【子供の花粉・ダニアレルギー】舌下免疫療法ってどんな治療方法?期間は?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

「舌下免疫療法」をご存じですか?花粉症やアレルギー性鼻炎のお子さんをお持ちのパパやママは、治療法のひとつとして耳鼻科医などから聞いたことがあるかもしれません。

今回は、花粉・ダニアレルギーの治療に有効とされる「舌下免疫療法」について詳しく説明します。

舌下免疫療法って何?どんな治療方法?

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舌下免疫療法とは、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を含む治療薬を舌の下に置いて少量ずつ体内に取り込むことで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげるアレルゲン免疫療法です。

子供に使う舌下免疫療法の薬は口の中で溶けるタイプの錠剤で、スギ花粉症には「シダキュア」、ダニアレルギーには「ミティキュア」、「アシテア」があります。処方された薬を1日1回、1錠を継続して飲み続けます。

舌下免疫療法を始めて効果を確認するのに短くて約1年ほどかかります。効果があれば、確認する期間も含めて3〜5年間と長期間治療が続きます(※1,2)。

治療には年月がかかりますが、「皮下免疫療法(注射)」のような痛みはなく、初回以降は自宅で服薬できることや、通院の回数が少なくてすむことから、注目されている治療法です(※1,2)。

舌下免疫療法は誰でも受けられる?

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舌下免疫療法を受けられるのは、5歳以上で、医療機関で「スギ花粉症」と「ダニアレルギー性鼻炎」と確定診断された人のみが対象です(※1,2,3)。

ただし、医療機関で「スギ花粉症」と「ダニアレルギー性鼻炎」と確定診断されても、以下の場合は治療が受けられません(※1,2)。

  • 以前にシダキュア(花粉症の薬)、ミティキュア、アシテア(ダニアレルギーの薬)を投与してアレルギー反応が出た人
  • 重い気管支ぜんそくを合併している人

治療が受けられる場合、舌下免疫療法は保険対象なので、子供の治療費は「乳児医療証」「子ども医療費助成」などによって基本的には無料です。自治体や病院によって異なる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

舌下免疫療法を始める前に知っておきたいことは?

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舌下免疫療法は、自宅で飲めて通院の回数が少ないなどのメリットがありますが、なかにはデメリットに感じる部分もあります。

以下の内容を事前に把握した上で、医師の指示に従いながら受けるようにしてください。

  • 毎日服用が必要で、かつ治療期間が長い
  • 全員が必ず完治するわけではなく、効果が見られない場合もまれにある(治療を受けた人全体の80%程度に効果がみられる)
  • 子供の場合、舌の下に薬をおいておくのを嫌がる場合もある
  • ダニアレルギーは1年を通していつでも治療を開始できるが、花粉症の治療を始められる時期は、花粉の飛散が終わった6〜12月頃に限られる

舌下免疫療法を受ける流れは?

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舌下免疫療法を受ける場合、一般的な治療の流れは以下の通りです(※1,2)。

  1. 症状経過をふまえて血液検査を行う
  2. 「スギ花粉症」と「ダニアレルギー性鼻炎」と確定診断される
  3. 初回の服用は医療機関にて行う
  4. 翌日からは自宅で1日1回1錠服用
  5. 治療をスタートして1〜3週間後に受診
  6. その後は月に1度の通院
  7. 効果確定まで1年ほど、効果があれば合計で3年〜5年ほど服用が続く

なお、治療の流れ・通院回数・頻度は医療機関によって異なります。治療を受ける病院で確認しましょう。

舌下免疫療法が終了後、効果は続く?

舌下免疫療法の治療を終えた後も、数年に渡って効果が持続して症状をおさえることが期待できます。症状が完全におさえられない場合でも、アレルギー治療薬の量を減らせる場合もあります(※1,2)。

まれに、治療を終了してしばらく経ってからアレルギー症状が悪くなる場合がありますが、その場合は再度治療を行うことで効果が戻ると考えられています(※4)。

舌下免疫療法中の注意点は?

! 注意

実際に舌下免疫療法をスタートした場合、服用時や治療中に注意点があることを覚えておいてくださいね(※1,2)。

服用時の注意点

  • 服用後5分間は飲食禁止
  • 服用前後2時間は激しい運動や入浴を避ける
  • 服用はなるべく午前中に行う

治療中の注意点

治療中、以下の副作用が現れた場合や普段と健康状態が異なる際に服用する場合は必ず医師に相談し、自己判断で服用を中止・再開することは避けてください。

副作用

  • 口の中の潰瘍(かいよう)、じんましん・呼吸困難など、アレルギー反応が出ることがある

服用中の体調の変化

  • スギ花粉の治療中、花粉が飛散する時期に服用した際に体調変化が現れる場合がある

普段と健康状態が異なる際の服用

  • ぜんそくの発作や症状が激しいとき
  • 風邪をひいているときや体調が悪いとき
  • 口の中に炎症や傷がある場合、抜歯など口の中の治療を行ったとき
  • 他の医療機関で薬が処方されたとき

舌下免疫療法を治療の選択肢に加えてみよう

舌下免疫療法は、自宅で服薬できる手軽さが大きな魅力ですが、長期間続ける根気が必要です。ただ、日常生活で対策を行っていたり、他の治療を続けていてもアレルギー症状がなかなか改善しない場合は、舌下免疫療法を選択肢に加えてみてもいいですね。

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