食品による子どもの窒息事故は、決して珍しいことではありません。そこで今回は、食べ物が気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)や窒息事故を防ぐ方法についてご紹介します。
食品による窒息が起きる原因は?

子どもが食事の際に窒息を起こす原因は主に2つあります(※2)。
噛む・飲み込む力の弱さ
子どもは噛み砕く力や飲み込む力が発達していないため、食べ物を十分に咀嚼できずに丸ごと飲み込んでしまうことがあります。
3歳頃にやっと乳歯が生えそろい食品を歯ですりつぶせるようになりますが、噛む力は大人と比べて弱いと言われています。
また子どもは咳をする力も弱く、気管に入りそうになったものを咳で押し返せないことも誤嚥につながっています。
食事のときの行動
子どもは遊びながら食べたり、食べながら動き回ってしまったりすることがありますよね。
走り回って食べていた、何個もほおばってしまったなど、食事の際の行動が窒息事故の原因となっている事例もあります。
窒息を起こしやすい食品は?

子どもに食べさせる際、以下のような食品には注意が必要です。
①丸くつるっとしているもの
例)プチトマト、ブドウ、ソーセージ、あめ、ピーナッツなど
表面がなめらかなため噛みにくく、ふとしたときに丸ごと飲み込んでしまい喉につまりやすくなっています。
②粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの
例)餅、パン、せんべいなど
唾液を吸収するため、喉をスムーズに通らず塞いでしまいます。よく噛まずに詰め込んで食べると、子どもの気道よりも大きな塊のまま喉に入り窒息してしまいます。
③固い・弾力があるなど噛み切りにくいもの
例)リンゴ、肉類、きのこ類など
十分に噛みきれないまま飲み込んでしまい喉につまりやすいです。
窒息事故を防ぐには?
食品による窒息事故が起きるリスクは、以下のポイントをおさえることである程度予防できます。
● ソーセージは縦半分に切る
● 食事の際は、水分を摂って喉を湿らせる
● 口の中に詰め込まないよう注意する
● 食べながら走ったり、喋ったりしないようにさせる
年齢・月齢によらず、普段食べている食品が窒息につながる可能性があることを意識し、子どもがしっかり飲み込むまで目を離さないようにしましょう。
もしものどに詰まって窒息してしまったら?
どんなに気を付けていても、事故は起きてしまうもの。急に子どもの顔色が悪くなり、よだれをたらして苦しそうな顔をしていたら、それは窒息のサインです。
すぐに救急車を呼び、待つ間に詰まった食品を吐き出させましょう(※2)。詰まったものを取り出そうと、口の奥まで無理に指を入れ込まないでください。
喉に詰まったものの吐き出させ方
1歳未満の場合

1歳未満の赤ちゃんの場合は、上の図を繰り返して行います。もし意識がない場合は、胸骨圧迫と人工呼吸を行いながら119番通報し、救急車を呼びましょう。
背部殴打法(右図)
すぐに救護者が膝を曲げ(もしくは椅子に座り)、太ももの上に子どもをうつ伏せに抱きあげ、背中の肩甲骨の間のあたりを手のひらで 5~6回強く叩いて詰まったものを吐き出させます。
胸部突き上げ法(左図)
背部叩打法でも窒息が解除できない場合や意識がない場合には、子どもを仰向けに寝かせ、心肺蘇生と同じように子どものみぞおちの部分を両手拳で上の方に押します。
1歳以上の場合

意識のある1歳以上の子どもに対しては、腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)を行います。
子どもの背中側から救護者の両手を回し、みぞおちの前で両手を組んで勢い良く両手を絞ってぎゅっと押すことで、詰まっていたものを吐き出させます。
意識がない場合は、胸骨圧迫と人工呼吸を行いながら119番通報し、救急車を呼びます。
食品は小さく切り、事故を予防しよう!
子どもは食べる力が弱いため、4歳頃までは食べ物の大きさや固さに注意が必要です。窒息が起こりやすい食品には特に気を付けて、子どもを事故から守ってあげてくださいね。