伝染性単核球症とは?原因や症状、治療法は?再発しやすいの?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「伝染性単核球症」という病気をご存じですか?キス病とも呼ばれる病気で、唾液を通して人から人へとうつります。発症すると、高熱や倦怠感など様々な症状が現れ、子供を苦しめることになります。今回は伝染性単核球症について、原因や症状、治療法、予防法などをご説明します。

伝染性単核球症とは?原因は?

伝染性単核球症とは、主にエプスタイン・バー・ウイルス(EBウイルス)と呼ばれるヘルペスウイルス族の一種が原因で起こる感染症です。まれに、サイトメガロウイルスやアデノウイルスなどが原因で発症することもあります。

感染者の唾液を通して人にうつるEBウイルスは、キスによって人から人へと感染していくことが多いので、キス病とも呼ばれています。

日本では、2~3歳までに70%の子供が感染しますが、症状が現れません。乳幼児期よりも、思春期の方が発症頻度が高いことがわかっています。20代になると、90%以上の人がEBウイルスに対して抗体を持っています(※1)。

伝染性単核球症の症状は?

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EBウイルスの潜伏期間は4~6週間ほどで、伝染性単核球症を発症すると、主に以下のような症状が現れます(※2)。

・扁桃咽頭炎
・いちご舌
・倦怠感
・38度以上の発熱
・首のリンパ節の腫れ
・発疹
・肝臓や脾臓の腫れ

多くは、38度以上の高熱が1〜2週間続きますが、場合によっては、脾臓や肝臓が肥大することもあります。発疹は主に上半身に現れます。

伝染性単核球症に気づく方法は?診断方法は?

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伝染性単核球症は他の病気と症状が似ているため、子供がかかっていることに気づかないことがあります。

たとえば、突然の高熱はプール熱、嘔吐は感染性胃腸炎でも現れます。また、舌が腫れて、表面にいちごのようなブツブツができるいちご舌は、溶連菌感染症や川崎病でも起こります。

症状を見ただけでは、伝染性単核球症かどうかを見分けることは難しいので、伝染性単核球症の疑いが少しでもある場合や、38度以上の熱が3日以上続く場合には、小児科を受診しましょう。

病院では症状を見たうえで、血液検査や肝機能検査、抗体検査を行って、伝染性単核球症かどうかを診断します。

伝染性単核球症の治療法は?

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伝染性単核球症に対する特効薬はありません。基本的には、こまめに水分補給を行いながら安静にして、咽頭痛や発熱など現れている症状を和らげる対症療法を行います。

ただし、重症の場合は、入院治療を行うことになります。伝染性単核球症は、発症から数週間で自然に治まるのが一般的です。

予後は良好な病気ですが、合併症として髄膜炎や脳症を引き起こす恐れもあります。いちご舌や発熱などの症状が改善されてきたあとも、子供の様子に異変がないかどうかしっかり見ていてあげましょう(※1)。

伝染性単核球症で登園・登校してもいいの?

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EBウイルスの感染力は比較的弱く、学校保健安全法では「その他の感染症」に指定されていますが、「熱が下がり、全身状態が回復したら登校できる」とされています(※3)。基本的には、登園・登校する日程については、医師と話し合って決めてください。

ただし、「その他の感染症」は、重大な流行が起こった場合、感染拡大を防ぐために、緊急的に第三種の感染症として扱われることがあります。

学校長が学校医の意見を聞いたうえで、第三種の感染症として指定する、つまり、出席停止の指示を出す可能性もあるので、注意してくださいね。

伝染性単核球症の予防法は?再発するの?

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EBウイルスは唾液を介して人に感染していくため、伝染性単核球症を予防するには、箸やフォーク、ナプキンなど唾液がついている可能性があるものは、できれば家族でも一緒に使わない方が良いでしょう。

また、喉の痛みなどの症状がある場合には、飲み物の回し飲みを避けることが大切です。

EBウイルスに一度感染すれば抗体ができるので、再感染することはありませんが、免疫力が低下したときに再発症する恐れがあるので(※2)、普段から栄養と睡眠をしっかりとって、免疫力を維持しましょう。

伝染性単核球症の予防は毎日の心がけから

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多くの人が無症状のまま、EBウイルスを排泄しているので、伝染性単核球症を完全に予防することは困難です。

しかし、栄養バランスがとれた食事をとったり、睡眠時間をきちんと確保したりして、免疫力を下げないようにすれば、伝染性単核球症だけでなく、ほかの様々な病気の予防にもなります。

普段から健康的な生活習慣と生活リズムを心がけて、病気に強い体作りをサポートしていきましょう。

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