とは何をするの?
更年期障害の検査は、問診やホルモン検査、自律神経の機能検査、心理検査を行うことが一般的です(※1)。
更年期障害の問診とは
問診では、下記のような更年期障害特有の症状がどの程度の強さ見られるのかをチェックし、更年期障害のタイプを診断します。
1. 顔や上半身がほてる(熱くなる)
2. 汗をかきやすい
3. 夜なかなか寝付かれない
4. 夜眠っても目をさましやすい
5. 興奮しやすく、イライラすることが多い
6. いつも不安感がある
7. ささいなことが気になる
8. くよくよし、憂うつなことが多い
9. 無気力で、疲れやすい
10. 眼が疲れる
11. ものごとが覚えにくかったり、物忘れが多い
12. めまいがする
13. 胸がどきどきする
14. 胸が締めつけられる
15. 頭が重かったり、頭痛がよくする
16. 肩や首がこる
17. 背中や腰が痛む
18. 手足の節々(関節)の痛みがある
19. 腰や手足が冷える
20. 手足(指)がしびれる
21. 最近音に敏感である
引用:日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会『産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2017』p.261
更年期障害のホルモン検査とは
更年期障害のホルモン検査では、採血をし、「卵胞刺激ホルモン」と「エストラジオール」の濃度を測定します(※2)。
卵巣の機能が低下すると「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が減少します。そうすると、脳は、エストロゲンの分泌量を増やそうとして、「卵胞刺激ホルモン」を過剰に分泌するようになります。それでも卵胞が作られないと、エストラジオールの分泌量が低下します(※ 1)。
つまり、正常な状態より卵胞刺激ホルモンの濃度が高く、エストラジオールの濃度が低い場合は、卵巣の機能が低下していることが多いと判断されます(※2)。
更年期障害の自律神経機能検査とは
更年期障害の自律神経機能検査では、「皮膚紋画法」や「寒冷血圧試験」などが行われます(※2)。
皮膚紋画法は、背中の肩胛骨付近の皮膚に一定の力を加えてこすり、皮膚の変化を見る方法です。寒冷血圧試験は、腕などを氷水などで冷やし、もう一方の腕の血圧の変化を見たりします(※3)。
更年期障害の心理検査とは
更年期障害の心理検査では、調査表に記載された症状がどれくらいの強さで起こっているのかを確認する「抑うつ評価尺度」や「状態・特性不安検査」などを行います(※2)。
更年期障害の検査は何科でするの?
更年期障害は、婦人科で検査をすることが一般的です。最近では更年期外来を設けている病院も多いので、そちらを受診してもよいでしょう。
症状が様々で更年期障害かどうかわからない場合は、内科を受診するのもいいですよ。
更年期障害の検査、費用はいくらくらい?
更年期障害の検査費用は、病院によって差がありますが、5,000円前後が目安です。更年期障害の検査の多くは保険が効くので、高くなっても10,000円を越えることはほとんどないようです。ただ、検査のために複数の科や病院を受診する場合は、そのぶんの費用がかかります。
最近では、更年期障害の検査を自由診療にする病院も増えてきています。その場合、費用は高額になりますが、診察に時間をかけ、手厚い治療を受けることができます。
自由診療は病院が自由に費用を設定できるため、病院ごとに差が大きいのが特徴です。自分の症状にじっくり向き合ってもらいたい場合は、事前に費用の目安を問い合わせたうえで、自由診療の病院を受診するのもよいでしょう。
更年期障害かも?と思ったら、検査を受けよう
更年期障害と聞くと、「なんだか憂うつ」と思ってしまう人もいるかもしれません。ですが、更年期障害は多くの女性が経験するものです。検査を受けて適切な治療を行えば、症状が軽くなると言われています。
更年期は、子育てがひと段落して、自分の趣味を思いっきり楽しめる時期でもあります。更年期障害の症状が見られたら、婦人科や更年期外来を受診して、早めに検査や治療を受けてくださいね。