生理前の女性は、心身ともにいつもの状態とは異なります。わけもなくイライラしたり、体調がすぐれなかったりというのはよくあること。なかには、生理前にだけチョコレートやケーキのような甘いものを食べたくなる人も。実はこれも、生理前だからこそ起こる症状の1つです。今回は、生理前に甘いものが食べたくなる理由や食べすぎないようにする対策についてご説明します。
生理前に甘いものが食べたくなるのは、よくあること?
女性の体内で大きな役割を果たすのが、「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つの女性ホルモン。これらが周期的に分泌されることで、生理のサイクルを生み出しています(※1)。
生理直前は、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの増減が激しくなるため、神経伝達物質や脳内のホルモンの異常が引き起こされます(※2)。そのため、体内で急激な変化が起こりやすく、精神的にも身体的にも不調を訴える人が多くなるといわれています。
生理前に体や心に不調が現れる「PMS(月経前症候群)」も、こういったホルモンのバランスの変化が原因ではないかと考えられています。
このように生理前はいつもと違う変化が訪れる時期なので、急激に甘いものや糖分を欲する人がいてもおかしくありません。
生理前に甘いものが食べたくなる理由は?
前述のように、生理前に体や心が変化するのに伴い、無性に甘いものが食べたくなることがあります。具体的には、どのような仕組みで生理前に甘いものが食べたくなるのでしょうか。ここでは、その理由をご紹介します。
インスリンの効果が下がる
膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンには、血糖値を低くする働きがあります。しかし、プロゲステロン(黄体ホルモン)が上昇する黄体期はインスリンの効果が下がるため、生理前は血糖値が上がりやすくなります(※3)。
そうすると、上がった血糖値を下げようとして、インスリンの分泌量が急激に増えます。血糖値を維持するために体が糖分を求め、甘いものが食べたくなる可能性があります。
体内に栄養をため込もうとする
排卵後から生理が始まる少し前の黄体期中期までは、プロゲステロンの分泌量が増え、妊娠に向けて体の準備が進みます(※1)。
体がたくさんの栄養を求めて溜め込もうとするため、甘いものを欲するようになります。
精神的にイライラする
生理直前の黄体期後期にプロゲステロンが低下すると、幸福感を与えてくれるセロトニンと呼ばれる神経伝達物質の分泌も低下し、精神的にイライラします(※4)。
甘いものを食べることで精神が安定するため、自然と甘いものが食べたくなるのです。
生理前に甘いものを食べたい!と思ったら、どれくらい食べてもいいの?
生理前に甘いものを食べたくなるのは生理現象ともいえます。しかし、甘いものを食べすぎて血糖値が上がりインスリンの分泌量が増えてホルモンバランスが乱れると、さらに悪循環に陥ってしまうため、生理前の糖分の摂りすぎには注意が必要です。
生理前に甘いものを食べたくなるのは仕方ない、と食べたいだけ食べるのはおすすめできません。普段と同じように、1日に食べる量を決めて、少しずつ食べるようにしていきましょう。少量ずつ食べるのが食べすぎを抑えるコツです。
こんなときには、砂糖を使用していないドライフルーツもおすすめです。ドライフルーツは普通のフルーツに比べて甘みが凝縮されているので、少量でも満足感があります。また、しっかり噛む必要があるので、噛んでいるうちに満腹感を得られますよ。
洋菓子よりは和菓子のほうが脂肪分やカロリーは控え目ですが、食べる量が増えてしまいがちなので、気をつけてくださいね。
生理前に甘いものが食べたくなっても、健康的な生活を心がけて
生理前は精神的にも不安定になりやすいため、甘いものをたくさん食べるのは、ストレス発散の手段の1つでもあります。糖分やカロリーの過剰摂取に気をつけながら、適量を食べるようにしましょう。
日常的にストレスをため込むような生活をしていると、生理前にさらにストレスが増して甘いものを求めてしまいがちです。規則正しい生活をしてストレスをためないようにすることも、甘いものがほしくなる気持ちに歯止めをかけてくれますよ。
生理前の体や心の変化に向き合いながら、普段から健康的な生活を心がけていけるといいですね。