妊活を続けていると、治療のスケジュールや通院の日程などが、仕事の日と重なることも出てきます。そんなとき、仕事は休んでもいいものなのでしょうか?また、妊活と仕事はどのように両立させていけばいいのでしょう?今回は、妊活に関するアンケートや厚生労働省のデータをもとに、働く女性の妊活との関わり方についてご説明します。
妊活と仕事との両立にストレスを感じる人は約4割

2017年に行った「妊活に関するアンケート(※)」の結果によると、妊活中にストレスを感じた女性は、全体の87.3%にものぼりました。
そのストレスの原因は上図のとおりで、4割近い女性が、「妊活と仕事の両立」に対してストレスを感じていたことがわかります。
厚生労働省の報告をみても、不妊治療と仕事を両立している人で、実際は両立が難しいと感じた人の割合は87%にものぼります(※1)。
両立が難しいと感じる理由としては、「通院回数が多い」「精神面で負担が大きい」「通院にかかり時間が読めなかったり、医師に指定された通院日に外せない仕事が入ったりと、仕事の日程調整が難しい」といった回答が上位を占めています。
妊活で仕事を休んでもいい?

妊活を続けていると、どうしても仕事がある日に病院に通う必要が出てくることもあります。妊活中は生理周期に合わせた検査や治療が必要なので、これはある程度仕方がないこととも言えるでしょう。
厚生労働省のデータによると、40%ほどの人は、妊活と仕事を両立するために有給休暇を利用しているようです。しかし半数以上の人は、有給休暇などの制度を利用していないということもわかっています(※1)。
会社を休みにくい雰囲気があったり、大事な仕事が入っていたり、または「妊活で仕事を休むなんて」と、妊活している人自身が思っていることもあるかもしれません。
しかし、少し考えてみてほしいのです。
妊娠できる確率は、年齢を重ねるごとに下がっていきます。それは、自然妊娠であっても、治療を行っての妊娠であっても、同じことが言えます。
たとえば下記のグラフは、体外受精・顕微授精の妊娠率と生産率(流産や死産をせず、赤ちゃんが生まれてくる確率)、流産率を年齢別に示したものです(※2)。

30歳女性の場合、妊娠率は約40%・生産率は約20%ですが、35歳になると、妊娠率は約35%・生産率は約17%、40歳になると、妊娠率は約25%・生産率は約8%となります。
つまり、将来赤ちゃんが欲しいと思っても、そのときには今より妊娠しづらくなっている可能性もあるのです。いま最優先なのは仕事なのか、それとも妊活なのか、自分の年齢と将来のことをしっかりと考えて、決断する必要があります。
妊活にはどうしてもタイムリミットがあります。妊活を続けたいのであれば、「今は仕事を休む日が出ても仕方ない」と、ある程度割り切り、仕事を休む勇気を持つことも大切かもしれません。
ただし休むことが当たり前という態度ではなく、出社する日にそのぶん仕事を頑張ったり、周りに迷惑がかからないように準備をしっかりしておいたりと、周りに迷惑をかけず、信頼を失わないための工夫は必要です。次の章では、その信頼を保つための工夫についてご説明します。
妊活と仕事を両立するための工夫は?
仕事を調整しながら妊活を進めたいと思ったら、下記のような工夫を行うといいでしょう。
上司や仕事で関わる人にできるだけ相談する

妊活をしていると、突然休む必要が出てきたり、休みが続いたりすることもあります。突然休むと周りに迷惑がかかることもあるかもしれないので、上司や、仕事で深く関わる人には、妊活中であることや、突然休むことがあるかもしれないと相談しておくことをおすすめします。
直属の上司にはどうしても相談しにくいというときは、管理職についている女性や、総務/人事担当の女性などに相談するといいでしょう。
最近は、厚生労働省が仕事と妊活の両立のための啓蒙活動を行っているので、啓蒙用のリーフレット(※3)を印刷して上司に渡すのもおすすめです。
このとき大切なのは、休みたいという権利ばかりを主張するのではなく、妊活に取り組みながらも仕事を頑張って続けたいこと、妊活で休む日以外はこれまで以上に懸命に取り組むことなど、仕事に対する熱意もしっかりと伝えることです。
半休や出社時間の調整などで、休まない工夫もする

通院の時間帯によっては、1日休むのではなく、半休で済む可能性もあります。また、出社時間の調整が可能な会社であれば、通院のために早め・遅めに出社したり、お昼休みを長めに取って朝や夜で補填したりと、休まない工夫も大切です。
会社の近くに妊活に対応しているクリニックがあれば、そこに通うのも一つの手ですよ。
リモートでできる仕事があればリモートで

病院では待ち時間が長くなると思うので、リモートでできる作業は病院の待ち時間中に済ませてしまうのもおすすめの方法です。スマートフォンから返せるメールは返したり、仕事で使う資料を読んでおいたり…。外出先等でできる仕事がないか、よく検討してみましょう。
ただし会社によってはリモート作業を禁止している場合もあるので、事前に上司に相談するようにしてください。
周りに感謝の気持ちを持つ

自分が休むことで、誰かの負担が少なからず増えていたり、仕事が滞ったりすることもあるかもしれません。
自分を卑下したり、他人の顔色を伺ったりする必要はありませんが、常に、周りの人への感謝の気持ちは忘れずに。そしてできれば、口に出して伝えていきましょう。
妊活と仕事の両立は無理のない範囲で

ここまで、妊活をしながら仕事を続けることについて説明してきましたが、妊活をしながら仕事も頑張るのは、大変なことです。どうか頑張りすぎて、自分を見失わないように。妊活も仕事も、自分のペースを守って進めていってください。
全出の妊活に関するアンケート(※)では、妊活のために休職したり、雇用形態を変えてもらったという声も聞かれました。
不妊治療中、仕事との両立が大変で、数ヶ月間の休職という選択をしました。
30代前半 女性
妊活に専念するため、正社員からパートへと雇用形態を変えました。すると仕事のストレスがなくなったからか、比較的すぐに妊娠できました。
30代後半 女性
妊活と仕事の両立に関しては、「どの選択をすれば正解」という決まりはありませんが、「自分や夫婦にとって何が一番大切なのか」という問いに対して真剣に考えることが大切です。パートナーや上司ともよく話し合って、自分にとってベストな妊活を進めていけるといいですね。
※アンケート概要
実施期間:2017年12月13日~2018年2月18日
調査対象:妊活経験のある男女
有効回答数:1089件(20代:336件、30代:645件、40代:108件/女性:999件、男性:90件)
収集方法:株式会社エバーセンスのサービス内