低用量ピル(経口避妊薬)には様々な種類があり、それぞれ含まれる成分や飲み方が異なります。正しくピルを服用するには、それぞれの特徴や飲み方を理解しておくことが大切です。今回は低用量ピルのひとつ「シンフェーズ」について、効果や副作用、飲み方、飲み忘れたときの対処法などをご説明します。
シンフェーズとは?
「シンフェーズ(シンフェーズT28錠)」は、科研製薬株式会社が製造・販売している経口避妊薬です(※1)。
シンフェーズには、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という2つの女性ホルモンに似た成分が含まれており、服用することで体内の女性ホルモンが排卵後とほぼ同じ状態になります。
そうすると、脳が「すでに排卵が済んだ」と認識をして、排卵に必要なホルモンの分泌量を減らします。この結果、排卵が止まるので避妊できるという効果があります(※1)。
また、シンフェーズを飲むことで子宮内膜の状態が変化し、受精卵が着床しにくくなること、子宮頸管粘液の変化により、精子が女性の体内に入りにくくなることも、避妊効果を助けています(※1)。
シンフェーズの飲み方は?日曜日から?
シンフェーズは、シートに曜日が記入されている、いわゆる「サンデースタート」というタイプのピルです。
日曜日から飲み始めることで、生理(消退出血)が平日に来るサイクルになるため、週末に旅行などの予定を立てやすいというメリットがあります。
はじめて飲む場合は、生理が始まった次の日曜日から(生理がちょうど日曜日に来た場合は、その日から)1日1錠、毎日決まった時間に28日間服用します。服用する時間帯に決まりはないので、朝や就寝前など自分が飲み忘れにくいタイミングを選びましょう。
シンフェーズを飲みはじめた最初の1週間は、まだ十分に避妊効果が発揮されない可能性があるので、ピル以外の方法でも避妊するようにしましょう(※1)。
シンフェーズは1ヶ月分の1シート(28錠)が淡青色(12錠)、白色(9錠)、オレンジ色(7錠)の3色に分かれていて飲む順番が決まっているので注意してください。それぞれの錠剤でホルモンの含有量が違っているためで、飲み方を間違えると正しく避妊効果を得られません。
生理が始まって最初に迎える日曜日から淡青色の錠剤を7日間、次に白色の錠剤を9日間、また淡青色の錠剤を5日間、最後にオレンジ色の錠剤を7日間飲みます(※1)。
翌月も避妊を継続する場合は、オレンジ色の錠剤を飲み終えた翌日から、新しいシートの1錠目(淡青色)を飲み始めます。
シンフェーズを飲み忘れたときは?
シンフェーズは、錠剤を飲むべき曜日がシートに記載されているため、比較的飲み忘れが少ないタイプのピルといわれています。
しかし、もしうっかり飲み忘れてしまったときには、どうすれば良いのでしょうか?
淡青色と白色の錠剤を飲み忘れてしまった場合、翌日までに気づいた場合は、飲み忘れた錠剤をすぐに服用してください。そして、その日のぶんの錠剤もいつもと同じ時間に服用しましょう(※1)。
飲み忘れが2日以上続いた場合は、次の生理が来るまでシンフェーズの服用をやめましょう。生理が来たら、新しいシートの1錠目から飲み始めてください(※1)。服用をやめている期間は、排卵のタイミングによっては妊娠する可能性があるので、コンドームなどで避妊を行う必要があります。
ちなみに、オレンジ色の錠剤はホルモンが含まれていない偽薬で、生理周期に合わせるために用意されているものです。そのため、オレンジ色の錠剤を飲み忘れた場合は、飲まずに捨てても避妊効果には影響がありません。
シンフェーズの副作用は?太るの?
シンフェーズの副作用には不正出血や吐き気、嘔吐、胸の痛みなどがあります。症状の重さや期間には個人差がありますが、製造販売元の試験結果によるとなんらかの副作用が現れる確率は約34%です(※1)。
頻度は約5%未満ですが、シンフェーズを飲んだあとに体重増加やむくみなどが見られることもあります(※1)。ただし、これは一時的なものなので大きな心配はいりません。
これらの副作用は、一時的にホルモンバランスが変化したことによるものなので、継続的に服用して体が慣れてくれば自然と症状が軽くなることがほとんどです。
ただし、まれに血栓症やアナフィラキシーといった重大な副作用が現れることもあるので、注意が必要です。突然の息切れや激しい頭痛、手足のしびれなどが起きたら、前兆症状である可能性もあるので、すぐに婦人科を受診してください(※1)。
シンフェーズは通販より婦人科の処方が安心
最近は、インターネット通販で低用量ピルを販売しているところもありますが、商品の安全性を確認するのが難しく、万が一体調に異変があったときに病院ですぐに対応できないリスクもあります。初めて服用する場合には危険が伴います。自分の身を守るためにも、きちんと婦人科を受診したうえで処方してもらうようにしてくださいね。