ノロウイルスの消毒方法は?嘔吐物をどう処理すればいいの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

冬になると、よく耳にする「ノロウイルス」。冬季に感染者が増えるノロウイルスは、感染力が強く、感染者の嘔吐物や便と一緒にウイルスが排出されます。そのため、ノロウイルス感染者の嘔吐物や便の取り扱いには、注意しなくてはいけません。そこで今回は、ノロウイルスの消毒方法、家庭でもできる消毒液の作り方、嘔吐物の処理の方法などを、ご紹介します。

ノロウイルスとは?

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ノロウイルスは感染性胃腸炎を引き起こすウイルスで、子供から大人まで広い年代で感染します。感染性胃腸炎を発症すると、嘔吐と水っぽい下痢の症状が現れ、人によっては熱が出ることもあります(※1)。

ただし健康な大人であれば、感染しても症状が現れなかったり、子供や高齢者などの場合は、重症化して脱水症状が現れたりすることもあります(※2)。

潜伏期間は24時間〜48時間ほどと短く、その後1〜2日間は上記の症状が現れます(※2)。

ノロウイルスの消毒が効果的な理由とは?

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ノロウイルスの感染経路は主に経口感染で、感染者の嘔吐物や糞便と一緒に排出されたウイルスが、手指や食べ物を経由して口から入ったり、空中に舞う嘔吐物の粒子を吸い込むことでも発症します。

ノロウイルスにはワクチンがなく、10〜100個ほどのウイルスが体内に入るだけで感染の可能性があるため、体内に入る前に消毒によってウイルスの感染力を失わせることが効果的です(※3)

ノロウイルスの消毒方法は?

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ノロウイルスの消毒方法で有効とされているのは、加熱や塩素による消毒です。

食品の加熱消毒

ノロウイルスは、食品から感染するケースも多くあります。しかし、適切に加熱をすることで、ノロウイルスの感染力や毒性を失わせる(不活化)ことができます。食品に付着したノロウイルスを不活化させるには、90秒以上、中心部が85~90度になるように加熱してください(※2)。

調理器具などの加熱消毒

まな板や包丁、へら、食器、ふきん、タオルなどの調理器具も、加熱することでノロウイルスを不活化することができます。調理器具の場合は、85度以上の熱湯で1分以上加熱してください(※2)。

調理器具やドアノブ、シーツなどの塩素消毒

大きな調理器具やドアノブ、シーツなどの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムを使った塩素消毒が有効です。

もし、感染者の嘔吐物や糞便が付着したとしても、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で浸すように拭くことでウイルスの働きを止めることができます(※2)。

ただし、次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させる働きがあるので、金属を消毒した後は薬剤の拭き取りを忘れないようにしましょう(※2)。

ノロウイルスの消毒液の作り方は?市販の材料でも作れる?

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ノロウイルスの働きを止めるのに有効な消毒液は、家庭でも作ることができます。使用するのは、市販の塩素系漂白剤です。この塩素系漂白剤を塩素濃度が200ppmになるように水で薄め、消毒したいものをこれに浸したり、カーテンや衣類、ドアノブを拭き取る際に使います(※4)。

市販の塩素系漂白剤を使って、塩素濃度200ppmの消毒液を作る際の目安は次の通りです(※4)。

製品の塩素濃度:12%の場合
水3Lに対し、液5ml

製品の塩素濃度:6%の場合
水3Lに対し、液10ml

製品の塩素濃度:1%の場合
水3Lに対し、液60ml

ただし、嘔吐物などの酸性のものに塩素系漂白剤の原液を直接かけると、有毒ガスが発生する場合があるので、注意が必要です(※4)。塩素系漂白剤を使って消毒液を作るときは、必ず商品の「使用上の注意」を確認してください。

ノロウイルスの嘔吐物も消毒すべき?

ゴミ箱 ゴミ 捨てる

患者の嘔吐物からもノロウイルスは感染するので、処理する場合は速やかに、適切な方法で処理することが求められます。

ノロウイルス患者の嘔吐物の処理の際には、以下の手順で作業を行います(※4)。

1.  使い捨てのマスクや手袋をつけて作業をする
2.  ペーパータオルなどで、飛び散らないように静かに拭き取る
3.  嘔吐した場所を塩素で消毒し、その後水拭きをする
4.  拭き取った嘔吐物や手袋などはビニール袋に密閉して捨てる
5.  しぶきなどを吸い込まないように作業を行う
6.  全て終わったら、丁寧に手を洗う

また、手順「4」のビニール袋に密閉する際、1,000ppmの濃度の塩素消毒液に浸すと、より感染予防の効果が高まります。市販の塩素系漂白剤を使って、塩素濃度1,000ppmの消毒液を作る際の目安は次の通りです(※4)。

製品の塩素濃度:12%の場合
水3Lに対し、液25ml

製品の塩素濃度:6%の場合
水3Lに対し、液50ml

製品の塩素濃度:1%の場合
水3Lに対し、液300ml

ノロウイルスの消毒で二次感染予防を

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これまでご紹介してきたように、ノロウイルスは感染力が強いため、予防を怠ると集団感染が起きかねません。

そのため、加熱消毒や塩素消毒といったノロウイルスの消毒の方法や、市販の材料を使った消毒液の作り方、嘔吐物の処理の方法を学んでおくことは、感染を防ぐために非常に重要です。

いざ周囲にノロウイルスの感染者が出たときに、家族や子供に感染を拡大させないために、正しいノロウイルスの消毒の方法を覚えておいてくださいね。

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