「終わりが見えない不妊治療に疲れてしまって…」と、長期間の不妊治療に心身ともに疲れ果ててしまう夫婦も少なくありません。いつかは妊娠・出産できるはずと思うと、なかなかやめることができないですよね。それでも、区切りをつけて次の人生に歩みを進めはじめた人たちも多くいます。今回は、不妊治療をいつまで続けるのか、どのようにやめどきを判断するのかについてご紹介します。
不妊治療とは?どれくらいの人が治療している?
子供を望むカップルが避妊をせずに性交渉を一定期間続け、それでも妊娠に至らない場合に「不妊症」と診断されます。「不妊治療」とはこの不妊症のカップルのために高度生殖医療技術を通して妊娠の手助けをすることをいいます。
日本では、平成14年度の時点で約46万人の人が不妊治療を受けており、さらに増え続けていると考えられています(※1)。
不妊治療のやめどきは?いつまで続けるかどう判断するといい?
不妊治療のやめどきを判断するのは、本当に勇気がいることだと思います。
不妊治療を続ける女性のなかには「子供を産むこと」が自分の価値だと感じてしまう人もいます。また、パートナーの男性が奥さんの体を心配に思う気持ちから「無理しないで」と発言するうちに、期待に応えようと不妊治療をやめられなくなる、ということもあるようです。
ここで、不妊治療のやめどきはいつか、先輩夫婦がどんなタイミングをやめどきと考えたのかをご紹介します。
年齢が高齢になったとき
「年齢」で不妊治療のやめどきを決めた、という夫婦はとても多いようです。特に女性の場合、年齢が上がるほど妊娠率は下がってしまいます。
体外受精や顕微授精など「生殖補助医療」と呼ばれる不妊治療での妊娠率を見ると、35歳で23.2%あったものが40歳では13.7%、45歳では2.4%となっています(※2)。もちろん個人差があるので一概にはいえませんが、続けるにも今以上の苦しみに立ち向かう覚悟が必要です。
経済的に苦しくなったとき
高度不妊治療(体外授精や顕微受精)は、1回の治療費が約30〜100万円くらいと非常に高額です。
また、下の「こそだてハック」が2016年に行った「不妊治療に関するアンケート」の結果のように、年齢が進むにつれ妊娠しにくくなる傾向があるため、不妊治療にかかる費用も増えてしまう傾向があります。
そのため、不妊治療にかけたこれまでのお金のことを考えるとやめどきに迷う、という人もいます。
しかし、不妊治療を続けても100%妊娠するとは限りません。収入や貯蓄と照らし合わせて、夫婦のこれからの人生のためにやめる、というのも一つの手です。
不妊治療に心身共に疲れ、変調をきたしたとき
ただでさえ、不妊治療は身体的・精神的ストレスが多いもの。大き過ぎるストレスゆえに、夜も眠れなくなるなど、体に不調をきたしてしまうケースもあります。
パートナーと一緒に、なんのために不妊治療を行っているのか、二人の生活に子供はいなくてはならないのかを、考えてみてください。
先輩夫婦の体験談を本で読んだとき
頭ではわかっていてもやっぱりやめられない、諦められない、と思ったとき、不妊治療を続けてきた先輩たちの体験談が後押しになったという夫婦はたくさんいます。
例えば、『不妊治療のやめどき』という本で「不妊治療の先の人生が考えられた」という夫婦も。“今”しか考えられなくなってしまった人は、視野を拡げることも大切ですよ。
不妊治療のやめどきの決め方は?
不妊治療のやめどきに悩んでいる人に初めに試して欲しいのが、完全にやめると決めなくてもいいので、1年、半年、一度やめてみる、という方法です。
何度も不妊治療を繰り返し、精神的に追い込まれている状態では、「妊娠・出産すること」が目的になってしまっていることもありますよね。しばらくの期間、不妊治療をやめて夫婦で向き合っている間に、「こんな人生を送りたい!」と新しい道が見つかった、という夫婦もたくさんいますよ。
不妊治療を経て、養子を迎え入れる選択も
最近では特別養子縁組という制度を利用して、子供を家庭に迎え入れる夫婦も増えてきました。不妊治療で子供を授かることはできなくても、子供がいる家庭を強く望むのであれば、新しい家庭のあり方として養子を迎えるのも、一つの方法ですよね。
不妊治療のやめどきとこれからの人生を改めて考える
長年続けてきた不妊治療のやめどきを判断するのは、本当に難しい決断です。しかし、不妊治療をやめることは決して自分たちの努力を否定することではありません。これからどんな人生を歩むか、一度立ち止まって考える時間も大切かもしれません。
※アンケート概要
実施期間:2016年9月9日(金)~9月26日(月)
調査対象:不妊治療経験のある女性
有効回答数:827(20代:289名、30代:508名、40代:30名)
調査方法:インターネット調査(「こそだてハック」にて)