注意しなければいけない子どもの病気のひとつに「麻疹(はしか・ましん)」があります。発症すると命に危険が及ぶこともあるので、どのような病気なのかを知っておきたいですよね。
今回は麻疹の症状や感染経路、治療法、予防法などをご紹介します。
麻疹って?どんな症状が起こるの?
麻疹は、麻疹ウイルスに感染して起こります。
麻疹ウイルスに感染すると、10〜12日程度の潜伏期を経て、発熱や咳などの症状で発症します(※1)。
発症すると、38℃前後の発熱が2〜4日続き、咳や鼻水、くしゃみ、めやに、結膜の充血がみられます。
一度解熱したタイミングで、コプリック斑(口の中にできる白い斑点)などの症状があらわれた後、39℃以上の高熱と顔面や首、ときに手足にまで色素沈着を伴う発疹が出現します(※1, 2)。乳幼児の場合は、下痢や腹痛を伴うことも多いです。
1週間以上発熱が続くため、合併症がなくても入院が必要となることも珍しくありません(※3)。肺炎や脳炎を合併して、重い後遺症を残すこともあります。
麻疹には特効薬がなく、重症化した場合は命を落とす危険もあるため、麻疹にかからないように予防することが大切です。
麻疹はどうやって感染する?どれくらいの感染力があるの?
麻疹を引き起こす麻疹ウイルスは空気感染や飛沫感染、接触感染などさまざまな感染経路で、短時間のうちに人から人へと感染していきます。
麻疹の免疫がない集団であれば、1人の発症者から12〜14人に感染するとされています(※1)。インフルエンザでは1〜2人なので、非常に強い感染力を持っていることがわかりますよね。
免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%の確率で発症し、一度感染して発症すれば、免疫は一生持続するとされています(※2)。
麻疹の予防法は?手洗いやマスクで防げるの?
麻疹は空気感染するため、マスクや手洗いだけでは防ぐことはできません。最も有効な予防法は、ワクチンを接種することです。ワクチンを接種すると、95%程度の人が免疫を獲得できるといわれています(※2)。
麻疹の予防接種は「定期接種」とされているため、1回目は1歳〜2歳未満、2回目は小学校入学前の1年(5歳〜7歳未満)の期間であれば無料で受けられます。
ただし、保育園などに通っていると、1歳前でも集団感染することがあります。感染が心配な場合は、生後6ヶ月以降に数千円〜1万円程度を自己負担することで、「任意接種」としてワクチンを受けることができます。
任意接種で1歳未満にワクチンを接種した場合、ワクチンの効果が十分に発揮されないおそれがあります(※4)。通常の定期接種のスケジュールでも接種を受ける必要があるので、忘れないようにしてくださいね。
麻疹にかかったかもしれないと思ったら?
麻疹の感染力は非常に強いため、受診するときに他の人に感染させてしまうおそれがあります。
もし子どもに発疹や発熱などの麻疹の症状があったり、身近で麻疹にかかった人がいたりする場合は、すぐに病院へ向かうのではなく、まずはかかりつけの小児科に電話するようにしましょう
電話して受診することになったら、少しでも他の人に感染させないように、マスクを着用した上で、なるべく公共交通機関を使うのを控えるようにしてくださいね。
麻疹になったら登園・登校できるの?
麻疹は学校感染症の第二種に指定されており、熱が下がってから3日間は登園・登校はできません。
症状により感染力が強いと判断された場合には、もっと長い期間において出席停止になることもあります(※5)。
麻疹にかかって症状が治まってきたら、幼稚園や保育園、小学校にいつ頃行けるのかを医師に確認しましょう。
登園・登校できる日の目途が立ったら、念のため、事前に園や学校に連絡しておいてくださいね。
麻疹はワクチンで予防しよう!
麻疹は発症してしまうと危険な病気であり、ワクチン接種を受けて予防することが大切です。1歳の誕生日を迎えたらすぐに予防接種が受けられるように、事前にスケジュールを組んでおきましょう。
他の予防接種と同時に受けることもできるので、かかりつけの小児科に確認するようにしてくださいね。