性感染症の中でも最も感染者の多い「性器クラミジア感染症」。女性がかかると自覚症状があまりないため、気づかないまま進行しやすく、不妊症の原因になることもあります。今回は、クラミジアの潜伏期間や感染率などをご説明します。
性器クラミジア感染症とは?
クラミジア感染症は、「クラミジア・トラコマチス」という微生物に感染して発症する性感染症です。日本国内の年間患者数は男女合わせて2万人を超え、特に20代前半~30代前半の若い世代に感染者が多い傾向にあります(※1)。
クラミジアは、感染する箇所によって現れる症状が異なり、性別によっても違います。男性の場合、主な感染部位は尿道で、排尿時に軽い痛みや違和感を覚えることがありますが、感染初期はあまり自覚症状がありません。
女性の場合も自覚症状がほとんど現れず、感染しても気がつかないケースも少なくありません。人によっては、おりものの量が増えたり軽い不正出血があったりしますが、よほど意識していない限り自分で気づくのは困難でしょう。
妊婦健診や不妊検査で、はじめてクラミジア感染を知ることもあります。
クラミジアの潜伏期間は?
国立感染症研究所によると、クラミジアに感染してから性器クラミジア感染症を発症するまでの潜伏期間は、2~3週間ほどです(※2)。しかし、先ほどもご説明したとおり、発症したとしてもほとんど自覚症状がないのが厄介なところです。
ほかの性感染症に比べて潜伏期間が長いため、パートナーも発症に気づかないままうつしてしまうことも。性交渉を通じてお互いにうつし合ってしまう、いわゆる「ピンポン感染」の恐れがあるので、どちらか一方の感染が明らかになったら、必ず2人とも検査・治療を受けるようにしましょう。
なお、性器クラミジア感染症は、淋菌感染症(淋病)などほかの性感染症と合併していることが多いので、同時に検査するようにしてください。
クラミジアの感染率は?
クラミジアは尿道や子宮頸管の分泌物の中に潜んでいることが多く、主に性行為によって、生殖器や咽頭、肛門など粘膜同士が接触することで感染します。
クラミジア感染者と性行為をした場合の感染率は、統計的に有意なデータがあるわけではありません。感染者と1回性交渉を持っただけでも、クラミジアに感染する可能性はあると考えた方が良いでしょう。
一度クラミジアにかかっても免疫ができるわけではないので、治療が終わってもコンドームなどで感染予防をしない限り、繰り返し感染するリスクがあります(※3)。
また、妊婦さんがクラミジアに感染すると、産道感染により生まれてくる赤ちゃんにもうつる可能性があります。場合によっては新生児肺炎や新生児結膜炎を引き起こすこともあるので、注意が必要です。
クラミジアは自然に治る?
クラミジアに感染したとしても、病院で検査・治療を受けるのがためらわれて、そのまま放置する人もいるかもしれません。しかし、適切な治療を受けずにクラミジアが自然治癒することはほとんどないと考えてください。
「クラミジアを治療せずに治った」という話を聞いたとしても、それは他の病気にかかったときに服用した抗生物質がクラミジアにも効いた可能性などが考えられます。
きちんと治療をしておかないと不妊や異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因になることもあるので、感染がわかったらできるだけ早く治療を始めるようにしましょう。
クラミジアは潜伏期間が長い
性行為を行ったことがある人は誰でもクラミジアに感染する可能性がありますが、クラミジアは潜伏期間が長いという特徴があります。
自覚症状もあまりなく、気づかないまま進行してしまう恐れがあるため、これから妊娠を望んでいる人は、「自分は大丈夫」と思いこまず、少しでも疑わしい症状を感じたときは、検査を受けてみることをおすすめします。
最近では自宅で調べられる検査キットも販売されているので、不安がある人はパートナーと一緒に利用してみてください。