家の中の事故を防ごう!安心・安全につながる早めの対策

思いがけないところで起こる、子供の不慮の事故。安全に思える家の中でも、子供にとっては危険がいっぱいです。成長するに従い、行動範囲が広がることで、起こりやすい事故もあるんですよ。

そこで今回は、子供の事故に詳しい田中哲郎先生に、対策や心がまえについてお話しいただきました。

田中哲郎先生

田中哲郎先生<br />

元国立公衆衛生院母子保健学部長。厚生労働省「乳幼児死亡の防止に関する研究」「小児の事故とその防止に関する研究」に主任研究者としてかかわるなど、小児科全般の他、小児救急医療、事故防止研究などが専門。『新子どもの事故防止マニュアル』(診断と治療社)など著書多数。

子供の心身の発達と発生する事故は
連動している

赤ちゃん 寝る 日本人

子供の事故の発生は、心身の発育発達の段階と深く関わりがあります。そのため、子供の月齢や年齢によって、起こりやすい事故の種類が違ってきます。

0歳児に多い窒息事故は、誤飲以外に、寝ているときに起こるケースが少なくありません。赤ちゃんが寝返りをうつと、枕に鼻と口が塞がれます。フワフワした柔らかい寝具は、絶対に避けましょう。

また、枕元に置いたガーゼやタオルをつかみ、自分で顔にかけてしまうことがあります。よけられないまま、気づかないうちに、窒息事故に繋がることも起こりがち。

タオル類だけでなく、寝ている枕元にぬいぐるみがあるのも危険です。

子供の溺死事故は、2歳までがほとんどで、その約8割は家庭の浴槽で発生しています。他には、トイレ、洗濯機、ビニールプール、バケツなど、ごく身近なところでも起こりがち。

数センチの水でも、子供は溺れることがあるので注意が必要なんです。

よちよち歩きから2歳になるまでは、浴室には必ず外鍵をかけ、浴槽に水をためておくこともやめましょう。対策を何重にもすることで、万が一事故が発生しても大事に至らずに済みますよ。

子供の2ヶ月先の成長をみて早めの対策を

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ハイハイができるようになると、何でも口に持って行き、誤飲事故が多くなります。気道につまらせて窒息することもありますから、子供の立場で目を配り、手の届く範囲から飲み込む危険のあるものを排除することが大切です。

飲み込んだものによっては、たちまち命の危険にさらされることもあります。一刻を争うこともあるため、吐かせる方法など応急処置を知っておきましょう。

一人歩きができて、動きが活発になる1歳以後は、手をはさむ事故が起こりやすくなります。

勢い良く閉まるドアで、指の骨折や切断などの大ケガに繋がることもあるので、子供がドアや窓の近くにいる時は、子供の行動に目を配り、ゆっくり閉めるように注意しましょう。

また、引き出しを開けたり閉めたりすることが、子供にとっては面白く、繰り返すうちに指をはさむこともあります。引き出しをロックするなど、子供の手で開けられない工夫をしましょう。

ホームセンターなどで、子供の事故防止グッズが手に入りますので、利用するのも良いですね。

子供がテーブルクロスを引っ張って、卓上の熱い汁物をかぶってやけどをするケースもあります。子供を抱っこしながらお茶や珈琲を飲むのも危険です。ヒヤッとした瞬間があったら、二度と同じことはしないように注意しましょう。

子供の成長には個人差があります。ある日急につかまり立ちができたり、ソファによじのぼれるようになったりするものです。

その月齢でできるようになる動きを目安に、2ヶ月先の成長を見越して早め早めの対策をすれば、不慮の事故を防ぎやすくなりますよ。

子供の発達と起こりやすい事故

(※タップすると別ウインドウで開きます)

安全対策 miku 転載

喉にものが詰まったらすぐに吐き出させよう

口に入れたものが喉に詰まると、窒息する危険があります。もし赤ちゃんが喉に何かを詰まらせた場合、異物が取れるまで以下の方法を行いましょう。

「背部叩打法」(背中を強く叩く)

誤飲 誤嚥 イラスト 背部叩打法 

0歳の赤ちゃんが喉に物を詰まらせた時に使える対処法です。

頭を下げてうつぶせ状態にした赤ちゃんを、下あごを支えて片腕に載せ、背中の肩甲骨の間を掌で強く叩いてください。

「ハイムリック法」(上腹部を圧迫する)

誤飲 誤嚥 イラスト ハイムリッヒ法

こちらは1歳以降の赤ちゃんが喉に物を詰まらせた時の対処法です。

背後から抱きかかえ、両手を胃のあたりで組み、胸の方に数回、突き上げます。

日々のコミュニケーションで
繰り返し子供に危険を教えて

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親が子供から一時も目を離さないことは難しいため、できるだけ子供の目線で確認し、危険な状況を作らないようにしましょう。その上で子供自身にも、何がどう危険なのかを教えることが大切です。

炊飯器やポットは子供の手の届かないところに置くのはもちろん、湯気を見せて「あちちだから、触っちゃだめ」など、言葉を話さないうちからでも言い聞かせましょう。成長するにつれて、自然と理解していきます。

最近、特に心配なのが、スマートフォンに夢中になる親たちの姿。ベビーカーを押しながら、自転車に子供を乗せながらの「ながらスマホ」は注意が散漫になって非常に危険です。

家の中でもスマートフォンやパソコンに集中している間は、子供から目が離れ、思わぬ事故が起こる危険性が高まります。インターネットやSNSの利用は、子供が寝ている時間に限るなど、自分でコントロールすることが大切です。

社会や時代の変化に伴い、住環境や生活スタイルが変わってきていますが、子供の事故内容は10年前・20年前とほとんど変わりません。

先輩ママたちがしてきた工夫や対策を参考にすると、事故の予防に繋がるはずです。子育て経験者に直接話を聞いたり、インターネットや書籍で調べてみるのもいいですよ。

イラスト/サカモトアキコ 取材・文/中野洋子
絵本ナビ編集部
出典:miku No.38 2014年秋号
※掲載されている情報は2014年9月25日当時のものです。一部加筆修正しています。

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