生理前の肌荒れに悩む女性は多いですよね。なかには「生理前は頭痛や下腹部の痛みに悩まされているのに、そのうえ肌荒れがひどいなんて…」と鬱々とした気分になってしまう人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、生理前の肌荒れがひどくて悩んでいる女性のために、生理前に肌荒れが起きる原因や、生理前の肌荒れに効果的な薬やサプリメントがあるのかについてご説明します。
生理前の肌荒れの原因は?
生理前の肌荒れは、月経前症候群(PMS)の症状の一つだと考えられます。PMSはさまざまな要因が複雑に絡み合って起こると考えられていますが、実ははっきりとした原因はわかっていません。可能性がある原因としては、以下のようなことが考えられます(※1)。
女性ホルモンの変動
排卵直後から生理が始まるまでの時期(黄体期)に卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量が変動し、水分やナトリウムが体の中に溜まって肌荒れなどの不調が起きている可能性があります。
神経伝達物質の代謝異常
脳内神経伝達物質のセロトニンやβエンドルフィンの分泌異常、ビタミンB6の不足が引き起こす神経内分泌系の異常によるという説もあります。
生理前の肌荒れは薬で治療できるの?
生理前に肌荒れなどの不調がひどい場合、病院で治療のために経口避妊薬を処方されることがあります。
経口避妊薬は排卵を抑制するため、PMSの原因の一つと考えられている黄体ホルモンの分泌が減ります。副作用も少なく効果的なため、PMSを治療する際に最初に処方する薬としている病院も多くあります(※1)。
生理前の肌荒れにはサプリが効果的なの?
生理前の肌荒れなどのPMSの対処法として、亜鉛やビタミンB群などのサプリメントも効果的です(※1)。
亜鉛
亜鉛は皮膚の発育を促す働きのあるミネラルで、偏食があったり加工食品ばかり食べていると不足しがちです。通常の食生活では心配いりませんが、一度に2g以上摂取すると急性中毒を起こしてしまう可能性があるので、サプリメントで摂取する場合は注意しましょう(※2)。
ビタミンB2
ビタミンB2は細胞の新陳代謝を助け、皮膚の成長を促すビタミンで、体内に蓄えておくことができないため毎日摂取する必要があります。
特に多量の抗生物質や副腎皮質ホルモン剤、精神安定剤、経口避妊薬を長期間使っていると、ビタミンB2が不足することがあります。
成人女性の食事におけるビタミンB2の摂取基準は1.2mgとされていますが、サプリメントなどで大量に摂取するとかゆみや痺れなどを起こすことがあるため注意が必要です(※2)。
ビタミンB6
ビタミンB6はタンパク質の合成と分解に関係していて、皮膚を丈夫にします。卵胞ホルモンに働きかけ、黄体ホルモンと卵胞ホルモンのバランスを整える働きもします。
ビタミンB6は腸内でも作られているため不足しにくいものですが、抗生物質や経口避妊薬を長期間使用していると不足することがあります。成人女性の1日の食事での摂取基準量は1.1mgで、それ以上摂取してもその日のうちに排泄されてしまいます。
基本的には摂取しすぎても問題ありませんが、サプリメントなどで1日200mg以上の大量摂取をした場合は、神経系の障害が起こる可能性もあります(※2)。
ビタミンB3(ナイアシン)
ビタミンB3は皮膚を健康に保つ作用がある栄養素です。普段は肝臓でも作られていますが、ビタミンB1・B2・B6が不足すると、十分な量を作れなくなってしまいます。成人女性の1日の食事摂取基準は、肝臓で作る分と合わせて12mgとされています。
不足すると皮膚に悪影響がありますが、かといって大量に摂取すると皮膚が炎症を起こしてかゆくなったり、ヒリヒリすることがあるため、サプリメントを飲む場合は注意してください(※2)。
生理前の肌荒れに効果的な漢方薬もあるの?
生理前の肌荒れなどのPMSの対処法として、ピルやサプリメントのほかに、漢方薬を使うこともあります。主に、血の巡りをよくする「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」が処方されることが多いようです(※3,4)。
肌荒れは肌の新陳代謝がうまく行われなくなって、老廃物が溜まることで起きる場合もあります。そのため血の巡りをよくすると、老廃物が取り除かれ、肌荒れを解消することが期待されます。
生理前の肌荒れ対策は他に何がある?
薬やサプリメント以外にも、生活習慣に気をつけることで、生理前の肌荒れなどの不調を改善することも期待できます(※2)。生理前でなくても効果的なので、常に意識しておくといいですね。
0時までに寝る
新陳代謝にはきれいな血が欠かせません。22時から2時の間は、肝臓で血液の浄化が盛んに行われるので、遅くとも0時までには寝るようにしましょう。
野菜や果物をたくさん食べる
野菜や果物は、美肌に良いとされるビタミンが豊富です。同時に、食物繊維が腸を掃除してニキビを防いでくれます。
紫外線対策をする
紫外線は肌の老化を進めます。帽子や日傘などで紫外線から肌を守りましょう。
乾燥を防ぐ
皮膚は乾燥してしまうと厚くなってトラブルが起こりがちなので、化粧水や加湿器などで水分を補給することが大切です。
生理前の肌荒れがひどいときは病院へ
生理前の肌荒れはつらいですよね。しかも、生理前は肌荒れだけでなく、頭痛や肩こり、むくみ、イライラ、眠気など、体と心に不調をきたしやすい時期です。あまりに肌荒れがひどいときは、一人で悩まず産婦人科に相談してみてください。
日ごろの生活を改善しながら、ときには医療の助けも借りて、自分の肌の調子と上手に付き合っていけるといいですね。