カンジダによって引き起こされる病気のうち、外陰腟カンジダ症は性器にかゆみが出たり、おりものに異常が現れたりするため厄介な病気です。誰もが早く治ってほしいと思うのではないでしょうか。そこで今回は、外陰腟カンジダ症は完治するのか、完治するまでに要する期間や、完治しないときの対処法などについてご説明します。
カンジダとは?
カンジダとは、私たちの皮膚や粘膜に住んでいる真菌の一種です。
カンジダは、普段は特に悪さをしないため、無害な真菌といえます。しかし、何かのきっかけで免疫力が弱まってカンジダが増えると、カンジダ症と呼ばれる様々な病気を引き起こします(※1)。
以下はカンジダ症の一例です(※1)。
● カンジダ性間擦疹
● カンジダ性指趾間びらん症
● 乳児寄生菌性紅斑
● 外陰腟カンジダ症
このようにカンジダによって引き起こされる病気はいくつもありますが、女性が特に注意すべきなのは外陰腟カンジダ症です。そこで、以降は外陰腟カンジダ症について詳しくご説明します。
外陰腟カンジダ症とは?
外陰腟カンジダ症は、腟や外陰部の粘膜、さらにその周囲の広い範囲が赤くなったり、かゆみが出たり、酒粕のようなおりものが出たりする病気です。
以下のような状況にある女性は外陰腟カンジダ症を発症しやすいため注意しましょう(※1)。
● 生理前や生理中
● 妊娠中
● 閉経の前後
● 抗生剤を使用している
● 糖尿病を患っている
カンジダは完治するの?
外陰腟カンジダ症を発症した女性のうち85〜95%は完治しています。しかし、割合としてはわずかですが、完治せずに再発してしまう女性もいます(※2)。
外陰腟カンジダ症が完治しない理由としては以下の2つが考えられます(※2)。
カンジダの再感染
自分の腸の中に存在しているカンジダが肛門から外陰部を経て腟内に再び感染したり、性交によって他の人のカンジダが感染したりすることで外陰腟カンジダ症を再発することがあります。
カンジダの再増殖
腟内に残ったごくわずかな量のカンジダが、何らかのきっかけで再び増え、外陰腟カンジダ症を再発することもあります。
カンジダが完治するまでの期間は?
外陰腟カンジダ症を発症した女性の90%前後が完治するというのはすでに述べた通りですが、完治にかかる期間は治療開始から1〜2週間です。
なお、外陰腟カンジダ症の治療では毎日腟内に薬を投与する方法や、週1回だけ腟内に薬を投与する方法などがあります。週1回投与する方法は毎日投与する方法と比べて効果がやや落ちるため、治療期間が伸びる可能性があります(※2)。
カンジダが完治したと判断する基準は?
外陰腟カンジダ症が完治したかどうかの判断基準は、カンジダが腟内から消えたかどうかではなく、かゆみやおりものの異常などの症状が消えたかどうかです。そのため、カンジダがごく少数残っていたとしても、完治したと判断されるケースがあります。
もし、外陰腟カンジダ症が完治せず再発してしまった場合は、症状が消えてからも定期的に病院で診てもらい、受けた治療に効果がどの程度あったのかや、副作用が現れていないかなどを確認してもらう必要があります(※2)。
カンジダが完治しないときの対処法は?
外陰腟カンジダ症が完治しなかった場合の対処法ははっきりとは決まっておらず、症状の程度や医師の意向によっても異なりますが、一般的には次のような治療を行います(※2)。
外陰腟カンジダ症になりやすい要因を取り除く
抗生剤やステロイド剤を使っていないか、糖尿病を患っていないか、下着にカンジダが付着していないかなど、外陰腟カンジダ症の再発を引き起こしている要因がないかを探します。
何か原因が見つかれば除去しますが、調べた結果、原因がわからないということもよくあります。
薬を変更する
再発を繰り返す外陰腟カンジダ症は、通常とは違う種類のカンジダによって引き起こされている可能性があります。そのため、それまで使っていたものとは異なる薬を使うことがあります。
腸内のカンジダを除菌する
すでに述べたように、腟内からカンジダがいなくなったとしても、腸内にいるカンジダが原因で外陰腟カンジダ症を再発する可能性があります。そのため、「アムホテリシンB」という飲み薬を服用し、腸内のカンジダを除菌することもあります。
カンジダは完治しやすい病気です
外陰腟カンジダ症は再発を繰り返すこともありますが、医師の指示に従って適切な治療を行えば、発症した女性の90%前後が完治しています。そのため、発症してしまったとしても心配しすぎる必要はありません。
なお、外陰腟カンジダ用の薬は市販もされていますが、それらは再発した場合にのみ使う薬です(※2)。外陰腟カンジダ症らしき症状が出ていても、発症した経験がない場合はまずは医師に診てもらうようにしましょう。
適切な治療を行って、できるだけ早く治したいですね。