思春期早発症とは?身長に影響がある?原因や治療法、検査方法は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

子供の成長は喜ばしいことですが、思春期に起こる体や心の変化が早めに見られると、心配になってしまいますよね。子供にこのような様子が表れたら、「思春期早発症」である可能性があります。馴染みのない病気ですが、一体どのような症状があるのでしょうか。今回は思春期早発症について、原因や症状、男児と女児での違い、治療法などをまとめました。

思春期早発症とは?男児と女児に違いはあるの?

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思春期は「第二次性徴期」ともいい、体と心が子供から大人へと変化していく時期のことです。

一般的に、男の子は12~14歳頃、女の子は10~14歳頃から始まります(※1)。思春期は、子供の成長に欠かせない、大切な期間です。

この時期の一番の変化は、性腺刺激ホルモンが分泌され、生殖能力を持つことです。男の子は陰嚢の膨らみや声変わりなどが見られ、女の子は乳房の発達や初潮などが起こります。

また、ホルモンバランスの変化によって自分でもコントロールできないようなイライラを覚えることがあり、思春期特有の反抗期に入ります。

思春期早発症とは、この思春期(第二次性徴)が通常より2~3年程早く表れることをいいます。男の子より女の子に比較的多く見られる病気です(※2)。

思春期早発症の原因は?

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思春期早発症は、通常より早く性ホルモンが分泌されることが原因です。多くの場合、性ホルモンが通常より早く分泌される原因は不明で、特発性と判断されますが、下記のような病気によって引き起こされることもあります(※3)。

● 脳腫瘍
● 副腎腫瘍
● 卵巣腫瘍
● 先天性副腎過形成症
● 遺伝子異常によるマッキューン・オルブライト症候群

思春期早発症の症状は?身長がとまるの?

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思春期早発症の症状は、男の子と女の子で違うものと、どちらにも共通して表れるものがあります(※2)。

男児・女児の両方に起こる症状

思春期早発症になると、最初は身長の伸びが早いものの、早期に成長が終わってしまうことがあります。これは、男の子にも女の子にも見られる症状で、最終的に成人になったときの身長が低くなります。

また、思春期早発症の原因が頭部にある場合は、頭痛や視野が狭まる視野狭窄などが起こることもあります。

男児に特有の症状

男の子によく見られる症状は下記のとおりです。

● 9歳より前に睾丸が発育する
● 10歳より前に陰毛が生える
● 11歳より前にひげや脇毛が生え、声変わりが起こる

女児に特有の症状

女の子によく見られる症状は下記のとおりです。

● 7歳6ヵ月より前に乳房の発育が始まる
● 8歳より前に陰毛が生える
● 10歳6ヵ月より前に初潮を迎える

思春期早発症の検査方法は?診断基準は何?

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上記で説明した症状が2つ以上認められた場合や、年齢に不相応な程の身長の伸び、骨の成熟などがあった際には、思春期早発症と診断されます(※2)。

その際、性ホルモンなどの分泌状態を調べるためのホルモン検査や、骨の成熟度(骨年齢)を判定するため、手のX線撮影などが行われます。

また、思春期早発症には発見の難しい病気が隠れていることもあるため、場合によっては、頭部のMRI検査や、腹部超音波検査を行います。

思春期早発症は治療できるの?

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思春期早発症にはほとんどの場合、薬物治療が施されます(※2)。

治療には「LH-RHアナログ」という薬が用いられます。この薬には、精巣・卵巣を刺激する、黄体化ホルモンや卵胞刺激ホルモンを抑える働きがあります。その結果、男性ホルモンと女性ホルモンが抑えられ、思春期の進行をゆるやかにすることを目指します。

治療は主に皮下注射によって行われ、約4週間に1回のペースで、基本的には良くなるまで続けます。ただし、身長や体重の推移、性ホルモンの変化、骨成熟の変化などによって、治療の頻度や薬の量は異なります。

治療中止のタイミングも、年齢などを考慮して総合的に判断されます。成人になってからの身長に問題がないと判断された場合、特に治療を行わず、経過を見ることもあります。

また、腫瘍などが原因の思春期早発症の場合は、その疾患の治療が最優先されます。

思春期早発症は心のケアも忘れずに

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思春期早発症は命に関わる病気ではないことがほとんどですが、発症すると周りの子と比べて成長が早くなるため、誰よりも本人が戸惑ってしまうこともあります。

体が大人になるのが少し早かっただけで、おかしなことではないということや、治療すればきちんと治るということなどを、子供にも説明してあげてください。

学校の先生などとも協力し、子供が治療に集中しやすい環境を作ってあげられるといいですね。

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