「原始卵胞」「主席卵胞」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?聞いたことがないという人も多いかもしれませんが、原始卵胞や主席卵胞は、赤ちゃんが生まれるためには欠かせないものです。今回は、原始卵胞や主席卵胞とは何なのか、年齢とともに数が減っていくのかなどについてご説明します。
原始卵胞・主席卵胞とは?
原始卵胞は、卵子のもとになるものです。卵巣内に存在し、ホルモンなどの影響で活性化すると次第に大きくなり、それに合わせて呼び名も一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞と変わっていきます。
原始卵胞が成熟卵胞に成長すると、破裂して卵胞の一部が卵子として卵巣外に排出されます(排卵)。一方、卵巣内に残った卵子以外の部分は黄体と呼ばれる組織に変化します。
原始卵胞が成熟卵胞へと成長するためには、卵胞自身が分泌するエストロゲンというホルモンの量がある程度必要になります。このとき、成長度合いに関係なく、成長に必要な量のエストロゲンを分泌している卵胞のことを「主席卵胞」と呼び、最終的にはこの卵胞が排卵されることになります。
なお、原始卵胞の大きさは約35μmですが、排卵時の成熟卵胞は約600倍の20mmにもなっています(※1)。
原始卵胞・主席卵胞と卵子の違いは?
原始卵胞や主席卵胞は卵子そのものではありません。卵胞は一次卵母細胞とそれを取り囲む細胞から成り立っていて、成熟卵胞が破裂したときに卵子として排出されるのは、このうち一次卵母細胞のみです。そのため、厳密には一次卵母細胞が卵子だといえます。
なお、一次卵母細胞を囲む細胞は卵胞の成長とともに増えていき、その結果、卵胞全体も大きくなっていきます。しかし、一次卵母細胞は成長しても大きさはほとんど変わりません。
そのため、成熟卵胞内で一次卵母細胞が占めるのはごく一部で、大部分はそれ以外の細胞で構成されていることになります(※1)。
原始卵胞は年齢とともに数が減る?
原始卵胞は赤ちゃんのときからすでに存在し、年齢とともにその数が減っていきます。
ママのお腹の中にいるときの赤ちゃんは、原始卵胞を500〜700万個持っています。しかし、生まれた時点ではそれが200万個まで減っています。
その後も年齢が上がるとともに原始卵胞の数は減っていき、思春期の初め頃にはおよそ30万個になっています。
思春期以降は、排卵や生理の有無に関係なく、1ヶ月ごとに約1000個ずつ原始卵胞が減っていくことがわかっており、35歳のときにはおよそ2〜4万個になっています。これは、生まれたときの数の約1〜2%に相当します(※2)。
原始卵胞の成熟にかかる期間は?
原始卵胞が活性化されると、一次卵胞、二次卵胞をへて成熟卵胞へと成長していきます。ただし、原始卵胞が活性化するのは思春期以降です。また、すべての原始細胞が同時に活性化するわけではなく、生理周期とは関係なく一度に15〜20個程度ずつ活性化していきます。
原始卵胞が一次卵胞になるまでの期間と、一次卵胞が二次卵胞になる期間は、卵胞によってそれぞれ異なります。ただし、一次卵胞が成熟卵胞にまで成長するのに必要な期間は、およそ200日です。
卵胞ごとに成長にかかる期間が異なるため、卵巣内には様々な成長段階の卵胞が混在していますが、このうち二次卵胞は、生理周期が卵胞期(生理が起こってから排卵までの時期)に入ると、排卵に向けて成熟卵胞へ成長し始めます。
なお、成長を始めた原始卵胞が全て成熟卵胞になるわけではありません。むしろ途中で成長が止まってしまう卵胞のほうが多く、通常、最終的に成熟卵胞になって排卵まで至るもの(主席卵胞)は、同時に活性化を始めた15~20個の卵胞のうち、1個だけです(※1)。
原始卵胞が少ないと妊娠しにくい?
精子と違い、卵子のもとになる原始卵胞は、ママのお腹にいるときに一生分が作られ、生まれた後に新しく作られることはありません。つまり、卵子は実年齢と同じだけ歳を取っていくということ。年齢を重ねると、どうしても質が落ちてしまいます。
また、原始卵胞一つにつき卵子は一つなので、原始卵胞の数が減るということは、卵子の数も減るということを表しています。
つまり、年齢が高くなるほど、卵子の質が落ち、数も減っていくということです(※3)。
妊娠のしやすさには卵子の質と数が大きく関係していると言われているので、原始卵胞の数が少ない(=年齢を重ねている)と、妊娠できる確率は減っていくといえるでしょう。
実際に、女性が自然に妊娠できる確率は30歳を超えると少しずつ低下し、35歳頃から急激に低下します(※3)。30代以降で妊娠したいと思ったら、できるだけ早く行動を起こすことが大切です。
原始卵胞・主席卵胞は検査で調べられます
前述のとおり、妊娠しやすさは卵胞の数によって左右されますが、原始卵胞や主席卵胞の数は病院で調べることが可能です(※3)。
場合によっては何度も病院へ通う必要が出てきたり、様々な検査を受けることになったりするかもしれませんが、不妊で悩んでいるカップルは、原始卵胞や主席卵胞について検査してみてもいいかもしれませんね。
特に35歳以上の人は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。