光化学スモッグ注意報とは、大気汚染物質である光化学オキシダントの大気中濃度が高くなったときに各自治体が行う注意喚起のことです。夏の暑い日に、サイレンとともにアナウンスを耳にしたことがある人も多いと思います。光化学スモッグによる健康被害は大人よりも子供の方が受けやすいため、光化学スモッグ注意報が出たらママやパパは特に気をつける必要があります。そこで今回は、光化学スモッグ注意報が出たときに慌てないために、光化学スモッグ注意報とはなんなのか、子供への影響や対策があるのかをご説明します。
光化学スモッグ注意報とは?
光化学スモッグ注意報とは、大気汚染の一つである光化学スモッグによる健康被害を防止するために、各自治体が発令する注意報のことです(※1)。
光化学スモッグとは?
工場や自動車などから大気中に排出された窒素酸化物と揮発性有機化合物が、太陽光線に含まれる紫外線の作用で化学反応を起こし、オゾンやアルデヒド、パーオキシ・アセチル・ナイトレートなどの「光化学オキシダント」と呼ばれる物質に変化します。
光化学オキシダントが大気中で拡散せずその場に留まり続けると、空が霞んで白いもやがかかったような状態になることがあり、この状態のことを「光化学スモッグ」と呼びます(※1)。
光化学スモッグで健康被害を受けやすい人は?
次のような人たちは健康な大人よりも光化学スモッグによる健康被害を受けやすいとされています(※2)。
● 気管支喘息になったことがある人
● 赤ちゃん、子供
● 高齢者
● 病弱な人
光化学スモッグ注意報が出る時期は?
光化学スモッグ注意報が出やすいのは、4〜10月にかけての気温が高くて、日差しが強く、風の弱い日です。特に最低気温が25度以上の日は注意してください。
さらに太平洋高気圧に覆われる7月から8月は、気温が高く紫外線も強くて天気が安定した日が続くので、大気中の光化学オキシダント濃度が高くなり、光化学スモッグ注意報が出やすくなります(※2)。
反対に、紫外線が弱い冬や太陽の出ていない夜間には、光化学スモッグ注意報は出ません。
風とともに光化学オキシダントを含んだ空気が移動するため、特に大きな発生源のない地域でも光化学スモッグ注意報が出ることがあります(※1)。
光化学スモッグ注意報の発令状況を知りたい
光化学スモッグ注意報の発令状況を知る方法はいくつかありますが、次のようなものが一般的です(※1,3)。
● 防災行政無線のスピーカーによる放送を聞く
● 各自治体の光化学スモッグ関連のWEBサイトを見る
● メール配信サービスに登録してメールを受け取る
● 各自治体に電話で問い合わせる
自治体ごとに採用している方法が異なるため、自宅周辺や外出先で光化学スモッグ注意報が出ているか気になったら、各自治体に問い合わせてみてください。
光化学スモッグ注意報が出たらどんな健康被害を受けるの?
光化学オキシダントは目やのどの粘膜を刺激するため、光化学スモッグ注意報が出たときに屋外にいると、次のような症状が出る可能性があります。ただし、これらの症状には個人差があり、同じ状況でも症状が出ない子供もいます。
また、ほとんどの子供は症状が出たとしても軽症ですぐに治ることが多いのですが、屋外で運動中だった場合は重症になることもあります(※1)。
目の症状
光化学スモッグにより、目がチカチカしたり、痛みが出たり、涙が出ることがあります。
呼吸器の症状
のどに痛みが出たり、咳が出たり、息苦しいなどの症状が出るのも光化学スモッグの特徴です。
そのほかの症状
光化学スモッグ注意報が出たら、吐き気を催したり、頭痛が出たりすることがあります。
光化学スモッグ注意報が出たら窓を閉めるべき?対策が知りたい!
光化学スモッグ注意報が出たら、以下のような対応を心がけてください(※2)。
● なるべく屋外に出ないようにする
● 屋外で運動をしている場合は中止し、屋内に入る
● 窓から風が入ってくる場合は窓を閉める
また、目やのどに光化学スモッグによるものと思われる異常を感じたら、次のような対応をしつつ、最寄りの保健所に連絡をしましょう(※2)。
目に異常が出たとき
水道水で目を洗ってください。その後、20〜30分たっても症状が改善せず、痛みなどが続く場合は眼科を受診しましょう。目薬は水道水で目を洗った後に、眼科で処方してもらったものを使うようにしてください。
のどに異常が出たとき
上を向いて水道水でうがいをし、のどについた光化学オキシダントを洗い流しましょう。うがいをしても症状がよくならないときは、病院で診てもらいましょう。
光化学スモッグ注意報が出たら屋内へ
子供は光化学スモッグによる健康被害を受けやすいので、光化学スモッグ注意報が出たときは学校の校舎内や家の中に入るように言い聞かせたり、ママが率先して子供を連れて屋内に入るようにしてください。
特に気管支喘息にかかったことがあったり、治療中の子供の場合は、他の子より慎重に対応した方がいいでしょう。
子供は外で遊びたがるかもしれませんが、家の中で一緒に遊ぶなどして、光化学スモッグ注意報が解除されるまで外に出ないようにしましょうね。