国語の基礎力を固めるのが小学校低学年の2年間だったとすると、自分だけでなく他者をより意識してコミュニケーションする力をつけていくのが中学年だといえます。小学3年生は、そのスタート地点。低学年での学びをふまえて力を伸ばしていきたいですね。今回は、小学3年生で習う国語について、学習内容や低学年との違い、パパやママが家で子供に教えるときのコツをご紹介します。
小学3年生の国語の学習内容は?低学年との違いは?
小学校低学年の2年間で習ったひらがな・カタカナ・漢字240字に加えて、3年生になると新たに200字の漢字を習います(※1)。
小学校中学年の漢字学習では、これまで以上に送り仮名や漢字の構成(「へん」や「つくり」など)を意識することが必要になります。また、日常使われる簡単な単語について、「ローマ字」表記の読み書きも3年生で習います。
1・2年生までは、現代的な説明文・物語文のほか、伝統的な昔話・神話などの文章にも触れてきました。3年生からは、やさしい文語調の「短歌」や「俳句」の読解や暗唱も学習内容に加わるのが特徴です。また、ことわざや慣用句、故事成語などの意味も学ぶようになります。
文章の読み書きについての学習もより複雑になり、「修飾・被修飾」との関係や「指示語・接続語」の役割を理解し、自分でも使うことが求められます(※2)。
小学3年生の国語はどんな問題が出るの?
それでは、小学3年生の国語の教科書やドリル、テストでは、どのような問題が出されるのでしょうか?ここではよく見られる具体的な問題の例や、授業で先生が見るポイントをいくつかご紹介します。
漢字の読み書き
● 漢字1文字の言葉を使った文(例:「運がいい人だ」)
● 漢字2文字で熟語を使った文(例:「今日は来客がある」)
● 漢字に送り仮名をつけた文(例:「くりを拾う」)
文の組み立て
● 文中で「何が」に当たる言葉を探す(例:「暑いのでクーラーがひつようだ」)
● 文中で「どうする」に当たる言葉を探す(例:「母がいそがしいのでてつだう」)
● 文中で言葉をくわしく説明している言葉を探す(例:「黒い雲が出てきた」)
文をつなぐ言葉
● 文と文との間に当てはまる接続語を探す(例:「しかし」「だから」「それとも」)
指し示す言葉
● 文中に適切な指示語を入れる(例:「あれ」「その」「どこ」)
● 文中の指示語が示す言葉を探す(例:「おもちゃを買った。それを弟にあげた」)
相手に伝わる文章を書く
● 疑問に思ったことを調べて、新聞などの形式で書きあらわす
● 収集した資料を効果的に使い、わかりやすい説明文を書く
文章を読み解く
● 段落同士の関係や、事実と意見との関係を考えて文章を読む
● 登場人物の性格や、心情の変化を想像しながら文章を読む
意見を述べる
● 文章を読んで考えたことを発表し合い、色々な感じ方に気づく
● 起きたことの説明や調査の報告をする、それらを聞いて意見を述べる
● 図表や絵、写真などから読み取ったことをもとに話し合う
小学3年生の国語を家で教えるコツは?
これまでご紹介してきたように、小学3年生の国語の学習内容は、低学年と比べて広さも深さも増します。学習した内容を子供がしっかり身につけるために、パパやママはどのように家で教えてあげたらよいのでしょうか?
小学校では、基本的に学習指導要領に沿って授業が進められており、中学年(3・4年生)の学習目標は、指導要領にまとめて示されています。これらの目標をパパやママが把握したうえで、子供にアドバイスしてあげたいですね。
以下で、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域について、指導要領に書かれた学習目標を参考に、子供への教え方や接し方のポイントをご紹介します(※3)。
話すこと・聞くこと
授業では、自分の経験や考えについて短いスピーチをしたり、ほかの生徒の発表を聞き、意見交換をしたりする時間があります。しかし、自分の頭の中にあることを、練習なしにすんなり言語化するのは難しいですよね。
普段から、新聞やテレビなどで報道される時事ニュースから興味のあるテーマを選び、親子で意見を述べたり、説明したりする機会を持つと良いでしょう。そのためには、パパやママも積極的にインプットすることが大切ですね。
書くこと
3年生になると、図表などの資料やインタビューなどから情報収集し、説明・報告する機会が増えます。「自分が読んだり聞いたりして理解できる」というだけでなく、「ほかの人にとってもわかりやすく、きちんと伝わる」ことも意識して、起承転結等の構成や表現を使うことが重要です。
家庭でも、普段から色々な本を読んで読解力をつけたり、自分の気持ちを文章で表したりすることに慣れておくと良いですね。
日記をつけたり、興味のあるテーマについてノートにまとめたりする習慣をつけ、パパやママがそれらを読んで感じたことを伝えてあげるのがおすすめです。また、漢字辞典や国語辞典を使い、語彙力を増やすのも効果的です。
読むこと
小学3年生の国語の授業では、先ほどもご紹介したとおり様々なジャンルの文章を読み、感じたことを頻繁に意見交換するようになります。
まずは「読む」ことに慣れ、文章によって様々な表現や文体があることを楽しめることが一番です。そのうえで、自分が好きな場面や共感した部分について、言葉にして伝えられるようになるのが目標といえます。
家庭学習においても、親子で同じ本を読んで、お互いに感想を言い合ったり、「この場面で、なぜ登場人物はこの行動を取ったんだろう?」など感じ方を自由に話し合ったりする時間を積極的に取りたいですね。
また、子供に興味のある本を選ばせてみて、「どうしてこれが気になったの?」と質問してみるのも良いでしょう。
小学3年生の国語を通じて「伝える」機会を持ちましょう
誰しも、「自分の言いたいことをうまく言葉にできない」という状況はとてももどかしいですよね。まだまだ語彙力や表現力が少ない子供にとっては、なおさらのことです。
小学3年生の国語では、「自分が感じたことを文章や発表で他者に伝える」という機会が増えるので、「気持ちが誰かに伝わると、うれしい!」と感じられるようになると、ぐんぐん子供の言語能力が伸びていきますよ。
もちろん、漢字の書き取りはドリルなどを使ってコツコツ1人で勉強することが大切ですが、自分の意見を述べたり色々な感じ方を知ったりということは、ほかの人とのコミュニケーションがあってこそできることです。家庭でも、ニュースや本を題材に、積極的に話し合ってみてくださいね。