体重管理や健康維持のために、妊娠前よりも果物を食べるようになったという妊婦さんは多いのではないでしょうか。
そこで、妊娠中は果物を1日にどれくらい食べるといいのか、栄養素別のおすすめの果物、食べるときの注意点などをご紹介します。
妊娠中の果物は体にいいの?量はどれくらい?

果物には各種ビタミン、ミネラル(カリウム、鉄、カルシウム)、食物繊維など、妊娠中に摂りたい栄養素が豊富に含まれています(※1,2)。
ただし、果糖やブドウ糖、ショ糖といった「糖質」も多く含まれているため、食べ過ぎると中性脂肪が増えたり肥満につながったりする可能性もあります(※1)。
妊娠中は主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品をバランスよく食べたうえで、果物はみかんに換算すると妊娠初期で2個、妊娠中期・末期で3個食べることが推奨されています(※3)。

みかん以外の果物を食べるときや、いくつかの果物を組み合わせるときは、下記の量を目安にしてくださいね。

妊娠中におすすめの果物は?

妊婦さんにおすすめなのは、次のような栄養素が含まれた果物です。それぞれの栄養素のはたらきと、それを多く含む果物もご紹介します。
葉酸
妊娠中期以降は、主に貧血予防や免疫機能の維持のために葉酸の必要量が多くなるので、食事からの推奨量は、妊娠初期までの240μgから480μgに増えます(※4,5)。
葉酸は水に溶けやすく熱に弱い性質がありますが、果物はそのまま食べられるので効果的に摂れますよ(※6)。
葉酸を含む主な果物(※2)
ライチ、アボカド、いちご、すもも、マンゴー、さくらんぼ、キウイフルーツ、オレンジ など
ビタミンB6
ビタミンB6にはつわりを軽くする効果が期待できるといわれています(※7)。
ビタミンB6はさまざまな食品に含まれるため欠乏することはほとんどありませんが、妊娠中は妊娠前より1日あたり0.2mg多く摂取することが推奨されています(※5)。
ビタミンB6を含む主な果物(※2)
バナナ、アボカド、キウイフルーツ、マンゴー など
ビタミンC
ビタミンCは不足すると、疲労感や倦怠感などの症状を引き起こすことがあるため、妊娠中に積極的に摂りたい栄養素(※8)。
ビタミンCは空気に触れると酸化して効力を失うので、食べる直前に皮をむいたりカットしたりするのがおすすめです。
ビタミンCを含む主な果物(※2)
キウイフルーツ、柿、いちご、オレンジ、レモン、きんかん、グレープフルーツ など
食物繊維
便秘になりやすい妊娠中は、排便を促す作用がある食物繊維は強い味方。果物に含まれる食物繊維は便をやわらかくしたり腸内環境を整えたりする働きがあります(※9)。
ただし、摂取し過ぎるとお腹をくだしやすくなることもあるので、食べる量には気をつけましょう。
水溶性食物繊維を含む主な果物(※2)
きんかん、アボカド、プルーン、もも、マンゴー、パパイヤ、洋梨 など
カリウム
カリウムには、体内のナトリウム量を調整して余分な塩分を体外へ排出するはたらきがあります(※10)。
妊娠中の手足のむくみや血圧上昇の予防に役立つと考えられています。
カリウムを含む主な果物(※2)
アボカド、バナナ、メロン、キウイフルーツ、さくらんぼ、プルーン、ぶどう、桃 など
妊娠中に果物を食べるときの注意点は?

東洋医学では、一部の果物には体を冷やす作用があるとされています。
体が冷えやすいという妊婦さんは、以下の果物は食べる量に気をつけてくださいね。
体を冷やす果物の例
スイカ、パイナップル、マンゴー、グレープフルーツ、メロン、梨、柿 など
食事にフルーツをバランスよく取り入れよう
果物は季節によってさまざまな種類が出回るので、旬のものを食べて妊娠中の食生活を楽しむのもおすすめです。毎日の食事に適切な量の果物を取り入れて、健康的なマタニティライフを送っていけるといいですね。
※2 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 第2章(データ)」
※3 こども家庭庁「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」
※4 株式会社メディックメディア『病気がみえるvol.10 産科 第4版』p.84
※5 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書」p.200,209,237,239
※6 こども家庭庁「妊娠前からはじめよう!健やかなからだづくりと食生活BOOK」
※7 日本産婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2023」p.112
※8 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『 健康食品 』の安全性・有効性情報 ビタミンC」