自転車は子供にとって身近な乗り物の一つです。しかし、事故でケガをする、人のものを壊すなどのリスクもあります。最近は、自転車事故によって高額な損害賠償を命じられるケースもあるため、不安を感じているママやパパもいるかもしれませんね。そこで今回は、子供の自転車事故で心配すべきリスクや、自転車事故に備えた保険があるのかなどをご説明します。
子供の自転車事故は起きやすいの?
警察庁の報告によれば、平成27年の自転車事故件数は98,700件で、これは同年に起きた交通事故全体の約2割を占めています。また、自転車事故による死傷者のうち、約3割が未成年の子供です(※1)。
また、平成29年上半期に東京都内で起きた小学生の交通人身事故448件のうち、自転車に乗っていたときに起きた事故は266件でした。これは全体の約6割に相当します(※2)。
このことから、子供の自転車事故は交通事故の中でも比較的起きやすい事故だと考えられます。
子供の自転車事故で心配すべきリスクは?
自転車はその気軽さと便利さから身近な乗り物の一つに挙げられますが、自転車事故によるさまざまなリスクも伴います。子供の自転車事故で心配すべきリスクとしては、次の3つが挙げられます(※1)。
● 子供自身がケガをする
● 他人にケガをさせる
● 他人の所有物に損害を与える
これらのうち、特に子供が他人をケガさせたり、所有物に損害を与えてしまったりしたときにどうなるのか気になるママやパパは多いと思います。そこで、子供が自転車事故の加害者になってしまったときどうなるのかについて、以降で詳しく説明します。
子供が自転車事故の加害者になったら?
子供が自転車事故を起こしても大事にならないと思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。自転車事故の加害者になってしまった場合、次の3つの責任が発生します(※1)。
刑事上の責任
自転車事故で相手にケガを負わせたり、命を奪ったりしてしまったら、「重過失致死傷罪」という罪に問われます。この罪は、故意でなくても適用されます。
民事上の責任
自転車事故で相手の所有物を傷つけたり、壊してしまったりしたら、金銭によって損害を賠償しなければなりません。
道義的な責任
上記2つの責任の他に、被害者を見舞ったり、誠実に謝罪したりといった道義的な責任も発生します。加害者がこの責任を果たさなかったために、後の示談交渉がうまくいかないケースもあるようです。
子供が自転車事故を起こしたら賠償金はいくらになる?
子供が自転車事故の加害者となった場合、被害の大きさによっては数千万円の賠償金を支払う義務が生じることもあります。
例えば、平成25年に神戸地方裁判所で出された判決では、歩行中の62歳の女性と正面から自転車でぶつかり、頭蓋骨骨折などのケガを負わせて意識が戻らない状態にさせてしまった11歳の男の子に対し、9,521万円の支払いが命じられました。
また、平成20年に東京地方裁判所で出された判決では、車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳の男性とぶつかり、言語機能を喪失させてしまった男子高校生に対し、9,266万円の支払いが命じられたこともあります(※1)。
すべての自転車事故で賠償金が発生するわけではありませんが、自転車事故によって1億円近い賠償金の支払いが命じられることもあると理解しておく必要はあるでしょう。
子供の自転車事故に備えた保険があるの?
子供が自転車事故を起こすと、前述のように損害賠償が発生することがあったり、子ども自身がケガをして、医療費がかかったりすることがあります。それらのリスクに備えるために、最近では保険に加入する家族が増えているようです。
子供の自転車事故のうち、相手にケガを負わせたり、所有物を壊したりしてしまっときの損害賠償に備えた保険としては、個人賠償責任保険があります。一方、子供自身のケガに備えた保険としては、傷害保険があります(※1)。
これらの保険への加入は強制ではないため、加入するかどうかは各家庭の考え次第です。入るべきかどうか、夫婦で話し合いましょう。
個人賠償責任保険とは?
個人賠償責任保険とは、自転車事故の相手にケガを負わせてしまったときや、相手の財産に損害を与えてしまったときに備えるための保険です。
買い物中に商品を壊してしまった、飼い犬が他人に噛みついてケガをさせてしまったなど、自転車事故以外の事故も補償の対象となります。
一般的には、傷害保険や火災保険、自動車保険などとセットになっています。
傷害保険とは?
傷害保険は、子供自身のケガに備えるための保険です。自転車事故以外にも、スポーツ中のケガや階段で転んだときのケガなども補償対象となることがありますが、交通事故によるケガのみを補償するタイプのものもあります。
子供の自転車事故は日ごろの備えが大事です
自転車は子供にとって身近な乗り物ですが、事故によって子供自身がケガを負ったり、他人にケガをさせてしまったりする危険性もあります。そうした万が一の自転車事故に備えて、個人賠償責任保険や傷害保険への加入を考えてみるのもいいでしょう。
それと同時に、子供に正しい自転車の乗り方や運転の仕方、交通ルールなどをしっかりと教え、自転車事故が起きないようにすることも大事です。
子供が自転車事故を起こさないように、親子で一緒に自転車との付き合い方を考えていきたいですね。